25歳までに若きスター美容師に育てる! 『ALLZ』の決意、サロンの魅力に迫る!『next door』09 ALLZ
美容師として独立し、新しい扉を開いたオーナーに取材する『next door』は、bangs編集部が注目する美容師が立ち上げた「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。
第9回は、2023年の3月に奥渋谷で人気美容師SHOKIさん・佐川 嘉一さんがオープンしたALLZが登場! ハイトーンの技術を武器に、指通りの良い艶やかなカラーが業界内外から注目される SHOKIさん。カラー特化型有名サロンを6年勤めたのち、メンズカットで人気の佐川さんと共に独立しました。なぜサロンを開く道を選んだのか、お店づくりのこだわりや技術・接客への想いをたっぷりお伺いしました!
SPECIAL CONTENTS
2024.07.03
ALLZ SHOKIさんってこんな人!
ALLZ 代表
SHOKI
静岡県出身。国際文化理容美容専門学校 渋谷校卒業。都内2店舗を経て、2023年3月に専門学校時代の友人である佐川嘉一氏と共にALLZを立ち上げる。ハイトーンカラーを武器に、お客さまからの支持を集め一躍人気美容師へ。インスタフォロワーは約20万人強。サロンワークのみならずセミナーや撮影などその活躍は多岐に渡る。圧倒的な技術力と物腰の柔らかい人柄が魅力。アーティスト、アスリートや著名人からの指名も多い。
五厘刈りのサッカー少年が、トレンドの聖地で美容の道へ
ー インスタのフォロワーは20.5万人(2024年6月時点)と業界屈指のフォロワー数を誇るSHOKIさん。そもそも美容師になったきっかけは?
美容の世界に入る前は、幼少期からずっとサッカーをやってたんですよ。高校はサッカー推薦で入り、その超体育会系なフィールドが美容師になるきっかけですかね。
というのも、赤点を取ると1教科ごとに髪が短くなる部活のルールがあって。進学校なのでチームメンバーは文武両道をしているのに、僕はほぼ全ての教科で赤点。ずっと5厘刈りでした(苦笑)
高校2年にケガをしてサッカーを続けることができなくなり、この先のことを考えてみたんです。ずっと坊主で髪を伸ばせなかった反動もあり「美容師なら好きな髪型ができる!」と、美容師になる決意をしました。
ー 5厘刈りの経験がきっかけだったとは! 静岡出身のSHOKIさん、美容学校から東京・渋谷へ来たのも何か理由があってのことですか?
母のアドバイスが決め手ですね。母はずっと東京でパタンナーとして働いて、タレントさんの衣装を手がけるなど、夢を叶えてきた人。「美容師になるなら東京へ行きなさい」と、背中を押してくれました。僕も、せっかくやるならトレンドの聖地、東京でチャンスを掴みたかったので。
上京したてのころは、マジでダサかったですね。一番イケてるファッションはジャージだと思っていたし、伸びかけの坊主ヘアでしたから(苦笑)。そんな田舎者に美容のセンスや基礎を教えてくれたのは、バイトからそのまま入社して4年間お世話になった久我山の美容室のみなさんです。
ー 美容師として原点、一社目はどのような美容室でしたか?
地域密着型サロンで、幅広いお客さまから支持をされていたので、ハイトーン以外は全て経験しました。美容師としての技術のベースを学びましたね。
あと少しでスタイリストになるころ、ふと「なんで東京に来たのかな」と思い返したことがあって…。時代の最先端を追いたくて東京にきたので、やっぱりハイトーンをやりたいなと願望があったんです。激戦区でカラーを学びたいことを素直にオーナーに相談したら「いつかそう言うと思ってたよ」快く受け入れてくれました。
それ以来、昇進や独立など美容師人生の節目には、オーナーに必ず挨拶に行きます。大切な原点であり、恩師です。
ー その後ハイトーンカラーで人気のサロン、SHACHUの門を叩いたSHOKIさん。どのような日々でしたか?
僕が入社したころは、まだ今ほどの知名度はなく、ハイトーンやデザインカラーが注目されて一気にいろんな人に知ってもらうサロンになりました。先輩たちが独立すると、次の世代が伸びてお店が進化していき、サロンが人気美容室として成長していく姿を見させていただきました。本当に凝縮した6年間でしたね。24歳でデビューしてからは、サロンワークだけでなく外部の仕事も担当させてもらうど、活躍の場が一気に広がりました。
25歳までに仲間を全員スターにする。その願いとは?
ー いつごろから独立を視野に入れていましたか?
一緒に店を開いた佐川 嘉一とは専門の同級生で、22歳のころから「一緒にやれたらいいよね」と話していました。友達とやったら失敗するのが通説ですが、逆に成功事例を作れたらおもしろいよね、と。28歳までに自分たちに課したノルマを達成できたら独立しようと話してました。
ー どんなノルマを課したんですか?
お互い管理職になって人材教育はどういうものかを経験したり、売上やSNSフォロワーなども目標数値を設けて、資金、ブランディング、集客的に大丈夫であろう目星をつけていました。そのゴールラインをお互い大幅にクリアできたとき、独立が現実的になりましたね。
ただ、6年お世話になったサロンやオーナー・スタッフのことは好きで恩義があったので「独立するまでにスタッフを有名なスタイリストにしっかり育てます! なので2年後にお店を出させてください」と話しました。所属している期間はしっかり役割を全うし、合間に時間を割いて独立準備をしていました。
ちなみに独立後もSHACHUのカット講習に行ったり、教育していた後輩のデビューチェックにも立ち会います。師匠のみやちさんのことは「会長」って呼ばせていただいてますね(笑)。ご縁を繋いでいただき、感謝しています。
ー 独立準備の際、物件や立地へのこだわりはありましたか?
タレントや有名人もいらっしゃるので『秘密基地』のような場所を探してました。条件に会う場所がなかなか見つからなかったんですが、半地下の物件が出て、ここだ! とピンときましたね。みんなくつろいでくれるかなって。
専門学校や遊ぶ場所も渋谷で縁のあるエリアですが、奥渋谷は開拓してなくて。自分が知らない渋谷に出店したら、お客さまも新しい街の魅力を知れておもしろいかなと決めました。駅から少し歩きますが、その道中も楽しんでもらえたらいいなと。
ー スタッフさんはどのようにして集まってきたんですか?
まだサロンの場所も雇用条件も決まってないタイミングで「オープンします! 興味のある方はDMください」とSNSでアナウンスしました。オープニングスタッフは条件で応募してくる人よりも、やる気を見たかったのが狙いです。結果、20名ほどDMがきて、面接して最終的に2名採用しました。
僕たちの採用方法はちょっと変わってて、新卒も中途も一緒に面接するんですよ。「25歳までにスターにしよう」というALLZのコンセプトにマッチする人を探しているので、新卒・中途にこだわらずに選出しています。
ー 25歳までにしたのは、何か狙いがあって?
これまでの美容師人生を振り返ってみて、一番活力があってチャンスに飢えてるのは、25歳のスタイリストになりたてのころだったよねと佐川と話したことがあって。その時期にフォーカスしたら今後の美容人生が変わりそうだよね、と。オーナーがフロントいるよりも、スタッフの突き抜けるものを見つけてみんながスーパースターなるお店にしょうと思っています。
ー ALLZのみなさんは、選ばれしスターの原石なんですね。みなさんそれぞれの魅力は?
役員の佐川は学生時代からの友だちで、僕がやりたいことを実現してくれる相方です。経営は二人でやっていて、僕がフロントマンとしてサロンの宣伝広告塔となり、相方が経営など僕が苦手な数字関連をやってくれてます。やりたいことにストップをかけてくれるのも相方しかいません。といっても99%ストップされないんですけどね。どうしたらできるかを前向きに方向性を考えてくれます。
学生のころから相方のことをずっとマネージャーと呼んでて、私生活でも僕が苦手なところを全部できる、尊敬している人です。
スタッフは、それぞれ得意なものを独自で持っていて、個性が立っているメンバーばかり!とにかく仲が良くて自然体で働いています。何より気持ちが強いし、目が輝いてるんですよ。と言うのも、代表だけでなくALLZ全員で目指す方向が一緒なんです。
組織としては、スタイリスト・アシスタント6名とバックオフィス1名、アートデザイナーが2名の陣営です。アートデザイナーがいるのは珍しいと思いますが、サロン内のアートを描いてくれたりTシャツ手掛けてくれているんですよ。
ー アートがとっても素敵で見入っちゃいます。ALLZのサロンとしての強みは?
最新技術を常にアップデートするようにしています。僕は毎回オリジナルスタイルを作りたいので、あえてレシピの履歴を残さないようにしてるんですよ。「前回と同じで」とオーダーを受けても、毎回ほんの少し変えますね。常に100点を超えられる技術を提供したいんです。
あとは、お店の中の居心地の良さも徹底しています。家でくつろいでるように気ままに過ごしていたら、ヘアスタイルが最強になっているのがサロンとしての理想。iPadでYouTubeや少年ジャンプ+が読めたり、首からつけるスピーカーを提供しています。
ー とても居心地の良い空間ですね。内装にもこだわりがありそう!
内装はスケルトン建築で工事したそのままをベースに、髪色が一番引き立つように、空間の色彩トーンは抑えてます。僕はカラーを得意としてるので、服も基本的には無彩色です。お客さまが主役だとしたら、僕ら美容師は黒子。その空間が居心地良くて、お客さまが主人公になれる場所でありたいと思います。また、僕はレディース、佐川はメンズを推しているので、どちらのお客さんも過ごしやすい雰囲気にしています。
ALLZに所属できるのは10年。その後のキャリアが輝く方向性を一緒に創る
ー SHOKIさんの美容師としての武器は?
僕はずっとハイトーンを推していて、お客さまの9割がオーダーされますね。昔は明るさを楽しむ時代、そこからデザイン性の高いヘアがきて、これからは手触りが良くて艶のあるハイトーンに需要が集中すると予想しています。
ハイトーンでお客さまが懸念されるのはパサつく、髪が切れる、カラーを塗るときに頭皮に染みること。今年に入りその懸念点を改善し、いかに指通りよくツヤツヤにするか研究・開発しているんです。縮毛矯正のスペシャリストを呼んでケミカルな知識を深め、今は艶めくトリートメントを打ち出しています。
ー お客さまはどんな方がいらっしゃいますか?
学生さんやアーティストの方、ダンサーさん、スポーツ選手など髪色を自由に楽しむ方が多いですね。
オーダーは基本的にお任せ。元々話すことが好きなので、接客中はプライベートと変わらないスタンスで、トークを楽しんでいます。実は美容師になってから「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と声がけをしています。2回目も来てくれたら常連だと思ってるんで、お客さまにも「ヤッホーって入ってきてね」と伝えてますね。
とはいえ、ラフすぎてもいけないので、お客さまに合わせて話し方や内容、トーンを見極めるのも大事です。
ー フレンドリーで明るいSHOKIさん。その人柄で周りに人が集まるんですね。
僕の方こそ、お客さんはもちろん、友達や仕事関係など周りの人たちにむちゃくちゃ助けられてます。僕一人でやれることは限られてる、周りの人たちが僕の良さを生かしてくれてます。実際、友人がオファーをしてくれて、業界以外からもチャンスをいただくことが多々あります。
今は、スポーツブランドのPRをしている友人が1年間かけて本社の方を口説いてくれて、サポートの仕事をしています。美容師のファッションは常にチェックされているし、取材やヘアショーなど表舞台に立つことも多い職業。大事なシーンで、そのメーカーのスニーカーを履いています。
ー 精力的に活動している SHOKIさん。これから力を入れていきたいことはありますか?
3年前にカラーレシピAIN解析アプリ『Color Recipe』の開発に着手し、さらに軌道に乗せていきたいですね。
ー カラーレシピがわかるアプリ!画期的ですね。開発しようと思ったきっかけは?
ブリーチカラーのセミナーをすると「どういうレシピでやってますか?」と質問されることが続いたんですよね。レシピがわからなくて不安になる美容師さんが、思った以上に多いと実感して。そこで、カラーレシピが瞬時にわかるツールがあったら、美容師さんや美容業界に恩返しできるかなと、開発に挑みました。ヘアスタイルを2枚撮影するだけで最適なレシピを提案してくれます。
一昔前はレシピを隠す風潮もありましたが、今は技術をシェアする時代。僕は全ての知識を公開しています。僕のお客さまも地方から来てくださるお客さまがいますが、美容代より交通費がかかってしまってる人もいて。エリア問わずハイトーンができる美容師が増えたら、お客さまも嬉しいはず。アプリを通してカラー技術がグッと上がり、日本中がより美しい髪色になる! とワクワクします。
また、美容学生がこのアプリを使ったらスクーリング中にカラーの知識が深くなり、就職も有利になるはず。このアプリが教科書のようにスタンダードになってくれたらいいですね。
ー ALLZとしての今後の展望は?
ALLZのスタッフには、雇うのは10年と伝えています。大切にしているスタッフ本人の意思を尊重してほしいんですよね。美容師のキャリアは店長より上がないのが現状。その先を用意して事前にイメージできるために、あえて出口を設けています。
完全独立だったりフランチャイズ展開などやり方はいろいろありますが、10年後のプランは、これからみんなで考えようと思っています。直近は、今のスタイリスト・アシスタントの成長を見ながら、3店舗まで増やす構想です。
ー SHOKIさん自身は、どんな美容師として認知されたいですか?
スターの原石を見つける発掘力やプロデュースを武器にしていきたいですね。サロンがオープンしてからしばらくは、お店を引っ張るためにも僕が表に出ますが、今後はより後世の成長にフォーカスして行く予定です。
僕自身も、デビューしたばかりのころは全然売れなかったので、そういう人たちに寄り添えるのも僕の強みかなと。
ALLZは、シャンプーやカラー・パーマなど基本的なことを学んだのち、メンズかレディースどちらかを選択してカットを習得します。先に学んだ技術でデビューし、スタイリストを1年やりながらもう一つの技術も覚えて、最終的に全部できるようにカリキュラムを組みました。僕らの時代は特化型でしたが、今後は全ての得意を掛け合わせたハイブリット美容師が強くなるはず。
僕はレディース、佐川はメンズを得意としているので、お互いのいいとこどりで最強のスタイリストを輩出したいですね。育ててきたスタッフがそれぞれの個性を活かして、羽ばたいていくサポートをしていきます。
SHOKI
静岡県出身。国際文化理容美容専門学校 渋谷校卒業。都内2店舗を経て、2023年3月に専門学校時代の友人である佐川嘉一氏と共にALLZを立ち上げる。ハイトーンカラーを武器に、お客さまからの支持を集め一躍人気美容師へ。インスタフォロワーは約20万人強。サロンワークのみならずセミナーや撮影などその活躍は多岐に渡る。圧倒的な技術力と物腰の柔らかい人柄が魅力。アーティスト、アスリートや著名人からの指名も多い。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。