美容エディター注目の次世代のパイオニア! あっくん×美容エディター/桑名真理子−Find a STAR☆第24回−
bangs特集記事の編集担当にして、1600名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第24回目は、「ホワイトの神様」として業界内外から注目のスタイリスト、あっくんが登場! 最も難しいと言われるホワイトカラーのエキスパートとして年間600名以上を担当し、その技術力の高さから多くの同業者からも愛されているあっくん。今年9月より大阪と東京の2拠点で活動している彼の美容師としての歩みやストロングポイント、これからの展望を伺いました。
SPECIAL CONTENTS
2023.12.06
あっくんって、こんな人!
MONIQA by CIEL トップスタイリスト
あっくん
奈良県出身。大阪ビューティーアート専門学校卒業後、神奈川にあるサロンへ入社と同時にスタイリストデビュー。その10ヶ月後の1年目でフリーランス美容師となり、大阪で活動をスタート。アイコニックな人柄とリタッチ・ホワイトカラーの技術力に注目を浴び、一躍人気スタイリストに。2023年9月、東京にも拠点を構え『ホワイトの神様』としてサロンワークのみならず、セミナーやコンテスト、メディア出演などその活躍は多岐に渡る。
技術を磨き上げあることが好き。向上心を燃やす根っからの勝負師。
桑名真理子(以下、桑名):あっくん、お久しぶりです! 昨年、大阪のとあるイベントで出会ったんですよね。お会いするちょっと前にあっくんが出場したコンテストを拝見していて、とっても素敵な美容師さんだなと思っていたんです。
あっくん:あのときは会場がBARだったのでお酒を飲みながら、楽しくお話しさせてもらいましたよね。
桑名:クリエイティブな印象が強いので、クールなのかなと思ってたんです。でも、すっごく気さくでお話がおもしろくて、いい意味でギャップがありました。
あっくん:人とお話しするのが好きなんですよね。
桑名:あの日も、ユーモアを交えながら美容への熱い想いがあったり、ちょっとミステリアスな一面もあって一気に魅了されました! 肩にハマらない生き方や、美容師としての道なき道を開拓していかれる、あっくんのルーツが非常に気になって。大阪でフリーランスをしていた中、9月から東京でもサロンワークをされると聞き、一目散に会いにきました!
あっくん:ありがとうございます。嬉しいです。
桑名:若くして行動力がずば抜けてるなと感じるのですが、そんなあっくんがどんな幼少期を過ごしていたか、気になります!
あっくん:昔から勝負事が好きで、小学1年から10年ほど、サッカーをしていました。当時はすごく夢中になって取り組んでいましたね。
ただ僕は人より骨が柔らかい持病があり、骨折しやすかったり、体の一部に人工骨を入れています。日常生活を送ることは支障ありませんが、スポーツで食べていくことは厳しいなと考えてました。
ただサッカーを辞めたとき、特別これがやりたいと思うものがなかったんですよね…。どうしようかなと考えてみて、元々ファッションや髪を触るのが好きだったのと、技術を磨くことが好きだったので美容の道へ進みました。サッカーで培われた負けん気や向上心は美容師に向いている気がしたんですよね。事業で成功している父からも「一番以外は負けなんだぞ」という教えだったので、ストイックさは親譲りです。
桑名:偉大なお父さまからの一言は、深みが違いますね。
あっくん:そうですね。父は子育てにもストイックで「好きなものは自分で稼げ」という方針。美容学校で一人暮らしするときも、新卒で上京するときもバイトをして貯めました。20歳になるまで、父がどんな仕事をしているか僕は知らなかったので、甘えることもありませんでした。
桑名:自立されているのは、こういったルーツも関係しているんですね。美容の道へシフトして、学校生活はいかがでしたか?
あっくん:技術を磨くのが楽しくて、カットにのめり込んでましたね。学校が終わった後、毎日のようにカットモデルさんを呼んで、練習していました。
就職活動も海外のカット技術などを取得できるところやクリエイティブサロンに入りたかったあんですよ。
ただ、面接で「いつか独立したいです!」と素直に伝えたら落ちてしまったり、他の選考では面接を受ける寸前で「やっぱりカラーをしたい」と路線が変わって辞退したり…自分の心に嘘がつけないんですよね(苦笑)。紆余曲折ありながら第三希望の会社に入社しました。
桑名:1社目は、どんなサロンさんだったんですか?
あっくん:入社と同時にスタイリストデビューができるシステムに惹かれました。そこの社長さんにも「いずれ独立したいです」と素直に伝えたんですが、受け入れていただき感謝しています。
あっくん:僕が所属した店舗は神奈川の本厚木にあるサロンで、小田急線や相鉄線沿いの学生さんや20代の若者をターゲットにしていました。当時はインスタも普及してなかったので、街に出てハントをしてましたね。
その周辺にはハイトーン技術を推しているサロンがあまりなかったので、ブリーチができる美容師がいるということで、集客サイトはTwitterなどでヒットしました。集客方法のベースを学んだのは、このサロンですね。そこで10ヶ月ほどお世話になりフリーランスになりました。
桑名:あっくんが、街でハントをしていたのは驚きです! 1年目でフリーランスになるのはすごい決意ですね。
あっくん:学生のころから独立したい気持ちがあったので、三桁の売上をアベレージで保てるならいけるかな、と。ただ、独立についていろいろ調べてみると資金面でまだ準備が不十分で…。そのときにちょうどシェアサロンが出てきて「これならいける!」と思い、フリーランスに転向しました。
2020年3月、大阪に戻って活動をスタートしたのですが、翌月コロナによる緊急事態宣言になって…目の前が真っ暗になりましたね。
拠点を変えてすぐ緊急事態宣言…。大ピンチを乗り越えた、とある策とは?
桑名:エリアも働き方も変えたタイミングで緊急事態宣言…考えただけでゾッとします。
あっくん:お客さまが月に2件のときもありました。その上、集客目的で使っていたTwitterも乗っ取られてアカウントがなくなったんです。このままではヤバいなと思って、インスタを始めました。
桑名:インスタは大ピンチを乗り越えるための策だったんですね。SNSでは美容師としてのウリを表現する方が多いですが、あっくんはどのようにして武器を見つけたんですか?
あっくん:キャリアも1年目ですし、大阪に戻ってきたばかりだったので、母数の少ないポジションで確立できるものを探しました。当時大阪では、ホワイトカラーを武器にして集客している方はいなかったので「これだ!」とピンときて! 「ホワイトの神様」を代名詞にターゲットを美容師にしてブランディングをし、6月に初めて1ヶ月後にはDMが鳴り止まないほど反響をいただけるようになりました。
インスタを初めてから3年経ちますが大きなバズを狙うというよりは、検索画面のおすすめに常に表示されるように投稿を工夫するなど、毎日の積み重ねが反響につながっていますね。
桑名:インスタを初めて1ヶ月で結果が出るなんて、あっぱれです! 若いのに長期的に物事を捉えて、俯瞰して目標を実現されているのが、すごいですね。
あっくん:目標をクリアするために先々のことを見据えて計画したり、努力するのは得意な方です。インスタを始めてみて、日本には技術の上手い美容師さんがたくさんいることを痛感しました。だからこそ、自分はどこで地盤を固めて、何をウリにして美容業界を渡り歩くかをすごく考えましたね。
リタッチの技術やホワイトカラーで打ち出したことで希少性もあり、サロンワーク以外にもセミナーやメディア出演など、仕事の幅も広がりました。
桑名:ホワイトカラーならではの楽しさってどんなところですか?
あっくん:明度が高いカラーなのでごまかしがきかないですし、施術に入ったら1時間半くらい離れずに集中してやらないといけないので、実際は大変な技術。その没頭できる感覚や奥深さが、僕は楽しいです。
一人一人の髪質やカラーの履歴に応じて限界値や表現は変わるので、全く同じホワイトカラーは一つとして作れません。ベースとなるブリーチをいかに綺麗に仕上げるか、探究している時間も好きです。
人によって成長毛は一本ずつ伸び方も違うので、ガタガタと段になります。色ムラを出さずにつなげるのは至難の業ですが、その大変さを美容師さんは知っているので、仕上がりを見て感動してくれますね。
再び東京へ。25歳の節目に、新たなステージに懸ける想い。
桑名:インスタで一躍有名になった時期に、コンテストにも出場して結果を出されていましたよね。
あっくん:はい。出場するなら絶対ファイナリストになる覚悟で、挑みました。結果を出すことでその後の活動にプラスになりますし、関わっているメーカーさんやメディアの方、業界を牽引している美容師さんと繋がれることも大きなメリットです。
桑名:人脈やパイプ作りを大切にされているんですね。
あっくん:単純に、人が好きなんですよね。フリーランスになってから、自分より年上の方や素敵なキャリアを積み重ねている方など、付き合う人の幅が広くなりました。みなさん考えがしっかりして、今の自分に必要なことをポンっと話してくれたりして、とっても勉強になります。
桑名:すごく充実されている中で、東京進出はどんなきっかけだったんですか?
あっくん:25歳という節目をむかえ、更なるキャリアップや可能性を試したいと思いまして。売上や技術など自分が目標として掲げたものを達成して、大阪でやりきった感があったんです。大阪を拠点に東京でも活動されている美容師さんたちの活躍からも刺激をいただきました。
そんなときに、タイミングよく知人が「東京でサロンを任せられる人がいたらお店を開きたい」という話を聞いて、7月に正式に決まり、9月に東京へきました。
桑名:あっくんは運までも味方にするんですね! 今は東京と大阪はどんな割合でサロンワークされていますか?
あっくん:だいたい東京に20日程度、大阪は10日ほどいます。大阪のお客さまは顧客の方ばかりで、これからも2拠点を行き来しながら大切にしていきたいです。
あっくん:東京のお客さまは今、ほぼ新規です。エリアを変えて挑んだ初月は、一人来店してくださるたびに、内心ガッツポーズでした。デビューしたばかりのことを思い出すというか、初心にもどるいい機会でしたね。
美容師の方をターゲットにSNSで発信しているので、大阪ではお客さまの7〜8割は美容師さんで、東京でも同業者の方がよく来てくれます。
桑名:美容師のお客さまが多いとのことですが、接客で大切にしていることはありますか?
あっくん:今マンツーマンでやっていて「お任せでお願いします」と言っていただくことが多いからこそ、しっかり技術をお伝えすることを大事にしていますね。ほとんどの方がホワイトカラーを希望されるので、カラーの履歴や髪質などをチェックしながら、カウンセリングでどんなイメージを希望されているのか明確に聞くようしています。
施術中は、工程一つひとつを詳しく説明しています。「今まで担当してくださった中で一番丁寧にお話ししてくれて嬉しいです」と言っていただけたときは、やっぱり嬉しいですね。
桑名:お客さまと向き合う姿勢を、徹底しているんですね! 勉強になります。
あっくん:もしかしたら関西人ならではのサービス精神だったりトーク力を、東京で活かすことができているのかもしれません。
人の心を動かす伝え方がある。セミナーではアドリブで話すことも!
桑名:ご自身が自分らしくいるために大切にしていることってなんでしょう?
あっくん:うーん、なんでしょう、「お酒を飲む」ことですかね。
桑名:笑。こういうユーモアなところも魅力的ですよね。
あっくん:人と繋がるのが好きなんですよね。そこで得られる知識・情報や人脈からチャンスにつながることもたくさんあります。エネルギッシュな人といると僕も頑張るぞーって思えますね。
桑名:社交的なあっくんを、私も見習わないと!
あっくん:お酒の席に限らず話すことが好きっていうのもあります。コンテストのプレゼンテーションだったり、セミナーなんかもアドリブで話すこともあります。飲みながら人を笑顔にしたいとかおもしろいこと言いたいみたいなボキャブラリーを鍛えてる節もあります。仕事にも活きてきますし、口が勝手に動くようになるんですよ。
桑名:人の心を動かしたい、サービス精神がすごく素敵です。あっくんの次の展開が気になります。直近でやっていきたいことは何ですか?
あっくん:東京に来たばかりなので、まずは基盤づくりに集中したいですね。来年3月まではプレイヤーとして、技術を向上させてお客さまに集中していきたいです。
自分の実力を証明しながら、ホワイトブリーチやリタッチの分野を研究し、そのノウハウを具現化していきたいですね。この3年間ひたすらやり続けた僕にしか分からないハウツーがあると思いますし、それを周囲に伝えられるようにしたいです。そのためにも研究を深めていきたいですし、自分の実力を証明する時期かなと考えてます。
桑名:いつか、あっくんのバイブルが出版される日が来るかもしれませんね! 勝手な期待をしちゃってます(笑)。東京でのご活躍も、心より応援しています!
あっくん
奈良県出身。大阪ビューティーアート専門学校卒業後、神奈川にあるサロンへ入社と同時にスタイリストデビュー。その10ヶ月後の1年目でフリーランス美容師となり、大阪で活動をスタート。アイコニックな人柄とリタッチ・ホワイトカラーの技術力に注目を浴び、一躍人気スタイリストに。2023年9月、東京にも拠点を構え『ホワイトの神様』としてサロンワークのみならず、セミナーやコンテスト、メディア出演などその活躍は多岐に渡る。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。