

卓越したカット技術と満足度の高いサービスをマンツーマンで提供する『cerne』。サロンの魅力に迫る!『next door』11 carne
美容師として独立し、新しい扉を開いたオーナーに取材する『next door』。bangs編集部が注目する「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。
第11回は、2022年11月に赤坂でオープンしたcerneが登場!デザイン性と再現性を兼ね備えた技術とセンスが定評の永島稔久さんが立ち上げたcerneは、今注目のサロンです。
今回は永島さんの美容師ストーリーと共になぜお店を開く道を選んだのか、サロンづくりのこだわりや技術・接客への想いをたっぷりお伺いしました!
SPECIAL CONTENTS
2024.12.25
cerne代表、永島稔久さんをご紹介!

cerne代表
永島 稔久(ながしまとしひさ)
福岡県出身。福岡美容専門学校を卒業後に上京し、都内有名サロンへ新卒入社。13年の勤務の間に講師活動や副店長などを経験。その後フリーランスになり、オンラインサロン「CUT tech」を立ち上げる。2022年11月東京・赤坂にプライベートサロンcerneをオープン。経験豊富で確かな技術力を武器に、国内外でセミナー講師としても活躍中。
決して器用ではないから人の何倍も努力する! 有名サロンでの下積み時代

ー 巧みなカット技術で講師活動もされている実力派美容師の永島さん。そもそも美容師になったきっかけは?
僕の両親は北九州で美容室を営んでいて、その影響が大きいですね。高校三年生まではやりたいことがなかなか見つからなくて、かといって目的もなく大学に行くのは嫌だったんです。その時期にちょうどカリスマ美容師ブームが到来し、身近だった美容師の仕事に興味を持つようになりました。
美容師はお客さまとの信頼があって成り立つ仕事です。幼いころから両親の働く姿を見ていてすごいと思うのは、仕事に対する本質的なところが一切ブレないんですよ。いつもお客さま目線で接していて、長年続けられている両親を尊敬しています。

そのころ僕の姉は東京でメイクスクールの講師をしていたので、会いに行くと知り合いの美容師さんと会わせてくれたんです。東京に行くたびに刺激を受けて美容師になりたい気持ちが強くなり、地元の美容専門学校へ進学しました。

ー 学生時代はどんな美容室に入りたいと思っていましたか?
姉から紹介してもらって髪を切りに行ったサロンを第一志望にしていました。そのサロンは創業から約40年色褪せることのない確かな技術とハイセンスなデザインで日本を代表する美容室。そんな誰もが憧れるサロンから内定を頂いたときは一時、学校のヒーローになりましたね。
ー 業界をリードするトップサロンでの下積み時代はいかがでしたか?
同期は30名ほどいる中で僕は決して器用なタイプではなかったです。ひたすら練習する毎日でしたね。人一倍練習しようと朝早く来てやってましたし、営業後も最後の一人になるまで練習していました。
当時はSNSもなかったので、街に繰り出してモデハンもやりました。人が集まる場所をリサーチして日中は原宿、夜は渋谷に移動するなど苦手ながらに工夫してやっていましたね。スタイリストになるのを第一目標に、無心で量と数をこなしていました。

ースタイリストデビューまで何年くらいかかりましたか?
早くて4年でデビューしている人がいる中で、僕は5年弱かかりましたね。デビューするのに7〜8年かかった先輩がいるほどカリキュラムも豊富で、チェックはとにかく厳しかったです。
ー デビューしてからはどのように集客をしましたか?
当時はSNSがなかったので、営業後に街に出て人脈を広げていました。あのころはお客さまやカットモデルさんを探すためにクラブに行くのが支流。フロアの一角にヘアメイクブースがあって、そこでゲストを施術しながら知り合いを増やしていました。

ー 地道な作戦が今のご活躍につながっているのですね。美容師として手応えを感じたのはいつごろですか?
お客さまがついてきてくださったのはスタイリスト3〜4年目でしょうか。最初はメンズの方が多かったのですが、お客さまの彼女さんやご友人を紹介してくださって女性の割合が増えていきました。
またセミナーや講師経験も自信に繋がりましたね。サロンでアカデミーを運営していたので、教育チームの一員として国内はもちろん北京や上海などいろんな国や日本各国へ行きました。同じセミナーをしても日本人と海外の人ではリアクションや感受性が違くて、教育っておもしろいなと感じましたね。

また、新店舗の立ち上げと副店長を任せてもらった経験も大きいです。青山から新宿へ拠点を移すことになり、どうやったらお客さまが来てくれるか、スタッフを売り出す方法などを考える日々。SNSをはじめたのもそのころです。みんなでやろう! と店で取り組み始めて、集客や売上につながるなど結果がわかりやすく出るのは楽しかったですね。ブランディングとマネジメントを学んだ濃い3年間でした。振り返ると前のサロンでの経験が僕の美容師としての核となっていますし、とても感謝しています。
cerneはフランス語で『年輪』。日々技術を鍛錬し、一人ひとりと丁寧に向き合いたい

ー いつごろから独立を視野に入れていましたか?
学生時代に「いずれ地元に帰ってサロンを開きたい」と漠然と考えたことはあったのですが、具体的に考え始めたのは33歳のころ。美容師として次のステップに行きたい気持ちが沸々と溢れ、また結婚して家族との時間も確保したい気持ちもあり独立を決意しました。
独立準備中は赤坂のシェアサロンでフリーランスをしていたんですよ。技術のバリエーションを増やすためにセミナーへ行ったり、前職で培った技術をベースにアレンジを加えるなど技術をアップデートしていきました。このフリーランス期間で自分にしかできないい技術や武器を確立できたように思います。

フリーランスになって一年後にコロナ禍になった当初は不安でいっぱいでした。ただお店は全て個室で感染のリスクが少ない環境だったおかげで、お客さまが離れず来ていただけました。運が味方をしてくれましたね。
ー 独立準備はどのように進めていきましたか?
赤坂でお店を出すことは決めていたので、最初は物件探しからスタート。飲食街やオフィスビルが多いエリアなので美容室に適した物件がなかなか見つかず、今のサロンを見つけるまで1年くらい探していましたね。
ー 赤坂エリアに決めた理由は?
赤坂は丸の内線や千代田線に駅があり、どの方面からもアクセスが良くて便利。都会的な大人の街のなので、僕の肌感的にも合うんですよ。
赤坂はいろんな顔を持つエリアで、僕は土日の赤坂が好きですね。平日は仕事で行き交う都会的な印象ですが、土日は閑静で観光を楽しむ人が散策を楽しんでいます。朝はオフィス街の雰囲気ですが夜は一変して繁華街として賑わうなど、魅力的な街です。来ていただいているお客さまもいろんなタイプの人がいて楽しいですね。

ー サロン名の由来は?
cerneはフランス語で『年輪』という意味。成長と共に一年ずつ重なる年輪のように、確かな技術でお客さまと丁寧に向き合っていきたい思いが込められています。マンツーマンの施術で満足度の高いサービスを提供できるように内装や空間作りにもこだわっていますね。
僕のお客さまは女性が多いので、清潔感や開放感を重点にホワイトベースでパッと明るい印象にしました。インテリアなどはヘアメイクをしている僕の妻のセンスや意見を参考にしています。お客さま視点に立って居心地の良さを追求してセレクトしていますね。
デザイン性と再現性を兼ね備えた技術で、オーダーメイドのヘアへ導く

ー cerneはどんなお客さまがいらっしゃいますか?
30〜40代を中心に少し上の年代の方もいらっしゃいます。赤坂近辺で勤めている方や住んでいる方も来ますし、Instagramを見ていろんなエリアから来てくれています。経営者の方も多くいらっしゃるので、お話をしながら僕も勉強させてもらっていますね。バリバリ働いている方も割とカジュアルに美容を楽しまれていて、ハイトーンカラーやハイライトも人気です。またネイリストやジュエリーデザイナーなど手に職を持つ方もいらっしゃっていて、髪型にこだわりがあるおしゃれな方が多いですね。
ー 永島さんのイチオシスタイルは?

このウルフカットはお客さまから好評です。骨格に合わせたフォルムの出し方やレイヤーの柔らかさ、毛先の質感には特にこだわっています。耳の後ろは髪の毛が集まって膨らみやすいので、耳周りは上に向かってカットするのがポイント。
再現性やもちの良さも大切にしていて、お客さまからは「アイロンを使わなくてもスッキリ決まる」と言っていただきます。乾かすだけでスタイリングが決まると髪のダメージも軽減でき時短にもなりますし、その結果リピートに繋がっています。
トップのカラーはホワイトベージュ。コントラストが出てよりおしゃれ度がグッと増しますよね。サロンワークでも僕からデザインを提案することが多いです。来店されるたびに心境や求めるものが変わっているはずですから、些細な変化をキャッチしてデザインを提案をしています。
また、僕は美容師さん向けにカットの動画をSNSに上げています。Instagramを始めたころはお客さま向けにスタイル写真を投稿していましたが、僕の得意な「教育」関連で発信しようと考えてやってみたところ反響がありました。僕の好きな韓国の美容師さんのカット動画をチェックしていて、そこからヒントをもらって僕もやったところフォロワー数やリアクションが増えましたね。

コロナ禍にはオンラインサロンを立ち上げて、3年経った今は180名ほどの方が利用してくださっています。アシスタントの方でも無理がないように月2200円の金額設定して運営しています。
更新頻度はだいたい月に2〜3回。技術はもちろんですがお気に入りのシザーやプロダクトアイテム紹介なんかも好評です。この前はカット本を実際に読んで解説するライブ配信もやりました。オンラインサロンを立ち上げてから3年ほど立つので自分がマンネリしないように、別の方のセミナーや動画コンテンツから学んで自分なりに落とし込むなどインプットも欠かさないようにしています。

ー さまざまな活動が注目される永島さん。今後の展望をお聞かせください。
これまでの経験を活かして今後はさらに海外で講師活動をしていきたいですね。昨年は僕のInstagramを見て台湾の方からDMでオファーをいただき、2回ほどセミナーをしました。僕はもともと一箇所にとどまって活動したいとは思っていないので、より視野を広げて様々なところで技術を伝えていきたいですね。

2022年11月にオープンしてちょうど2年がたちました。お店運営もだいぶ安定してきたのでゆくゆくはスタッフを入れたいと考えています。今は働き方も多様化していますから相手の意見と僕の判断が合致する方向でリクルートできたらいいですね。
これからも「この人に任せたら大丈夫」と信頼と安心感のある美容師でいられるような仕事を心がけていきます。両親のようにお客さま一人ひとりに真摯に向き合いながら、より技術やデザインの完成度を高めてサロンの成長とともに僕も進化していきます!
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永島 稔久(ながしまとしひさ)
福岡県出身。福岡美容専門学校を卒業後に上京し、都内有名サロンへ新卒入社。13年の勤務の間に講師活動や副店長などを経験。その後フリーランスになり、オンラインサロン「CUT tech」を立ち上げる。2022年11月東京・赤坂にプライベートサロンcerneをオープン。経験豊富で確かな技術力を武器に、国内外でセミナー講師としても活躍中。

Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。