ブラックヘアがスタンダードになる新時代を創る!妥協なき実力派美容師、蓮沼優祐の新サロンに迫る!『next door』05 PRO SHOP WAVE

美容師として独立し、「新しい扉」を開いたオーナーに取材する『next door』は、bangs編集部が注目する美容師が立ち上げた「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。

第5回は、2022年11月に原宿で旗を上げた「PRO SHOP WAVE」。オーナーの蓮沼優祐さんが中心となり、男性特化のハード系技術を極め『自分史上最高』のヘアスタイルを提案しています。今回は、サロンが誕生するまでの蓮沼さんのキャリアや、お店へのこだわり、提供したい価値などについてたっぷり聞きました!

SPECIAL CONTENTS

2023.09.13

INDEX
目 次

PRO SHOP WAVE の蓮沼優祐さんってこんな人!

PRO SHOP WAVE

オーナー 蓮沼優祐 (はすぬま ゆうすけ)

茅ヶ崎出身。横浜ビューティーアート卒業。横浜のサロンでデビュー後、SNSで投稿していたメンズスタイルに注目が集まり、都内へ上京。渋谷にある有名サロンで技術を磨き、面貸サロンを経て2022年11月、原宿にPRO SHOP WAVEをオープン。エッジの効いたスタイルやハード系パーマ、ブラックヘアを得意とし、お客さまはもちろん同業者からも支持を受ける実力派美容師。

好きなスタイルを極めたい。ハード系技術にのめり込んだ日々。

−ブレイズ・ツイストパーマなどハード系技術のスペシャリストである蓮沼さん。美容師としてのこれまでのルーツを伺いたいです。

昔からHIPHOPやブラックカルチャーが好きで、コーンロウなどHIPHOP系のヘアを手がけていたオーナーがいる横浜のサロンに勤めていました。僕が入社したころには、流行りと共にエクステを得意とするギャル系サロンになっていましたが、昔ながらのお客さんも一定層いらっしゃって、そこで特殊系の技術を学びました。ブームはピークに達して需要が落ち着いているのはわかっていたのですが、それでも好きなジャンルをやりたかったんですよね。デビューしてからはメンズに振り切って技術を磨いてきました。

−横浜から都内に拠点を変えたのはいつごろですか?

SNSでヘアスタイルを上げていたところ、渋谷にあるメンズに特化した有名サロンから声をかけていただき、24歳で東京に出ました。

実はずっとLAに行きたくて貯金をしていたんですが、向こうだとライセンスが違うのですぐに美容師はできないんですよね。いずれ独立したいと考えていたので、LAに行くのは少し遠回りのように思えてきて…。悩んでいた矢先に、サロンからお声がけいただき、上京を決心しました。

行く前までは「どこにいても、やることは一緒でしょ」と思っていた節があって、激戦区へのこだわりは特になかったんです。でも実際に働いてみると、僕が打ち出したいスタイルは東京の方が刺さったし、インスタの反響もぐんと上がりました

−独立はいつごろから考えていたんですか?

アシスタントのときからですね。最初は漠然と夢見ていたんですが、いざ現実的に考え始めてみると、金銭面や人望など、独立に必要なものが山積みだと打ちのめされました。

サロンの主人となる以上、まずは自分が売れないと話にならないので、プレイヤーのときは得意とするスタイルをインスタで発信をして知名度を上げることに注力しました。あとはGOALDの中村トメ吉さんやL.O.Gの長山ゆうきさん、OCEAN TOKYO七五三掛慎二さんなど、すでに業界で活躍されている先輩方との関わりの中で、人間性を磨く方法を学ばせてもらいました

サロン名に込めた、親父への想い。

−独立準備で最初に手がけたことは?

サロン名は「PRO SHOP WAVE」と決めてました。茅ヶ崎にある親父の車屋の名前を継がせてもらったんです。会社を継ぐことはできないけど、親父が築き上げてきた店の名前を残して広めていきたいという想いからです。

親父の反応は「お前のやりたい店の雰囲気とちゃんと合ってんの?」と言いつつ、嬉しそうでした。WAVEはパーマとも掛け合わせられるし、僕も気に入っています。ロゴデザインは、お世話になっている彫り師の㐂針(キシン)さんに絶対お願いしたくて、念願が叶いました。

−物件はすぐ決まりましたか?

実は一番時間がかかったのが物件選びです。独立前に勤めていたサロンには入る前に「2年後には独立したい」とはっきり伝えてて。そしたらオーナーから「今すぐじゃないとしても、物件は前もって見ておいた方がいいよ」とアドバイスをもらい、だいぶ早くから着手していたんです。予算的に居抜き物件を探していたんですけど、1年半くらいかかりました。

−いろいろ見て回った中で、この場所にした決め手は?

正直なところ、ここしか通らなかったんですよね。ある意味、運命です(笑)。ここと同じような坪数は他のサロンさんも狙ってますし、法人化されてるサロンさんや実績のある企業とバッティングすると、新規立ち上げサロンはなかなか敵わないのが現実です。そんな中で気に入った場所に決まってホッとしました。

−内装でのこだわりはありますか? とってもオシャレですね。

坪数に対して広く感じてもらうために鏡を大きくして圧迫感をなくしました。壁のレンガやアートなどL.Aやバーバーのカルチャーを感じる空間にしています。居抜き物件だったので予算の調整ができ、内装は理想を実現でき満足しています。

−スタッフさんはどうやって集まりましたか?

スタイリストの須田司とは前職から働いていて一緒にやろうと前から言ってて。独立をするタイミングで迫田友季が加入してスタイリスト3名でスタートしました。迫田は月に10日ほどうちのサロン、それ以外は広島で働いています。これからも2拠点で働く彼を応援していきたいですね。オープン後に求人募集してアシスタント2名が入社しました。

−採用の決め手は?

アシスタントの宮野桜成と渡邉裕人は元々お客さんとしてきてて、インスタでリクルートを告知したタイミングで応募してくれました。面接で話したときのフィーリングで決めたんですよね。話し方だったり聞く姿勢だったり、ワードのチョイスなどに「あ、この人いいな」って直感的に感じたんです。

面接ってどうしてもいいところを見せようってなるじゃないですか。けど二人は素直で嘘がない感じがありました。芯が通ってて採用を決めましたね。8月から特殊スタイルが得意な大平光がスタイリストとして入ってくれて、6名体制でやっています。

−オープンから10ヶ月ほど経ちますが、オーナーとしてサロンに立ってみて気づいたことはありますか?

プレイヤーのときは、あんまりスタッフに細かいことを言わない方でしたが、いまはサロンの士気を上げる主人として注意することやアドバイスする機会が増えました。責任の重さが変わったのもありますが、しっかり僕の技術や接客などをスタッフに伝えていきたいですね。

−人を動かす側として、注意するときなどに大事にしてることは?

否定からは入らないようにしてます。ダメだったことがあったとしても、良いところとセットにして伝えるようにしていますね。あとは自分が言われたときもそうなんですけど、冷静に伝えてもらったことほど響いたので、感状的に伝えることはしません。

−独立と同じタイミングでお子さんも産まれましたよね。両立はどうですか?

経営者としてスタートした年に父親として一年生になり、全てが初めてのことだらけな毎日です。慣れないことをやっている分、日々成長させてもらっているなと。毎日課題が山積みなんで、頭使って両立していかないとな…と。どっちも大切にしたい世界なので、バランスが取れるように気をつけてます。

“特殊”系スタイルというボーダーラインを壊して、誰もが楽しめる未来へ。

−蓮沼さんのお客さまはどんな方が多いですか?

20代男性が中心に来てくれています。職業は本当にさまざまで職人さん、ダンサーさん、アーティストさん、この前は消防士の方がツイストスパイラル、看護師さんが針金パーマをしに来てくれました。職業によっては髪型に制約があるようですが「僕はこうしたいから」って、職場の理解を促して、チャレンジしてくださる方もいらっしゃいます。あとは、美容師のお客さんも多いですね。

−特殊系と言われるスタイルは、初チャレンジの人が多いですか?

ツイストスパイラルなどのゆるいパーマから入って、それに物足りなくなった人が段階を踏んでハード系に挑戦していますね。いきなりガツっと変える人は、内に秘めているものがあったり、ずっと憧れていたけど施術できるサロンが見つからなくて、SNSでうちのサロンを見つけて来てくれたりします。

オーダーはインスタの写真や好きなアーティストさんの写真などを見せてオーダーされる方が多いです。ここ最近で特にイチオシのスタイルは“スパイキーショートアフロ”です。

このスタイルは、実はドライするだけでキマる仕上がりになるんですよ! 髪質も影響されない万能ヘアです。施術は大体3時間程度で、長さは6〜7センチくらいあるとイメージ通りに仕上がります。

−特殊系と言われるヘア技術ならではの楽しさってありますか?

ただ単純に好きだからのめり込んでる感じですが、言葉にするとすれば『ゴールがない』ところでしょうか。パーマってウェーブつけたりストレートにしたり、伸ばすことも縮めることもできて、ボリュームを減らしたり増やせるなど、自由度の高い施術。そこにカットを組み合わせることで何万通りとスタイルを生み出すことができるので、やってておもしろいです。まだ自分の作ったことのないスタイルがオーダーされても、自分の中の引き出しが増えていく感覚が嬉しいし、やりながら成長している実感がめちゃくちゃあります。

−PRO SHOP WAVEの今後の展開は?

ここ5年でプラス2店舗、10年で5店舗、その後はフランチャイズ展開なども視野に入れています。関わる人たちが幸せになる関係を作れたらいいなと。ゆくゆくは経営者として動きながら、ブラックヘアの技術を継承するために指導者側にまわりたいですね。

若手で特殊系技術をできる方は、現状日本には本当に少ない。施術できる美容師と体験できるサロンを増やしていきたいですね。あとはうちのサロンがやってることと、他のメンズサロンさんとは得意ジャンルや打ち出し方が違うと思うので、うまく掛け合わせできたらいいなとも考えています。そのためにもまずは僕自身やPRO SHOP WAVEが力をつけないとですね。

ここ数年前まで、特殊系と言われるスタイルは非日常なジャンルとして捉えられてました。でも今は少しずつ改革されてきて、誰もが楽しめる社会になりつつあります。そういった傾向が浸透して、いい親しまれ方をしてほしいなと。“特殊”系スタイルという括りだとボーダーラインをつけられている感じがあるので、いつしかスタンダードになる未来にしたいですね。アメリカでも最近、髪型の差別をなくす法律ができたので、俺の代やその次の代で必ず、変えていきます!

PROFILE
プロフィール
蓮沼優祐
PRO SHOP WAVE オーナー

蓮沼優祐はすぬま ゆうすけ

茅ヶ崎出身。横浜ビューティーアート卒業。横浜のサロンでデビュー後、SNSで投稿していたメンズスタイルに注目が集まり、都内へ上京。渋谷にある有名サロンで技術を磨き、面貸サロンを経て2022年11月、原宿にPRO SHOP WAVEをオープン。エッジの効いたスタイルやハード系パーマや特殊スタイルを得意とし、お客さまはもちろん同業者からも支持を受ける実力派美容師。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

菊池 麻美

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。