美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR第19回・ALBUM/藁谷翼×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1600名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第19回目はALBUM渋谷店の店長でトップスタイリストの藁谷翼さんが登場! 短髪+ハイトーンのメンズスタイルを打ち出し人気を集める翼さんに、ALBUMで活躍するまでの歩みやメンズカットで人気のスタイルについて伺いました。
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2023.03.08
藁谷翼さんって、こんな人!
福島県出身。水戸ビューティーカレッジ卒業後、2店舗を経てALBUMに入社。お客さまのライフスタイルやファッションに合わせたヘアを提案し、デビュー後は着々と顧客数が伸び一躍トップスタイリストへ。現在はメンズカットを中心に人気を集めている。2022年の夏に、渋谷店の店長就任。
「美容師向いているんじゃない」の一言ですぐに決意!
桑名真理子(以下、桑名):翼さんとは、2019年の台湾で行われたATCヘアショーでご一緒させていただきました。当時、ALBUMチームのアシスタントとして参加していらっしゃったんですよね。
藁谷翼(以下、翼):そうでしたね。僕は前店長のMIHOさんと一緒に、NATSUMIさんとNOBUさん(現NNNプロデューサー)のアシスタントとして参加させていただきました!
桑名:翼さんはとても物腰の柔らかい雰囲気にもかかわらず、当時から直向きに信念を持ってお仕事をされている方だなと思っていました。今は渋谷店の店長をされているんですね。
翼:はい。去年の夏に副店長から店長になりました。
桑名:美容師歴で言うとどれくらいになるのでしょうか?
翼:ちょうど10年になります。高校卒業と同時に通信制の美容専門学校に入学して、働きながら美容師免許を取得しました。
工業高校に進学したのですが、実際に授業で技術実習をしていくうちに「ちょっと違うかも…」と思いまして。当時、担当してもらっていた美容師さんに進路を迷っていることを相談したんです。すると「美容師とか向いているんじゃない?」と言っていただいて、それを真に受けました(笑)。その日のうちに「美容師になりたい」と親に伝えたのを覚えています。
桑名:すごい行動力! ご自身の中でピンと来たんですね。
翼:そうかもしれません。高校生のときに美容室でバイトをしていたので、卒業後はそのままその美容室に就職しました。高校の同級生は地元の工場に就職するなど社会に出る友人が多かったので、働き始めてからも学生時代とのギャップを感じることもなく、アシスタントとして奮闘していました。
思い描いていた夢の舞台、ALBUMに入社したら“あとは自分次第!”
桑名:ALBUMに入社したきっかけは?
翼:19歳で上京して、東京の郊外にある地域密着型のサロンに就職したのですが、2年ほど勤めてみて、もっと違う客層や技術を学びたいな…と考えていたんです。そんなときに「SNSブランディングや集客ノウハウを教えます」というALBUMの広告を見て「気になる!」とピンときたんです。ALBUMができて、3年が経ったころだったと思うのですが、当時はALBUMのようにSNSやITを駆使して経営をするサロンは珍しかったので。ここならこれまでのスキルとは違った経験ができそうと思い、応募しました。21歳のころですね。
桑名:翼さんのおっしゃる通り、当時ALBUMは集客方法や雇用形態など、美容業界的にはセンセーショナルな存在でしたね。入社してみたころは、実際いかがでしたか?
翼:Instagramの反響でお客さまの数も想像以上に多かったですし、旬のトレンド発信する先輩も多く在籍していて、かっこいいスタイルを間近で勉強できたのは刺激になりました。理想が詰まっていたフィールドに飛び込むことができ、「入社してよかった!」と心から思いました。あとは自分次第だな、と。
桑名:アシスタント時代に、ご自身の中で学びになったことや、今の活動の核になるようなできごとはありましたか?
翼:とにかく「やり続けること」を学びました。先輩たちは、息をするようにInstagramの編集・発信は毎日欠かさずやっていたので。日常の一部として当然のようにやるんですが、誰もができることではないでしょうし、その膨大な発信量に圧倒されました。同じフィールドに立つ以上は自分もやろうと、必死についていきましたね。
あとは副代表であるNATSUMIさんにデビュー前、専属アシスタントとしてつかせてもらったのも今の僕の土台になっています。特にNATSUMIさんからは、お客さま目線の大切さを学びました。美容師にとっては当たり前のようなテクニックや情報でも、お客さまにとってはまったく知らないことだったりするんですよね。お客さまの髪の悩みや疑問をしっかり聞き出して提案するなど、コミュニケーションやカウンセリングはすごく大切にしています。
桑名:先輩方の背中を見て、多くの学びがあったんですね。私もALBUMさんとお仕事するといつも勉強になります! 先ほどお話にも挙がっていましが、翼さんはInstagramはどのように運用されているんですか?
翼:Instagramは入社したタイミングで新しくアカウントを作って一からスタートしました。いまは1日1投稿くらいを基本にして、朝撮影して営業後に編集するのがルーティンですね。凝ったことをやりすぎると続かないので、作業自体はシンプルに済むように取り組んでいます。
翼:最初のころは、主にセルフセット動画を投稿することが多かったです。というのも、セルフヘアアレンジでバズっている女性スタッフからヒントを得て! 僕の場合、レディース向けのヘアアレンジを投稿するにはモデルさんを呼ばなければいけないので、毎日投稿するのは難しい。それなら、自分がモデルになってセットを動画にすることにしました。
初めてバズったのも、自分でツーブロックを入れるこのリールです。
桑名:400万回も再生されているんですね! このリールのどんな点がよかったと思いますか?
翼:この動画を投稿した当時は、コロナ禍のまっただ中。自粛中はサロンに通うのをためらう方が多かったんですね。メンズヘアはカット周期も短いので、メンテナンスをしたい方が「自分でやるにはどうすればいいんだろう?」という気持ちで見て下さったんだと思います。
桑名:投稿とニーズがマッチしたんですね。確かデビューもコロナ禍真っ只中でしたよね?
翼:はい。技術チェックが受かって、デビューが決まっていた月に2ヶ月間の休業することになりまして。正式なデビューは2020年の6月です。世間も自粛ムードでしたし、タイミング的には決していいとは言えませんでしたね。しばらくはフリーのお客さまに入って、そこから指名を伸ばしていきました。SNSで集客ができるようになってきたのは、実はここ半年くらいのことなんです。
桑名:活躍が目覚ましい翼さんもデビュー時は大変な思いをしていたんですね。現在はメンズスタイルのイメージが強いですが、打ち出し始めたのはいつからですか?
翼:ここ1年弱です。それまではハイトーンや女性のショートなども押していたのですが、セルフセットの動画を見て来店してくださるメンズの方が増えたのがきっかけです。僕自身もともとメンズのスタイルを作るのが好きだったので、思い切ってメンズヘアに振り切ってみよう、と考えました。
再現性の高い“スパイキーショート”が人気
桑名:2023年のイチオシのスタイルはありますか?
翼:僕は短髪でハイトーンを作ることが多いのですが、その中でも評判がいいのは『スパイキーショート』です。このヘアの特徴は、毛先を尖らせて躍動感を出すこと。僕のInstagramでも評判がよかったこのスタイルは、サイドの刈り上げを自然な流れでバックに繋げて、全体的に束間で動きを出しています。男らしさと爽やかさをアップしますね。
翼:ひし形のシルエットにするとかっこよく仕上がるので、角の高さをお客さまぞれぞれの骨格によって設定し、似合わせるようにしています。ハイトーンに飽きてダークトーンもじわじわ人気が出てきていますね。
2 年目から外部へのセミナーを始めていて、学生向けに焦点を当てて動き出したのは3年目ですね。ちょうど2年ほど活動しています。
翼:メンズのお客さまは全体の6〜7割で10〜20代の方が中心。結構バッサリとカットして欲しいと希望するお客さまも多いですね。また、簡単にセットできるようにデザインするも大きなこだわりです。
桑名:セットのコツはあるんですか?
翼:スタイリングしやすいようにカットしているので、セットはスタイリング剤を全体に揉み込んで無造作に散らすだけです! スタイリング剤はN. hommeなど柔らかいクリームタイプがおすすめ! 滑らかで操作性がよく、理想のヘアスタイルに仕上がるんですよね!
翼:直毛の方は動きが出しにくいというお悩みをよく聞きますし僕も直毛なのでよくわかるのですが、N. hommeを使うと程よいテクスチャーとキープ力で動きを出すことができます。
桑名:翼さんが生み出すスタイルはどれもかっこいいですね! 翼さんに憧れて来店する男性のお客さまも多そうです。
翼:中にはそう言ってくださるお客さまもいますが…より憧れてもらえる存在になれるよう、精進します(笑)!
桑名:現在は店長を務めていらっしゃいますが、いかがですか?
翼:教育や人を動かすというところは、日々模索しながらやっています。トップダウンで指示するのではなく、みんなで意見を出し合いながら「一緒にやろう!」「みんなで店をよりよくしていこう」という姿勢をいつも意識していますね。お店の数字やシフト調整などは、副店長の女性ふたりに、かなりサポートしてもらっています。
実は僕、緊張しいなので人前で話すのが苦手で…(苦笑)。最近になってようやく慣れてきました。役割でこんなにも人って変われるんですね。
桑名:翼さんは、これからのALBUM、ひいては美容業界を担っていく世代かと思います。どんな形で会社や業界に貢献していきたいですか?
翼:“メンズカットといったらALBUMの翼”と業界に認知される存在になりたいですね。そのためにもまずはトッププレイヤーとして、もっと数字で結果を出したい。その経験をアシスタント世代の育成に繋げて、後輩のデビューをアシストしていきたいです。
桑名:翼さんやALBUMのみなさんのご活躍を心から応援しています! 本日はありがとうございました!
藁谷 翼
福島県出身。水戸ビューティーカレッジ卒業後、2店舗を経てALBUMに入社。お客さまのライフスタイルやファッションに合わせたヘアを提案し、デビュー後は着々と顧客数が伸び一躍トップスタイリストへ。現在はメンズカットを中心に人気を集めている。2022年の夏に、渋谷店の店長就任。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。