地球の裏側にもファンがいる、ブリーチカラーの匠! オンラインサロン「another」主催、吉永大介さんが語るカラーの世界観
絶品のブリーチカラーが大人気で、Instagramのフォロワー数10万8000人以上を抱えるフリーランス美容師、吉永大介さん。美容業界の内外で注目されており、台湾やアメリカにもファンがいます。セミナーやオンラインサロンでカラーを教えることもある吉永さんに、イチオシのカラーやその世界観を語っていただきました。
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2022.12.07
吉永大介さんってどんな人?
吉永 大介さん
GO TODAY SHAiRE SALON 原宿Liber店 カラー特化型オンラインサロン”another”主宰
福岡県出身。大村美容専門学校卒業。新卒で都内人気デザインサロンに入社。オーナーをはじめ有名美容師のもとでアシスタント経験を積む。スタイリストデビュー後はデザインカラーで人気を博す。2019年7月にフリーランスに転向。サロンワークに加え、デザインカラーのセミナー講師として活躍。2022年6月にカラー特化型オンラインサロン”another”を立ち上げその主宰を務める。
デザインサロンで確かな技術を学んだ下積み時代
編集部:現在は出店に備えてフリーランスとしてサロンワークをしながら、オンラインサロンの運営もしているとうかがっています。フリーランスになる前はどんな活動をしていましたか?
吉永:人気美容師を輩出するデザインサロンで経験を積んでいます。カット技術に定評があるサロンだったので、自分もカットには自信があります。また、ブリーチカラーが得意なデザイナーもいたので、先輩がやっていたカラーをコピーして自分のものにしたり、毛束でカラーの実験を重ねたりして、カラーの知見を高めてきました。
編集部:それをサロンワークや作品づくりに落とし込んできたんですね。
吉永:入社2年目くらいから、美容師が争うクリエイティブコンテストに毎年出ていて、賞をいただいたこともあります。
セミナーの仕事にも興味があったので、まだ実績がなかったころから、自分をどんどん売り込んで少しずつ仕事を増やしてきました。専門学校の同級生に、台湾で活躍しているブルースという有名な美容師がいます。僕のことを良く思ってくれていたので、台湾のディーラーさんにもつないでいただき、台湾の主要都市でセミナーをする機会を得ることができました。
吉永:ただ、コロナの影響でセミナーが減ってしまったので、今年の6月からはカラー特化型オンラインサロン”another”を立ち上げて、そちらから情報発信をしています。
約半年でInstagramのフォロワーを25倍に!
編集部:Instagramのフォロワーも10万人以上いますし、ブリーチカラーの世界では影響力のある存在ですね!
吉永:Instagramに関しては、実は今年に入るまでフォロワーが4000人くらいだったんです。「カラーが上手い割に少ないですね」「フォロワーを増やす方法を教えますよ?」というDMが届くこともあり、少し屈辱的でした。そこで、更新頻度を上げたり、海外の人にもみてもらえる時間帯に投稿したりして、半年足らずで10万人まで増やしたんです。
投稿する作品は、僕がベースづくりからしっかり手がけて、均等に染まっているデザインのみ。それをTikTokと同じようにサクサク見られる尺におさめています。
ただ、Instagramのフォロワーを増やすことが目的ではなく、オンラインサロンを始めるうえで、フォロワー数の多さが信用につながると思ったので、増やしただけです。これ以上数字を追いかけるつもりはないですね。
目指すのは会社や面接にも行けるブリーチカラー
編集部:ではそんな吉永さんのヘアデザインの特徴を聞いていきたいと思います。
吉永:ブリーチカラーではベージュをベースにしたものが中心です。イメージしているのは、会社や面接にも行ける上質なカラー。
僕はキレイな髪色をしている人が、面接にいくために黒染めすることが馬鹿らしいと思うんですよね。とても似合っている髪色だったら、黒以外でも問題ないし、そのほうが個性が出るはず。だから、僕は日本の黒髪信仰の文化を壊していきたいんです。
具体的には、ベースを整えて、髪が痛まないギリギリのラインを狙って明るさを均一にしています。そして、色落ちしてもキレイなままでいられる工夫をしています。
吉永さんがプッシュするブリーチカラー4パターン
編集部:髪色が明るくてもキレイだから許されるような、お勧めのカラーを教えてください。
■ パープルピンク
吉永:このパープルピンクは、発色はいいけれど主張しすぎないし、どんなライフシーンでも似合わせやすいカラーです。職場にもよりますが、社会人の方でも楽しめるのではないでしょうか。
パープルは色落ちしても絶妙なベージュになるのでお勧めです。アシスタントの子がちょうど色落ちしたベージュになっているんですが、金髪すぎないまろやかな色になるので、プッシュしたいと思っています。
■ 抜きっぱなしブリーチ
吉永:ブリーチのみでつくったホワイトカラー。色落ちが均一であること、髪の状態を保つことは、こだわっています。
僕はベースを大事にしているんですよ。土台となるキレイなベースが壊れないようにブリーチを傷まないように重ねています。
実際にやったことがある方には理解してもらえると思うのですが、均一にブリーチすることってすごく難しいんですよ。
■ パープルカラーインナーホワイト
吉永:これは青紫の明度を上げてつくったラベンダーのような色です。お客さまがちょっとデザインを入れたいということで、前髪には白を入れています。ペールトーンでオシャレでありながら優しい雰囲気に仕上げました。
■ オレンジボブ
吉永:これはオレンジなんですが、少しブラウンを加えることで色を暗めにしています。オレンジだけだと発色が良くて、パキパキっとした印象になってしまうんですよね。オレンジに限らずですが、発色がハッキリしていると髪だけ浮いてしまうんですよ。
なので、オーダーをそのまま受け取るのではなく、その人のパーソナルカラーやライフスタイルにマッチするように落とし込みます。
セルフケアのコツはケア剤選びとアイロン温度
編集部:ハイトーンカラーにしているときのセルフケアのコツはありますか?
吉永:基本的には自分がいいと思っているケア剤を紹介しています。オススメはOLAPLEX です。他には、アリミノ ピース グロスミルク。OLAPLEX と混ぜて使ってもかまいませんよと伝えています。
あとは、アイロンの温度設定が重要で、180度の場合は下げてもらいます。「時間がないんですよ」などと言われることもありますが、温度が高いと髪が傷んでしまうんですね。だから、忙しい場合であっても、160度でできる方法をレクチャーしています。
計画的にベースづくりをするから色ムラがない
編集部:あらためて、美容師として普段から大切にしていることを教えてください。
吉永:例えば、白髪がたくさんある方がシルバーにしたら、全体が白髪になるだけに見えるかもしれません。そうではなくて、ホワイトベージュにしたらオシャレだし、白髪を隠すよりポジティブに髪色を楽しむことができると思います。もちろんお客さまの要望は聞きますが、その上で、「こうするとよいですよ」という提案をしていますね。
もう一つ大切にしているのは、しっかりと計画を立てることです。なぜなら、キレイな髪をつくるためにはベースづくりが欠かせないから。理想的な来店サイクルをつくることができるように、次はいつごろ来てもらい、どんな施術をするのかをあらかじめ伝えています。
ちなみに、45日以内に来てくださいという意味で、45日間限定のクーポンをつくっているんですよ。そうすれば、お客さまはクーポンを使えるし、ベースづくりもできるから、なりたい髪色に近づけるわけですよね。
そして、なりたい髪色になるまでのプロセスも楽しめるカラーにしているので、理想の髪色になるまでの間も、ワクワクしながら過ごしてもらえます。
ブリーチカラーに市民権を!
編集部:最後に、ヘアスタイルをつくっているときどんな想いを込めているのか教えてください。
吉永:新しいヘアスタイルが気に入っているとすごく気分がアガりますよね。街を歩きたくなったり、新しい服がほしくなったり、誰かと会いたくなったりする。僕は毎回、そんな気持ちを引き出すようなヘアスタイルをつくりたいと思っています。
吉永:また、お客さまの中に飲食店で働いている子がいるんですよ。その職場では髪を染めてはダメだったんですが、その子のブリーチヘアはOKってなったんですよね。その理由は、単純にキレイだから。その話を聞いたときめちゃくちゃ嬉しくて。
世の中的にはまだまだブリーチカラーがしにくい職場が大多数だと思いますが、「キレイだからOK」というところが増えたら嬉しいし、そのためにも頑張りたいと思います。
吉永 大介よしなが だいすけ
福岡県出身。大村美容専門学校卒業。新卒で都内人気デザインサロンに入社。オーナーをはじめ有名美容師のもとでアシスタント経験を積む。スタイリストデビュー後はデザインカラーで人気を博す。2019年7月にフリーランスに転向。サロンワークに加え、デザインカラーのセミナー講師として活躍。2022年6月にカラー特化型オンラインサロン"another"を立ち上げその主宰を務める。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。