美容エディター注目の次世代美容師のパイオニア! THE SLICK 向田 夏希×美容エディター/桑名真理子−Find a STAR☆第26回−
bangs特集記事の編集担当にして、1600名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃!美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを伺います。
第26回目は、ハイトーンを武器に一躍人気スタイリストとして登り詰めた若きクリエイティブ美容師、THE SLICK 向田 夏希さんが登場! 一人一人にフィットするセンスあふれるヘアスタイルやその技術力に業界内外から注目を受ける彼女。そんな向田さんのこれまでの歩みやストロングポイント、これからの展望を伺いました。
SPECIAL CONTENTS
2024.04.12
向田夏希さんってこんな人!
THE SLICK 店長
向田 夏希(むかいだ なつき)
山形県出身。日本美容専門学校卒業。都内サロン2店舗を経てTHE SLICKの立ち上げから参加。2021年8月にスタイリストデビューを果たす。ハイライトカラー全般を得意し、カットやパーマと掛け合わせて唯一無二のクリエイティブなデザインを排出。。アリミノフューチャーズロード学生部門、グランプリ、HAIRCAMPカミングスーンHAIRCAMP賞(2022年)、ミルボン da ハイトーン部門ファイナリスト(2023)など受賞歴も多数。注目の若きクリエイティブ美容師。
今の自分を肯定できるのは、決断に後悔がないから。人生の判断基準とは?
桑名真理子(以下、桑名):向田さんとはコンテストの受賞インタビューでお会いしましたね。センス溢れるクリエーションやクールビューティーな印象が強かったのですが、実際お会いしてみると親しみやすいお人柄や笑顔が印象的で! ギャップ萌えでした。
向田 夏希(以下、向田):すごく意外に思われるんですが、幼いころから活発で学生時代は何かと目立ちたいタイプ。応援団や実行委員長などリーダー的役割は率先して手を挙げてやり、バレー部ではキャプテンでした。どちらかというと、陽キャですね。
桑名:お会いすると、そのポップな感じが垣間見れてより魅力的です。向田さんが美容師になりたいと思ったきっかけは?
向田:いつも人生の選択は「カッコいいこと」「楽しそうなこと」を判断基準にしてます。その2つが揃う職業はなんだろうと中学のときに考えて、美容師になると決めました。地元の山形から東京まで買い物に行くほどオシャレに興味がありましたし、自由な表現ができそうなところに魅力を感じたんです。
専門学校を選ぶときも、東京でやった方がカッコいいし、学校名に『日本』って入ってるからきっと凄いだろうと思って日本美容理容専門学校へ。試験の多い学校でしたが、せっかくやるなら一位にこだわって取り組んでましたね。コンテストにも出てアリミノ フューチャーズロードの学生部門でグランプリを獲りました。
就活は有名クリエイティブサロンに狙いを絞り、第一志望に入社。効果的な就活方法がわからなかったで、ひたすらサロンに通って印象を残しました。そのサロンはアシスタントがヘアショーやコンテストなどで多岐に活躍していて、キラキラして見えたのが決め手です。
桑名:学生時代から勝者! ここまで順風満帆な美容師さんに会ったのは初めてかも。
向田:確かに前に進んでない…と悩むことはないですね、もっとやりたいのに経験や知識がついてこなくて困ることはありますけど。不器用ではないですが、自分ができてるとも思っていません。やることをやり続けて、気づいたら叶っていた感じです。
桑名:謙虚さと行動力の合わせ技…カッコいいです!
向田:選んだ道を「こうしとけばよかった」と思うことが、あんまりないですね。今の状態が悪いと、過去の決断をきっと後悔するじゃないですか。けど、今を良いものにしていたら、あのときの判断や自分自身を肯定できる。そう思えるように今、やることをやっています。
美容師という仕事を選んだこと、東京に来たこと、その選択を肯定して動いてきたおかげで、今こうして取材を受けることができています。
ゲーム感覚で大変なことをやり抜く。仕事一色の下積み時代。
桑名:学生時代から活躍されていた向田さん。アシスタント時代はいかがでしたか?
向田:新卒入社したサロンで2年、前社で1年アシスタントをしていましたが、忙しすぎて一瞬で過ぎ去った感じです。その当時の自分は大変だと思っていることもあったけど、そのめっちゃ大変なことを大変だと思わずにやっていた時代。
朝と夜にお客さまをやって、休日はモデハンして、起きている時間のほとんどを仕事に費やしてました。振り返ってみると、そんながむしゃらな日々が楽しかったですね。アシスタント時代に戻れって言われたら、戻りたくないですけど(笑)。
桑名:休日にモデハンして、朝と夜もお客さまを担当するアシスタント…すごくハードな毎日!
向田:努力しているというよりゲーム感覚でしたね。街で見かけた素敵な人が自分のモデルになったらいいなと声をかけて、入客して予約枠をいっぱいにする。オセロをめくっていくように自分のフィールドが広がっていく楽しさがありました。
そんな毎日を過ごしていたら売上がついてきて、予約枠を増やさないと入りきらなくなり、スタイリストデビューが決まりました。
桑名:デビューした当初からお客さまがついてたとは! お客さまは何を求めてきてくれてると思いますか?
向田:テクニックでしょうか。推していたハイトーンカラーは技術力がハッキリ出るスタイル。上手な美容師も当時は少なく、時代のニーズとマッチしましたね。
その後インスタでもハイトーンブームが来て、SNSの集客の波に乗ることができました。今もハイトーンのオーダーは多いですが、カットやパーマも得意です。お客さまの想像を超えるものを提供できたときに、やりがいや楽しみを感じますね。
桑名:お客さまはどんな方がいらっしゃいますか?
向田:自分の年齢に比例して、20代中盤から30代のお客さまが多いです。以前は10代から20代前半がメインだったのでデザイン系のスタイルやブリーチのオーダーが多かったですが、今はパーマや暗髪、ワンカラーの方も増えてきました。
美容師やアパレルなどオシャレなヘアを楽しめる方から、看護師や保育士さんなどスタイルに制約がある職業の方もいらっしゃいますね。職場内のルールで限界はあるけどギリギリを攻めたい方、またプライベートはオシャレを楽しみたいという方が来てくれます。そんなときは許容範囲内で明るくしたりパーマやカットで顔まわりにアクセントを入れるなど、こちらもギリギリまで攻めています。
桑名:接客はどんなところを大切にしてますか?
ラフな感じですね。等身大のまま接してます。9割は女性のお客さまで、接客中は会話が弾みますね。
街を彩るヘアデザインに。反響を生む美容師でありたい。
桑名:個性が光る向田さん。美容師としてのストロングポイントは?
向田:『反響を生むこと』を大切にしています。お客さまが日常に戻って周りの人たちから「いいね」と言ってもらったり、街中で思わず二度見したくなるような反響が出たらいいなと思っています。ヘアスタイルは歩く広告。私がやったということの価値が出るように、中途半端な感じでは終わらせないです。無難になるのが一番嫌ですね。街を彩れる、そんなヘアスタイルをデザインしています。
桑名:こだわり抜いた向田さんの渾身のスタイルを拝見したいです!
向田:このヘアはセミナーで披露したスタイル。全体的にブルーにして産毛だけピンクに仕上げました。このモデルさんは一年半ほどオレンジカラーでそろそろ飽きてきたという話になり、補色のブルーでガラッと雰囲気を変えています。短いバングがシャンプーのときに産毛みたい張り付いてるのを見て、その部分をピンクにして動きを出したらおもしろいかも…と思いつきました。
桑名:発想の着眼点や生み出すスタイルが斬新で目を引きます! 今では同業者から一目置かれる注目美容師さんですが、実感することは!?
向田:今回のように取材をいただいたり撮影やセミナー依頼などが来ると実感しますが、同時に「私で大丈夫!?」ってなります。自己評価よりもいい意味で世間に評価してもらえてギャップを感じることもありますが、感謝してます。
桑名:今後の展望をお聞かせください。
向田:「やりたくないけど、できること」に着手します。やりたいことやできることだけでは活躍のフィールドが少ないし、やりたくないしできないことは、やらなくていい。けど、やりたいくないけどできることは、自分の幅を広げるために必要だな、と。去年は店の移動などバタバタしていたのを理由に大きなチャレンジをしなかったのですが、やはり何もしないと何者にもならないと実感しました。
向田:実はコンテストもその一つ。どうせ出るなら勝ちたいし負けるのは嫌なので半端な気持ちで手を出せなかったんですが、そのやりたくないことをやっていきます。
今はサロンで店長をしていますが、言葉で率いるのはあまり得意ではありません。自分のためにチャレンジしたことで結果を残し、その背中で後輩のマネージメントをできるのが自分らしいし、一番カッコいいなと。
向田:いつか心からやりたいことをする機会に恵まれたとき可能性が広がるなら、やれることは選ばずやっていく価値はあるし、そんな一年にします。
桑名:結果が出るまでの道のりがしんどいことも知ってる上で、チャレンジする向田さん、カッコいいです! 向田さんの才能を業界はホッとかないですね! 私も応援しています。
向田 夏希(むかいだ なつき)
山形県出身。日本美容専門学校卒業。都内サロン2店舗を経てTHE SLICKの立ち上げから参加。2021年8月にスタイリストデビューを果たす。ハイライトカラー全般を得意し、カットやパーマと掛け合わせて唯一無二のクリエイティブなデザインを排出。。アリミノフューチャーズロード学生部門、グランプリ、HAIRCAMPカミングスーンHAIRCAMP賞(2022年)、ミルボン da ハイトーン部門ファイナリスト(2023)など受賞歴も多数。注目の若きクリエイティブ美容師。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。