

人気美容師の『心技体』を紐解く!「COA代表・高橋英昇のパフォーマンスアップメソッド」
美容師の仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには、心と体、そして技術を常に磨き続ける必要があります。プロフェッショナルな人気美容師さんは、そんな『心技体』のバランスを整えるために、どんなことを行っているのでしょうか?
今回は、実力派スタッフが多く在籍する日本屈指の人気サロンCOAの代表/高橋 英昇さんが登場!年間5,000人以上の顧客を担当し、技術教育やブランド監修などマルチに活躍する傍ら、家族との時間も大切にする高橋さん。
今回はそんな高橋さんの“パフォーマンスを最大化するための習慣や考え方”にフォーカス。『心技体』でそれぞれどんなことを心がけているのか、プロの流儀を伺いました。
SPECIAL CONTENTS
2025.05.28
高橋 英昇さんってこんな人!

COA代表 / 統括プロデューサー / 技術監修・ブランド構築アドバイザー
高橋 英昇(たかはし えいしょう)
東京都福生市出身。サッカー全国レベルの強豪校で精神力と自己管理力を培い、国際文化理容美容専門学校国分寺校を卒業。新卒で有名サロンに入社後、スタイリスト2年目で年収450万円を突破。2021年10月にCOA銀座を共同立ち上げ、現在は全国4店舗を展開。小顔カット・前髪デザインの第一人者。年間5,000人以上を担当し、月間売上1031万円を記録。再現性×言語化×感性教育を軸に、全国セミナー講師・商品開発・SNS戦略支援など多方面で活躍。働き方改革にも注力し、時短勤務で育児と両立。「発信力と仕組み」で業界の未来を変革中。
【心】「好き」が原動力。やりたいことでチャンスを呼び寄せ、飛躍のきっかけに。

一流美容師としてご活躍されている高橋さん。活き活きと過ごすために、日々心がけていることはありますか?
僕は人生の選択をするときに『好きなことを通して、誰かの役に立てるかどうか』を軸に決めています。学生時代はサッカーにのめり込んでいて、強豪校に進学。インターハイを目指して毎日必死に努力しましたが、あと一歩届かず悔しい思いもしました。
でもその経験が、自分の限界を超えて努力する“根っこ”になっていると感じます。美容師の道を選んだのも、人と関わるのが好きで目の前の人を笑顔にしたいという想いがあったから。

サッカーと美容師は共通点があるんですよ。それは『夢中で向き合えること』。技術を高めることが楽しいですし、お客さまの笑顔につなげていくことができます。自分のモチベーションになっていますし、その積み重ねが今の自分をつくっている気がします。
また、サッカーのようなチームスポーツはコミュニケーションも大切ですので、相手に伝わるように話すコツなど、セミナーで活かせるシーンがあります。サッカーや美容師のように上を目指して夢中になる感じが僕の性分にあっているようです。美容トレンドは年々変化が激しいですので、ある程度経験を重ねても常に技術やセンスを磨く必要があります。

どれだけで現場に出ていても、30代になるとデザインがちょっと凝り固まってしまうんですよね。そういうときは僕のInstagramを見せて、後輩の素直な意見を直接聞くようにしています。
お店でも話をしますが、ときどき僕の好きなサウナに一緒に連れていってコミュニケーションすることもありますね。僕は仕事の悩みを聞いてお互いに意見交換を楽しんでいます。
【心】5年間病気知らず! サウナで心身ともに整え、最高のパフォーマンスをつくる

ー サウナに行かれるとのことですが、どういった効果がありますか?
僕は5年ほど前からサウナに行っています。仕事のパフォーマンスも上がりますし、風邪を引かなくなったんですよ。インフルエンザなど流行性の病気にもなりません。サウナに入ると疲労が抜けやすくなり、血流も良くなって、次の日にはすっきりした状態でお客さまに向き合えるようになります。

サウナ→水風呂→外気浴の繰り返しを3セットするのがサウナの基本ですが、僕は2セットにしています。3セットだと疲労感が強く感じるので、僕の場合2セットくらいがちょうどいいリラックス効果が得られる気がするんです。以前は週一で通っていましたが、今は子供が産まれたばかりなので、出張先でサウナを検索して行くのがちょっとした楽しみです。
美容師は、心も体も健康でないと、最高の技術と接客は提供できません。だからこそ、僕は『整える習慣』をとても大切にしています。
【技】お客さまの貴重な時間をいただいていることを肝に銘じ、幸せな体験を提供する

ー 高橋さんが美容師として最大限のパフォーマンスをするために意識していることは?
『お客さまに最高の空間で一流の技術・接客を提供し、幸せになって帰っていただく』ことです。
限りある施術時間内で最高のパフォーマンスをし、お客さまと真摯に向き合うことを大事にしています。
僕は前髪や顔まわりカットを得意としていて、顔まわりカットだけのために電車で1~2時間かけてお越しいただくお客さまもいます。美容室にはおおよそ15~30分くらいの滞在時間ですから、その何倍も時間をかけて来てくださるんです。週一で前髪カットのために来店されるリピーターの方もいらっしゃるんですよ。だからこそ満足度の高いスペシャルな時間を体感していただけるよう、精進しています。

新規の方は、パーソナルカウンセリングで丁寧にヒアリングします。切るのは一瞬のことですが、どの方もお仕事や家事・育児など、お忙しい中で時間を割いてきてくださっていますから、その人のことだけを考えて全力で向き合って施術しています。
ー カウンセリングを重視されているとのことですが、どんなことをヒアリングしますか?
髪質や骨格、髪に関する日々の悩みや困りごと、スタイルの好みを聞くようにしています。また最近は、ヘアスタイルをSNSでリサーチして保存している方もいるので、そういったところから好みをキャッチアップしますね。しっかりご要望を伺った上で、プロ視点で提案させていただきます。

どれだけ腕が良くても、それを“どう説明し、納得してもらうか”が、お客さまの安心感や信頼に直結しますので、『わかりやすく伝えること』は大切にしています。たとえばカットでは、「なぜこの長さにするのか」「顔まわりのデザインがどう似合うのか」などを、言葉はもちろん、図や動画を使ってお伝えします。お客さまご自身が納得した上で施術を受けてくださると、その仕上がりへの満足度もぐっと上がるんです。

ー リピーターの方も多いですか?
今年で美容師13年目、スタイリストになって8年目になりますが、そのころからお付き合いが続いているお客さまも多いです。全体の8割くらいがリピーターの方ですね。
ー 前髪・顔まわりカットに特化したきっかけは?
スタイリストデビュー前にSNSを始めて、当時は前髪のビフォア・アフター投稿が人気だったんです。僕もやってみたところアシスタント時代で1万人くらいフォロワーが増え、手応えはあるもののお客さまに似合わせできているのだろうかと考えてしまって…。そこで髪を結んだときや耳にかけたときのニュアンスなどお客さまのライフスタイルに寄り添ったデザインを考えるようになり、顔まわりカットの表現にこだわるようになりました。

前髪や顔まわりのカットは、大きく印象が変わるので満足度も高いんですよ。逆を言えばお客さまにとってこだわりのあるポイントですので、骨格や毛量、クセなどを判断して、技術を磨いていきました。
変わり映えがわかりやすいのでSNSでの反響もあり、SNSを強化してから一年で5万人ほどフォロワーが増えましたね。ただ、前髪・顔まわりだけではリピートしていただくことは難しいので、ボブやミディアム、レイヤースタイルなどカットの総合力を鍛えていき、今に至ります。
一番好きなカットで美容師としての技術の幅を広げて、現在はご要望に沿ってハイトーンカラーや縮毛矯正なども施します。結婚や出産、ライフイベントなどお客さまの人生のフェーズに合わせて、長いお付き合いができる美容師でありたいですね。
【技】目の前の身近な人ほど大切に。家族とスタッフがいることで理想の働き方ができている

仕事に限らずどんなときも『周りの方に感謝をする』ことを大事にしています。一番近い人を幸せにできないと、その先の周りの人も幸せにすることはできません。妻と生まれたばかりの双子の我が子を第一に考え、仕事ではスタッフのことを大切にしています。
現在、COAには80名を超えるスタッフが在籍しています。どれだけ組織が大きくなっても、現場に立つ気持ちや仲間へのリスペクトは変わりません。スタッフ一人ひとりが、安心して挑戦し、成長し、喜びを感じながら働ける環境をつくることが僕の役目だと感じています。
僕はいま仕事と育児を両立するために10~16時の時短勤務をしてます。それは組織の形があり支えてくれる仲間がいるからできること。全スタッフに日々感謝ですね。

実は今日(取材の日)が時短勤務の初出勤日。実際にやってみながら代表と相談して期間を決めていく予定です。
ー 双子のお子さんの育児。想像するだけでお忙しい日々かと思いますが、実際に経験していかがですか?
毎日が一瞬で過ぎていきます(笑)。出産後の二週間は僕も仕事を休ませていただき、育児と奥さんのケアに専念。退院した初日は、赤ちゃんの様子が気になって不安で一睡もできなくて…。
奥さんの実家で1ヶ月ほどお世話になり、育児のイロハを学ぶ日々。

3時間おきにオムツ替えとミルクをあげるなど、今までとは全く違う家事・育児の生活リズムを身につけるところからスタート。ミルクの工程ひとつでも、計量してお湯を沸かして使った後は洗って消毒して乾燥して…やることが山積みです。

想像より100倍もやることがあって大変ですが、我が子が愛しい限りです。産後2週間の休暇は、命を育てる責任や尊さ、妻への感謝が身にしみて、より家族の時間を大事にしたいと思うきっかけになりましたね。
美容師はどのポジションの人も忙しい職業ですが、プライベートも大切にしていけるように制度を整えることは美容業界において課題だと痛感しています。だからこそ自分が体感して仕組みを作り、浸透していきたいですね。

安心してキャリアを築ける環境は、ライフ&マネープランのシミュレーションや、勤務時間の可視化・共有といった小さな工夫の積み重ねから始まります。これからの美容業界で必要とされる“働き方の多様性”を実現する第一歩になれたらいいですね。
僕自身が先陣を切って体感することで、『パパ・ママ美容師がもっと活躍できる美容室』を本気でつくっていきたい。それが、これからの時代に必要な“サロン経営のあり方”だと考えています。
【体】朝散歩で健康的な1日のスタート! 家族との時間も大切に。

ー 体力勝負の美容師。高橋さんはどのようにエネルギーを高めていますか?
週一でトレーニングや筋トレをしています。また、出産前は夫婦で『朝散歩』を日課にしていましたね。セミナーなど休みの日に仕事が入ってくることもあるので、日々のちょっとした時間で家族の時間を作ることを大事にしています。出勤が9時だったら7時30くらいに起きて、そこから30分くらい近所の周りを散歩していました。
ー 健康を追求するためにしていることは?
実は正直なところ、これまで何も考えてなくて(苦笑)。意識し始めたのは、ここ最近なんですよ。子供が産まれたことで、自分の体のこともすごく考えるようになりましたね。
若いころは何も気にせず飲んで食べていましたが、去年末から『禁酒』しているんです。僕も奥さんもお酒が大好きでよく飲んでいましたが、妊娠して奥さんは飲めなくなったので、僕もお酒をやめました。今は飲みたい欲求もなく過ごしていますね。

最近のノンアルコールビールは結構美味しいので、たまにお酒の代わりに飲んでいます。20代のころの食事や生活習慣のまま30代を過ごして40代に突入したら、仕事に影響が出るでしょうし、30代のうちに心身のメンテナンスや生活の見直しは大事ですね。

これまでの「時間を注げば成果が出る」働き方では通用しない現実を前にして、自分がいま何をすべきなのかそして何を大切にするかより考えるようになりましたね。
その結果、自然と“時間の質”に目を向けるようになったんですよ。限られた時間の中でどれだけ集中し、大切な家族やスタッフ深く向き合っていきたいですね。そういった意識の変化が、仕事や人生のクオリティを上げてくれると信じています。
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高橋 英昇(たかはし えいしょう)
東京都福生市出身。サッカー全国レベルの強豪校で精神力と自己管理力を培い、国際文化理容美容専門学校国分寺校を卒業。新卒で有名サロンに入社後、スタイリスト2年目で年収450万円を突破。2021年10月にCOA銀座を共同立ち上げ、現在は全国4店舗を展開。小顔カット・前髪デザインの第一人者。年間5000人以上を担当し、月間売上1031万円を記録。再現性×言語化×感性教育を軸に、全国セミナー講師・商品開発・SNS戦略支援など多方面で活躍。働き方改革にも注力し、時短勤務で育児と両立。「発信力と仕組み」で業界の未来を変革中。

Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。