それぞれのスタイリストが自分らしいスタイルで魅了する『NOVAN』。その独自のカルチャーと仕掛け人municoの軌跡に迫る!『next door』04 NOVAN
美容師兼クリエイターのkiyoとnaoのユニット「munico(ムニコ)」は、美容師としての感性を活かしながら映像の制作などを手掛けるほか、コスメブランド「YEAU(ヨウ)」のプロデュースも行っています。bangsでもおなじみのお二人は今年、表参道にコンセプトショップNOVANをオープンしました。NOVANはどんなサロンなのか? そして、美容師、動画クリエイター、コスメプロデューサーに加え、サロンオーナーとなったmunicoの軌跡を伺いました。
SPECIAL CONTENTS
2023.08.16
美容師をしながら、別の夢も叶えられる拠点を作りたかった
―NOVANを作る計画は、いつから考えていましたか?
Kiyo:2022年の始めくらいですね。これまでスタジオを借りて動画撮影をすることが多かったのですが、自分たちのスタジオがあったらいいなと思ったのが最初です。どんなスタジオがいいか考えてみたところ『シャンプー台があるといいな、サロンのような大きな鏡もほしい…』となって。それなら理想を詰め込んだ「美容室を作ろう!」ということになったんです。
―「美容室ありき」の発想ではなかったんですね。
nao:そうですね。でも、本当は「スタジオを作る」というのも目的の一つでしかなくて、美容師をやりながら別の夢を追いかけているような方たちが集まる拠点作りをしたかったんです。
Kiyo:僕たちは、2019年から美容師をやりながら動画制作を始めて、試行錯誤はありましたが、それを仕事として形にすることが叶いました。さらに、コスメブランド「YEAU」を立ち上げて、美容師であるmaoさん、MAYUKAさんと一緒に作ったわけですが、二人とも美容師としての環境をまったく変えずにプロダクトを作ることができたんですよ。そんな経験から、美容師以外のこともやりたい美容師さんが集まる場所があったら楽しいだろうな、と考えました。
―そういうことだったんですね。プレスリリースには、NOVANは美容室ではなく、“ショップ”と明記されています。これにもなにか理由があるんでしょうか?
nao:「YEAU」のフラッグシップを作りたかったんですよ。場所を表参道にしたのも、「YEAU」や所属している美容師さんのブランディングが際立つはず、と考えてのことでした。あと、表参道はスタジオが多くないので、この場所で撮影できるのは本当に便利です。
―内装のテーマはありますか?
nao:私の趣味によるところが大きいですね。といっても完全に私の趣味に振り切れてしまうとエッジが立ちすぎてしまうので、清潔感があってアートを感じられるものにしました。
ここで働いている人には“いいもの”に触れてほしいという思いがあるので、リプロダクトは置かず、本物にこだわっています。
kiyo:サロンの一角には撮影スタジオも作りました。この前もNOVANの撮影をしたんですよ。
楽しみは1年後、所属スタッフの夢が花開くころ
―今、NOVANには何人の美容師さんが在籍しているのでしょう?
nao:スタイリストが18名、アシスタントが3名、プレスが1名なので22人ですね。私たちを入れて24名です。
kiyo:今、NOVANのメンバーは、全員フリーランスです。美容師とそれ以外のことを同時にやりたいと考えている人たちにとっては、フリーランスという働き方はとても親和性が高いんですよね。
nao:NOVANは、集まったスタッフの技術レベルやテイスト、波長が似ているんですよ。仕切りを設けるよりも、みんなの技術が隣で見えて共有できればいいかな、と考えてたんです。バックルームでは、他のスタイリストさんの作ったスタイルを見て、「あのスタイルかわいかったね」とか、よくみんな話しています。
kiyo:技術を教えあっていることもあるしね。だから、フリーランスが集まっているサロンではありながら、教育サロンの面も持ち合わせているんですよね。今すでに夢が花開いている人もいますし、1年後くらいには、みんな結果が出ているはずです。
―お二人の役割としては、オーナーとしてスタッフのみなさんを導くようなイメージですか?
nao:そういう感じはまったくないですね。NOVANというのは、「NO=いない VAN=先頭」という意味なので、誰かがトップになるというのではなく、フラットな関係性を保てる場所にしたいです。
kiyo:でも、“おせっかい”ではあるかもしれません。フリーランスって、やり方を間違えると消耗してしまうし、そうならないモデルケースを作りたいんですよ。その方法が動画制作であったりコスメブランドの運営だったり、僕たちに教えらえることがあれば、伝えていきたいです。
nao:フラットだけど、責任を持たないことは絶対にしたくないですね。
動画制作も「YEAU」もゼロからスタートさせてプロの完成度に
―お二人も実際、動画クリエイターや「YEAU」のプロデュースなどで活躍していますが、美容師以外の仕事があることの魅力ってどんなことですか?
kiyo:会う人も考えることも変わるのが楽しいですね。動画を撮ることの一つを取っても、映画の見方が変わったし、人の撮る写真の見方も変わりました。
nao:とにかく刺激がありますよね。ワクワクしているし、達成感もある。でも、次から次にやりたいことが出てきて、試練が終わらない感じはある(笑)。
kiyo:僕がいっつも無理難題をnaoさんに提案して、naoさんがいつもそれを形にするんですよ。動画を始めた当時もそうでした。美容師が片手間にやっていると思われたくなかったので、プロが作ったようなちゃんとしたものを提案しようと決めていたのですが、2018〜2019年ごろはインプットできる場が全然なかったんですよね。美容師で動画をやっている人も全然いなかったですし。
nao すべてがゼロからのスタートなんですよね。「YEAU」も同じで、素人が作ったものではなく、真剣にやっていることを伝えられる商品にしたかったんです。今ならOEMを小ロットで作ってくれる会社も探すとたくさん出てきますが、当時は情報収集がとにかく大変で、攻略本のないクソムズRPGをやっているような感覚でした(笑)。でも、絶対に諦めたくない!っていう。
―お二人のこだわりが伝わってきます。今後の展開で、発表できることがあれば教えてください。
kiyo:表参道にNOVANの2店舗目を出店します。
nao:NOVANとしての新しいプロダクトも進行中です。第一弾はお香を出して、今後はシャンプー・コンディショナーなどヘアプロダクトをリリース予定です。「YEAU」は、メイクアップの新作が8月、ネイルが11月に発表できそうです。
kiyo 来年の今頃何をやっているのか、自分でもまったく予想がつかなくておそろしいです…(笑)。おもしろいことをおもいついたら、どんなに忙しくてもやっちゃうんだろうなということだけはわかっています。
nao 本当にそうですね(笑)。私は今後、「YEAU」だけでなく、NOVANとしてのプロダクトの認知も広めていきたいです。
―これからの展開楽しみにしています! 今日はありがとうございました。
kiyo
三重県鈴鹿市出身。動画クリエイター兼美容師のクリエイティブチームmunicoとして活動。2020年コスメブランド YEAU、2023年にコンセプトヘアサロン、プロダクト、スタジオのショップ「NOVAN」をオープン。
nao
愛知県瀬戸市出身。動画クリエイター兼美容師のクリエイティブチームmunicoとして活動。2020年コスメブランド YEAU、2023年にコンセプトヘアサロン、プロダクト、スタジオのショップ「NOVAN」をオープン。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。