美容エディター注目の次世代のパイオニア! GARDEN omotesando 塩山 萌々子×美容エディター/桑名真理子−Find a STAR☆第22回−

bangs特集記事の編集担当にして、1600名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃!  美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。

第22回目は、大人の女性っぽさを演出する「ヌナボブ」の考案者として注目されているボブのスペシャリスト、塩山 萌々子さんが登場! 磨き上げたボブと暖色系カラーの技術力、親しみのあるお人柄でお客さまからも絶大な人気の彼女。勤め先のサロン『GARDEN』への愛は絶大で、現在はトップスタイリト兼テクニカルチーフとして活躍中! そんな塩山さんのこれまでの歩みやストロングポイント、これからの展望を伺いました。

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2023.09.27

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目 次

塩山 萌々子さんってこんな人!

塩山 萌々子(しおやま ももこ)

福島県出身。東京ビューティーアート卒業後、新卒でGARDENに入社。持ち前の明るさと気さくな人柄でお客さまやスタッフから慕われる人気美容師。髪のツヤをアップする暖色系カラーやボブを得意とし、大人っぽさと抜け感のある『ヌナボブ』の考案者。小顔にみせる顔まわりや骨格を見極めた似合わせヘアなどが定評で、常に予約が絶えないGARDEN期待の星。

反対されても諦めきれなかった美容師の夢。覚悟を行動で示す日々

桑名真理子(以下、桑名):塩山さんとの出会いは、bangsでGARDEN津田恵さんを取材をしたときでしたね。取材した2年前はアシスタントさんで、津田さんのフォローアップや、現場の空気を読みながらテキパキ動く姿を見て「なんて視野が広くて、ガッツのあるスタッフさんなんだろう!」っとびっくりしたのを覚えています。

塩山 萌々子(以下、塩山):あの取材のことは私もすごく覚えています。まさか、今度は自分が取材されるなんて…! オファーをいただいて、驚いています。

桑名:取材の合間に津田さんが「塩山はサロンモデルを見つけるのが得意」と紹介してくださったんですよね。モデルさんのインスタを一人ひとり見せながら、イチオシポイントを熱弁していて。すごく愛情深くてストイックだなと印象に残っています。塩山さんのガッツの源って何ですか?

塩山:家族ですね。父親は料理人、母親は美容師で、両親とも技術職。妹はYouTuberのマネージメントをしていて、それぞれ好きなことを自由に選んで、エネルギッシュに生きています。その姿に影響されているのかなと。両親は近々、地元の福島で飲食店をやる予定なんですよ! パワフルですよね。

桑名:塩山さんの明るさとストイックさはご家族の影響だったとは! お母さまも美容師さんなんですね。

塩山:はい。母の働く姿を見て幼心に『カッコいいな』と思ってて。物心ついたころから私も美容師になりたいと考えていました。けど、最初は大反対でしたね(苦笑)。

桑名:え!大反対!? それはどうして!?

塩山:美容師をやっているからこその意見だと思いますが「甘い世界ではないよ」と。アトピーで肌が弱かったのもあり、親の立場としては賛成できなかったようです。一度は諦めて薬剤師を目指したのですが、美容師の夢をどうしても捨てきれなくて…。せっかくなら有名になりたいと思って、「東京の専門学校に行きたいです」と頭を下げました。

桑名:大反対していたお母さまをどのように説得したんですか?

塩山:高速バスで美容学校に行きまくって、パンフレットを見せながら母にプレゼンしました。上京するために必要な予算や計画プランなども考え、『本気なんだぞ!』という姿勢を行動で示したところ、了承してくれましたね。今は家族全員、すごく応援してくれています。髪を切りにきたり、誰よりもインスタを見てくれたり…このインタビューもすごく楽しみにしてくれています。

4年の下積み期間は「財産」。スタイリストになってみて、想うこと。

桑名:塩山さんは、新卒でGARDENさんに入社されていますよね。

塩山:はい。GARDEN一択で応募して、内定をいただきました。

桑名:一択! GARDENさんに入りたいと思った決め手は何でしたか?

塩山:上京したばかりのころは、どんなサロンがあるかわからなかったので、いろいろ見学していたんです。ところがある日、先生から「塩山はGARDENさん好きそうだよね」とオススメされて。早速予約して、フロアに入った瞬間「ここの一員になりたい!」と直感的に思ったのが、1番の決め手です。絶対入りたかったので7店舗ほどGARDENをまわって髪を切ったり、採用担当をしていた深谷 修さんのところに通い詰めてました。面接の前日にも行きましたね。自分のことを覚えてもらいたかったので。

桑名:さすがの行動力! 相当インパクトありますよね。そこまで塩山さんを虜にしたGARDENさんの魅力って何ですか?

塩山:チームワークで働いている姿…いい意味で師弟関係に憧れたんです。アシスタントさんがイキイキ働いて、その様子を温かく見守りながらスタイリストさんがキラキラと輝いていて。みんなでお店づくりをしている空間に肌感で「素敵なサロンだな」と思いました。私もここの一員になりたいって。

桑名:憧れていたサロンに入社をして、下積み時代はいかがでしたか?桑名:憧れていたサロンに入社をして、下積み時代はいかがでしたか?

塩山:丸4年間アシスタントをしていて、その間にたくさんの先輩に就かせていただきました。 GARDENのスタイリストたちは、それぞれ推している技術やジャンルは違うんですが、どれも私が目指す美容師像に突き刺さっていましたね。例えば、津田恵さんはヘアショーや撮影など外部で活躍していらっしゃったり、浦寛大さんはショートを武器に注目を浴びていたり、Momoさんは暖色カラーでセンス溢れるスタイルがSNSでも話題になり、注目されていて。他の先輩方もそれぞれ得意分野があった上で、お客さまやアシスタントを思う気持ちが神がかっているんです。その全てを吸収できたら、最強だろうなと思っていました。

桑名:色濃い4年間を送っていらっしゃったんですね。

塩山:4年でも足りないくらい、良い経験ができたなと感じています。早くて2年半でデビューするスタッフもいますので、4年は長い方かもしれませんが、今振り返ると美容師人生の中でアシスタント期間って本当にごくわずか。これだけの偉大なスタイリストさんから勉強できたことは、「財産」てす。

スタイリストになった今は、専属のアシスタントが2人ついてくれています。人を育てる側になってみて、先輩たちはこんな気持ちで指導してくれていたのかなーっと、ほんの少しわかるような気がしています。次は私が後輩に伝えていく立場ですね。

桑名:教える立場として、大切にしてることはありますか?

塩山:後輩たちもプライドを持ってやってくれているので、その行動を尊重して肯定的に受け止めたいですね。場面や立場によって大切なことや判断基準は違うと思うので、まずは相手がやっていることを認識した上で、こちら側の意見をいうようにしています。感情的に伝えたり、正論はぶつけないように気をつけていますね。私が言っていることが全て正しいとは思わないし、一つの意見として捉えてもらえればいいかなと。

これまでは後輩に叱れないことが悩みでしたが、今はアシスタントがデビューした後に、私が伝えたことが響いてくれたらいいなと思って、躊躇しなくなりました。後々わかってくれれば…と願ってます。

塩山さん考案の『ヌナボブ』。誕生秘話に迫る!

桑名:塩山さんといえば、ボブのスペシャリストという印象です。どのようにして自分の武器を手に入れましたか?

塩山:インスタ集客が支流になってきたころから、一目見て得意なスタイルをわかるようにするのが、SNSのセオリーになっています。それにSNSは、毎日コンスタントにやらないと結果はでません。それなら楽しんで続けられるものがいいなと考え、自分を媒体にして好きなボブと暖色系を打ち出しました。

桑名:やり始めてどのくらいで手応えを感じました?

塩山:1年半くらい経ってやっと反響が出ましたね。2022年の4月にデビューしたのですが、その半年前に手応えを感じたので、バズるタイミングがちょうどよかったです。

桑名:塩山さんのイチオシヘアスタイルを、ぜひ見たいです!

塩山:このボブはすごく評判が良くて、お客さまからのオーダーが多いですね。

塩山:人気の理由は、安心感のある長めの顔まわり。ボブのラインも顎下3センチの長さで、みんなが挑戦しやすいヘアスタイルです。

もう一枚は、フルバングがポイントの顎下1センチのボブ。

塩山:少しの勇気を出したらチャレンジできそうなデザイン性が好評です。このモデルさんは、私のお客さま。それもあって「自分もできるかも…!」と、オーダーしてくれますね。眉毛ギリギリのバングと、両方耳にかけて全体的にミニマムに仕上げているところがポイントです。

桑名:塩山さんのスタイルはぱっと見て女子が「可愛い」と思うツボがありますね。お客さまの層はどんな方が多いですか?

塩山:けっこう幅広くて一番下は小学生のお子さんから50代のお母さま世代の方までいらっしゃいます。一番多いのは20〜30代のカジュアルでおしゃれな雰囲気の方が多いですね。最近はフェイスレイヤーやフェイスフレーミングなど、ちょっと冒険するスタイルが好まれます。おしゃれなエッセンスが欲しいようです。

桑名:インスタのプロフィールに『#ヌナボブの考案者』とありましたが、ヌナボブはどうやって誕生したんですか?

塩山:太田ヒロトさんが「ぱつっとボブ」の考案者と打ち出していて、私も何かの考案者になりたいと思ったのがきっかけです。でもみんな考えることは一緒で、日本語で考えつくヘアスタイル名はほとんど考案されていて残ってなかったんですよ。それで元々好きだった韓国語に注目して、男性から見たお姉さんという意味の“ヌナ”をピックアップしました。

塩山:実際「ボブにはしたいけど、こどもっぽくなりたくない」と希望される方もいらっしゃるので、大人っぽくて女性らしいボブを提案したくてヌナボブを打ち出しました。デビュー前から投稿を始めたところ、おかげさまで「ヌナボブにしてください」とオーダーをいただけるほど浸透しています。おしゃれで抜け感があって、お客さまの魅力を最大限引き出す垢抜けるヌナボブが私の武器です。

チームで働くことの楽しさを、これからも継承していきたい。

桑名:デビューしてから、鰻登りにキャリアを積まれている印象ですね。

塩山:私がデビューしたころは、3ケ月間の合計売上の規定があり、クリアできるとトップスタイリストに昇格できたのですが、ちょうど2ヶ月半で達成しました。デビューして1年半弱になり、今はテクニカルチーフとして週1回の技術チェックを見ています。

桑名:売上をクリアするためにはお客さまとの関係性が大事になってくると思います。大切にしていることは、ありますか?

塩山:一つは『スピード感』です。これは先輩たちから学んだことですね。シャンプーやマッサージなどリラックスしていただく施術はゆっくりでもいいけど、カットやカラー、パーマなどはテキパキと時間内に終えることを徹底しています。担当する方が増えると時間が押してしまいがちですが、お客さまにとってはこちら側の状況など関係ないので、何がなんでも時間厳守するようにしてます。

桑名:根本的なところが、実は失脚する理由になってしまいますよね。

塩山:そうですね、だからこそ初心を忘れずに徹底したいなと。私の代わりに動いてくれるアシスタントへの教育だったり、施術を引き継ぐときも「信頼するスタッフです」と紹介して、お客さまが安心していただけるように丁寧な引継ぎを大切にしています。

桑名:出会ったときは津田さんのアシスタントだった塩山さんが、今は後輩を導く立場だなんて…なんだかウルッとしました。

塩山:私も感慨深いです。実はデビューしたとき、津田さんのお客さんがお祝いということで私に予約をしてくれたことがあって。だから今の後輩たちにも私のチームを離れても、お客さんとつながってくれてたら嬉しいです。

桑名:アシスタントさんへの熱い想いに溢れていますね。塩山さんご自身は今後の展望などありますか?

塩山:入社したときから一貫して目標にしているのは「憧れられる人間」になること。親しみやすさが自分の売りだと思ってるので、お客さまと同じ目線に立ちつつも憧れてもらえるような存在になりたいですね。お客さまはもちろん、美容師さんからも認められるような美容師になりたい。それにはまだまだ修行が必要です。

おかげさまで外部の仕事もいただくようになりましたが、同世代の人たちの活躍や技術力を目の当たりにするたび、反省点も見えてきます。だからこそもっともっと成長したいですね。いつかヘアショーやセミナーなどの表舞台や、一般誌やヘアカタの巻頭を担当してみたいです。

桑名:業界に対して改革したいこと、もしくは継承したいことなどありますか?

塩山:師弟関係の良さを感じてるのでチーム制の仕組みは、これからも継承していきたいです。私自身チームでお客さまを幸せにしたい気持ちがあるし、共に働きたいスタッフがいるからこの仕事をしているところがあります。今の時代はいろんなキャリアの選択肢が用意されていますが、私はこれからもGARDENの一員でありたいですね。もし美容師を辞める日が来たら、そのときにガーデンを辞めるのかな…と。

あとは、SNSでブランディングしている世代だからこそ、逆に「自分が本当に可愛いものってなんだろう」という疑問が生まれました。今後の成長のためにもSNS映えを狙う技術だけではなく、作品を創り上げるスキルも必要だなって。それにSNSを通して期待値が上がり、実際に来店したらギャップが出てしまわないように、根本的な技術や接客力は、あらためて大切だなと感じますね。まだまだ課題が山積みですが、一歩一歩乗り越えて、目標にしている『憧れられる人間』に、なります!

PROFILE
プロフィール
塩山 萌々子
GARDEN omotesando トップスタイリスト/テクニカルチーフー

塩山 萌々子しおやま ももこ

福島県出身。東京ビューティーアート卒業後、新卒でGARDENに入社。持ち前の明るさと気さくな人柄でお客さまやスタッフから慕われる人気美容師。髪のツヤをアップする暖色系カラーやボブを得意とし、大人っぽさと抜け感のある『ヌナボブ』の考案者。小顔にみせる顔まわりや骨格を見極めた似合わせヘアなどが定評で、常に予約が絶えないGARDEN期待の星。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

トカジ ショウタ

Photographerトカジ ショウタ

人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。