-境界なく自由に、自分らしく生きる美容師の世界-【BORDERLESS/ボーダレス】枠を突き破るゲーム・チェンジャー対談 GOALD中村トメ吉×AI TOKYO 鎌形諒【前編】
人は時々、目に見えない境界線を意識しすぎて、不本意な選択や窮屈な生き方をしてしまうことがあります。常識、基準、境界さえも飛び越えて、我が道をゆく美容師さんにインタビューする企画です。
記念すべき第一回は、前サロンで切磋琢磨し、現在はボーダーラインを越えて、より親交を深めているGOALD中村トメ吉さん、AI TOKYO 鎌形諒さんの対談です!前編・後編
の2本立てでお届けします。
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SPECIAL CONTENTS
2021.08.18
BORDERLESS/ボーダレスに生きる美容師の世界【PV】
入社前から存在感ありすぎ! 愛すべき図々しい男・鎌形諒
鎌形 諒(AI TOKYO 代表取締役 以下、鎌形):中村さん、最初に僕と会ったときのこと覚えてます?
中村 トメ吉(GOALD 代表取締役 以下、中村):カマと最初に出会ったのは前社のサロンで、お客さんとして自分の髪を切りに来たんじゃなくて「友達の付き添い」だった。しかも、帰りのエレベーターに友達と乗り込んでドアが閉まるときに、フロアに向かってデカい声で「俺ここに入るんで、よろしくお願いします!」って。
鎌形:あははは! 懐かしいですね!高校3年生なんで8年前くらいですね!
中村:「友達の付き添いできたくせになんやねんコイツ!?」って思ったよ。
鎌形:僕の中村さんの印象は「ものすごく愉快なお兄さんがいるな」って感じだったんですよね。それからお客さんとして髪を切りに行くようになりました。中村さんの姿をみて「こんなに楽しそうに仕事をしている大人がいるんだ」と感じたし、そんな中村さんを見て素直に自分もそういう大人でありたいと思ったんですよね。
中村:お客さんとしてきているときもなんか偉そうな感じで、待合でも丸いサングラスして足組んで座ってて。でも、話してみると素敵なヤツだった。いい意味でめちゃくちゃ図々しくて「成人式で着るので中村さんのスーツ貸してください。身長が合う大人が中村さんしかいなくて」って電話してきたりして。
鎌形:あのときは、中村さんの家まで借りに行きましたね。僕の中で一番強烈に記憶に残っている中村さんの記憶があるんです。アシスタント時代に一度だけめちゃくちゃ叱られたことですね。休日に家まで謝りに行きましたもん。いなかったけど(笑)普段中村さんは全然叱らないし、大抵は笑って許してくれるんですけど、お客さんのことになると本気度が全く違う。
中村:カマはいつも一生懸命なんだけど、ボーダーラインを踏み越えちゃうことがある。ただ、本質的な部分では、お客さまファーストだし、俺と近いところがあると思っていて。「美容師のあり方」とか「業界に対しての考え方」なんかも似ているんじゃないかな。
やるときゃやるけどハートは少年! 理想のお兄さん・中村トメ吉
鎌形:中村さんはどこまでいっても中村さんのままですよね。お客さまの前でも、僕らの前でも変わらない。こういう対談の場でも同じ空気をつくってくれるし、本当にすごいなって思っています。家に帰ったら甘えん坊らしいんですけど、そこだけは見たことがないかな。
中村:俺は、家から出たら監視カメラが回されていると思って生きているから。だから、ノンセットの俺の頭とか見たことないでしょ。
鎌形:いや…あるっすよ。
中村:あるか(笑)。
中村:家を出た瞬間からスイッチが入ってる。「高校生のころに自分が出会いたかった大人」でいるというか。やることやっているけど超アホでハートは少年だね、常に。
鎌形:だから中村さんにはふざけたことも言えるんです。理想を語る会でも、僕らの話も聞いてくれる。
中村:「ロマン会」のことね。
鎌形:僕が「もっとこうしたいんですよねぇ」とビジョンを語ると中村さんが「いいね、それ!」とか、「俺もこうしたいんだよね」とか言ってくれたり。
中村:キャリアパスや雇用形態の話をよくしてるね。カマもさ、その時々で流行っているサロンや、シェアサロン、業務委託サロンとか、多様化した業界を見てきたわけじゃん。そういう業界の流れを見たうえで、今どんなことを思っている?
鎌形:正直あんまどうも思っていないというか。疑問が無いと言うと嘘になりますけど、それって先人たちがつくりあげてきた正解であり改革なんで。その上で僕たちは、そのとき自分が思った正解に従って自分が思う在り方をつくっていきたいと思うだけっすね。
「自分の好きなようにやっちゃいなよ」と枠を外すのが僕の役割【鎌形】
鎌形:業界に対して、強いて思うところを挙げるとしたら、独立の部分ですね。スタッフの新しい挑戦を心から後押しできない美容室が多いと思うんですけど、僕らはガチで支援できる会社の土台をつくりたい。一般的には、売上がある人たちから抜けていって経営的に苦しくなるケースが多いかもしれないけど、僕らは苦しむどころか心から後押しして、もはや独立や新しい挑戦自体をプラスに好転できる仕組みや制度をつくることができたらなと。
とにかく業界の当たり前とか、世の中の当たり前にとらわれたくないですね。お客さまのためになる選択だったら、どんどん自由にやっていこうっていう考え方です。自由にやっているときに人は一番輝くし、人も集まってくると思うので、下の子たちにも「好きにやりなよ」って言ってます。彼らがとらわれている「枠」を外してあげるのが僕の役割なのかなと。
中村:俺は常識どころか、そもそも自分自身を疑い続けて生きてきたから。基本的に世の中の全てに対して疑いの目しかもっていないので。自分が見て感じたものが自分の生きている世界で、人によって見ている世界は違うと思うんだよね。例えば70年前は沖縄戦があって、当時は戦争に行って死ぬことが正しいと思われていたわけで。終戦後は価値観が変わっていったじゃない。
そもそも正解はないという前提に立ち、自分が正しいと思うことを証明していきたい。そんなスタンスで、お客さん、スタッフ、美容師、美容業界と本気で向き合って、理想として掲げたものをカタチにしていくだけ。
経営者であることも手段だし、美容師であることも手段。自分が最大限に人をハッピーにするという目的に対してどういう手段をとるかっていう発想。だから2年後、自分が経営者でいるかどうかも正直わからない。
鎌形:今の業界って自分よりも10歳以上の上の人たちが、かつて自分たちが若いころ、その業界にいて疑問に思っていたことを改革してきた結果として今の業界の在り方があるだけだと思うんですよね。今、マストで業界が改革しようとしている点は給与や雇用、働き方だったりすると思うんですけど。次は、先輩たちが改革したあとの業界で働く僕らの世代が疑問に感じたことを更にアップデートして変えていく時代。個人的には、雇用と働き方が改革されたあとは、独立とキャリアパスの部分を改革したい。今のところはそれが僕の使命なのかなと思います。
俺らは今やっているゲーム自体を変えなきゃいけない【中村】
鎌形:今って単純に美容室が多すぎると思うんですよね。これだけたくさんあるとお客さんもどこに行けばいいかわからなくなっちゃう。100店舗目指しますって美容室もあるじゃないですか。店舗展開自体はとても素晴らしいと思いますし、お客様に求められているという結果でしかないとは思います。でもこのまま美容室が増え続けると供給過多になって結果としてどこかが潰れるわけで、競合他社との競争に勝つか負けるかしかない今の業界の現状はどうなのかな、と。
中村:そもそも俺らは今やっているゲーム自体を変えなきゃいけないと思っていて。「ライフスタイル創造事業に進化する」というミッションを掲げているのも、そこを目指しているからなんだけど。
枠の外に目を向けることで新しいキャリアパスも描けるし、その土台を構築するとなるといろいろと必要なものも見えてくる。ただ、そこに向かうと決めた以上、これからいろんなものを変えていかなきゃいけない。
中村:俺らがやりたいのは、シンプルに男性の背中を押していくこと。そう考えると美容室は数ある事業の一つであり、リアルコミュニティっていう位置付けになる。お客さんって俺らからしたら教科書。与えているのではなく、俺らは与えてもらう側だから。お客さんから考え方や価値観を与えてもらう手段が美容師なんだけど、手段を変えて違うビジネスに転換することもできるはずなんだよ。
鎌形:同感っす。美容師になったから、美容師でい続けなきゃいけないってことはないし、何をやってもいいと思う。僕も美容室は一つの事業としか見ていないんで。美容師で得た価値観をいろんなところに派生させて、入ってくれた子たちが、自由にやりたいことを実現させられる環境を作りたいと思いますね。
中村 トメ吉Tomekichi Nakamura
23歳でスタイリストデビュー。ヘアカタログ巻頭とランキング1位を連発。芸能人やサロンモデルから絶大な支持を得て25歳で店長に就任。28歳で起業。都内の2つの有名サロンをメンズ業界No.1サロンに押し上げ、2019年9月に再び起業。新しいメンズサロンブランド『GOALD』をOPEN。経営者として5年で10億円の収益を出し、2018年3月には自身の著書「若手を動かせ」を出版、Amazonベストセラー1位を獲得。「全国経営者セミナー」で業界最年少登壇。全国各地でセミナー活動を精力的に行い、総動員数は述べ1万人を超える。地上波テレビ・新聞。経済紙など業界の垣根を越えて、数々のメディアに取り上げられ続けている。メンズ美容師のパイオニアであり、業界に新しい価値観を生み出す実業家・革命家。
鎌形 諒Ryo Kamagata
千葉県出身。エビスビューティカレッジ卒業。2016年、応募倍率30倍、300名を超える応募があった憧れのトップサロン「OCEAN TOKYO」に就職。当時、最速の2年でスタイリストデビューを果たし、その後1年でトップスタイリストに昇格。平均売上アベレージ460万を超え、歴代初のディレクターまで務め、マネージャー業、人事部、プレスを兼任。2020 年に退職。株式会社P.Bを設立し自らがオーナーとなる「AI TOKYO」を立ち上げ、美容室だけでなくアパレルや事業や不動産事業も手掛ける。モットーは『良い美容師である前に良い人間であれ』。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographer&Videographerきるけ。
広告撮影チームを経て独立。アーティスト写真や音楽イベント、広告、建築、MVなど様々なジャンルにて活動。舞台照明を日常に落とし込んだ際に生まれる非現実な空間撮影を得意としている。
Videographer&Editer丹波 おさむ(たんば おさむ)
Fogboundfilmworks所属、フリーランスとして活動中。ファッションやアートなどのイメージ&プロモーションビデオなどアーティスティックな表現を得意とする一方、コーポレートやWeb広告・番組の実績も多数。