すべてのご縁が輪となり、それぞれの“らしさ”が息づく『CIRKLE』。代表の井川ジュンペイさんとサロンの魅力に迫る!ー『next door』14 CIRKLEー

美容師として独立し、新しい扉を開いたオーナーに取材する『next door』。bangs編集部が注目する「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。

第14回は、2025年11月東京・代官山にオープンした『CIRKLE』が登場! 類稀なる技術力でセンスの光るメンズヘアを次々と生み出す代表の井川ジュンペイさん。サロンワークの傍らヘアメイクとしても活躍する井川さんが開いたCIRKLEは、今注目のサロンです。

今回は井川さんの美容師ストーリーと共になぜお店を開く道を選んだのか、サロンづくりのこだわりや技術・接客への想いをたっぷりお伺いしました!

SPECIAL CONTENTS

2026.01.30

INDEX
目 次

井川ジュンペイさんのプロフィールをご紹介!

CIRKLE/代表

合同会社Alo

ADDICT CASE /Hair makeup artist

井川ジュンペイ

茨城県出身。東京ビューティーアート専門学校卒業。都内有名サロンを2店舗経て2025年3月にAloに参画し、同年11月代官山に『CIRKLE』をオープン。圧倒的な努力と類稀なる技術力で2018年ホットペッパービューティーアワードのメンズスタイルでは2位を獲得。現在はサロン運営やサロンワークと並行してヘアメイク事務所に在籍。数々の撮影やコレクションを担当するなど、その活躍は多岐に渡る。

結果を出すまで諦めない。そう誓った両親との絆

ー 井川さんが美容師を志したきっかけは?

学生時代に親父との死別、高校を転校するなど大きなできごとが重なったのがきっかけですね。実は幼いころから剣道を本格的にやっていて、その経験を活かして消防士か警察、教師になりたかったんですよ。

ただ公立の高校に入ってしばらくして通信制の学校へ転校することになり、剣道もやめてその反動でめちゃくちゃ遊んでましたね。そのころ親父の病気が悪化して…日毎に弱っていく姿を見るのが10代の自分にはキツいときがあり、家に帰らない日もありました。

高校2年生のころ親父が亡くなったのですが、葬儀では家族の予想を上回るほど多くの人が来てくれたんですよ。パティシエだった親父は人たらしな性格で、周りの人を大切にしてたくさんの人から慕われていたんだな、と。

大切な人との別れをきっかけに、どんな人生を歩もうか真剣に考えましたね。親父のような人望の厚い人になりたいといろんな方向性を手繰り寄せて、一番興味があったのが「美容師」。土日休みの仕事がいいとずっと思っていたはずなのに、手に職の道を選んだのはやっぱり親譲りの性分なんでしょうね。

ー ご家族とのつながりを通して美容の道へ進んだのですね。美容師の仕事のどんなところに惹かれたんですか?

地元・茨城の美容室で担当してくれたスタイリストさんの存在が大きいですね。家族や学校のこと、ときどき恋愛や将来についてなどプライベートなことを自然と相談する不思議な居場所になってました。ヘアスタイルを通してなりたい自分に近づいたり、意欲まで湧き起こすパワーを持ってる美容師ってすごい。絶妙な立ち位置で人と関わる特別な職業だと、興味が湧いたんです。

ー 素敵な担当美容師さんとの出会いがきっかけだったんですね。その後の進路は?

東京ビューティーアート専門学校に通うことが決まったのですが、その年に東日本大震災が起きまして…。茨城は震度6で大変なことになり、正直なところ進学を諦めようと思ったこともありました。

ただおかんは僕のこれまでの苦悩を知っているからこそ「頑張っておいで」と背中を押してくれたんです。その想いに結果で答えようと、本腰を入れて貪欲に練習してましたね。まずは学校で一番になろうと、美容学生が集う全国コンテストでグランプリを取りました。

また上京して見知らぬ土地でのスタートでしたので、とにかく人との出会いを大切にしたんですね。友だちに誘われて有名サロンに行ってそこで初めてシャンプーをしてくれたのが、現在会社のパートナーであるAlo代表の宮島です。

2回目に行ったときは他の方が担当してくれて、それでも宮島は「ジュンくーん!」と必ず挨拶に来てくれたんですよ。日本屈指のメンズサロンで働く人が、ただの美容学生の僕を気にかけることにジーンとして。宮島の師匠も唯一無二のカリスマ性があり、そのサロンの新卒募集に応募したんですよ。

無事に入社することができたのですが半年後にその二人が退職することを知り、僕もしばらくして追うようにそのサロンに転職し、また一緒に働くことになりました。振り返ると美容師人生のターニングポイントで、宮島がキーパーソンになっていますね。

ー 前社では10年ほど在籍されたようですが、どのような日々でしたか?

常に「こんちきしょう!」という感じだったんですよ。反骨心がずっと根底にある感じと言いますか。先輩たちの言葉は理解できるけど、上手くできないし形にできない。「もっと自分はできるはずでしょ!」という気持ちが10年間途切れることがなく、その間は不思議と辞めたいと思ったことがなかったです。

前社は一世風靡を巻き起こす有名サロンで、代表はスター集団でしたしスタッフもSNSで爆発的に人気の子やオシャレでセンスのある子もウジャウジャいて。そんな人たちと比べて僕は秀でたものがないような気がして、特化できるものをずっと探していましたね。

ー 井川さんならではの美容師としての強みをどのように見つけていかれましたか?

原点に立ち返って、僕は人がめちゃくちゃ好きだからフットワークを強みにしたんです。いろんなところへ顔を出して、足を動かしてオフラインでコミュニティを開拓しました。

すぐお客さんとして来てもらうというよりは「髪のことで何か困ったらおいで」と気さくな感じで繋がって、そこに信用を得てお客さまとの関係性が深まり、通ってくださるようになりました。といっても本当は緊張しいだし人見知りな面もあります。ただ人に興味があるので、お互いの共通点を見つけるなどしてコミュニケーションをとるのが楽しいんですよね。

ー サロンを構えることはいつごろから考えていましたか?

10年目の節目に、自然と次のステップを考えいました。今後どうしようかなと考えていたころにたまたま宮島とご飯に行く機会があり、しばらくしてまた道端でばったり再会して。そのころには漠然と自分でサロンを作るのも一つの道かなとも思ったんですが「また一緒に働けたらおもしろそうだよね」となり、宮島のサロンに入りました。

お互いの得意なところを伸ばして一緒にやっていたのですが、ありがたいことにスタッフが徐々に増えて、7席あるAloもパンパンになり新たに僕がお店を出す運びとなったんです。

人とのつながりで今がある。縁が輪になっていくサロンにしたい

ー サロンを構えるにあたり、まずは何から着手されましたか?

まずは物件探しですね。CIRKLEの物件は、元々知り合いがBARを開こうと検討していた場所。ただ美容室の居抜き物件だったので改装費用の予算が合わず、「ジュンペイどう?」と声をかけてくれて。実際に見にいったのが昨年の8月です。

決め手となったのは、『屋上』。レジ横にカフェカウンターを作って、髪を切った後に屋上でコーヒーを飲みながらくつろいでいただけたらいいなと企んでいます。

豆からブレンドしているコーヒー通の知人がいるので、一緒にできたらいいですね。また、いろんな方面で活躍している知り合いがいるので、デザインを手掛けているメガネや服などもいずれフロアに置きたいですね。

ー サロン名『CIRKLE(サークル)』の由来は?

サロン名はヘアメイクの仕事でハワイの結婚式に行ったときに出会った、アイス屋さんと考えたんですよ。大学を卒業したばかりの二人組とお店の一角にあるゲームコーナーでマリカーしていたら仲良くなって(笑)。日本に帰ってくるタイミングで髪を切ったりご飯に行くなどしていたら、日本人の彼と好みが似ていると感じて相談したんです。サロンのコンセプトを伝えて候補に上がったのが、『CIRKLE』。ロゴデザインも彼が手掛けています。

CIRKLEは「仲間が集まる場所」「繋がりを大事にする空間」という意味をこめて、縁が輪となり終わりなくサロンが成長していく、そんな場所にしたいと思い決めました。

家族、友人、先輩、後輩、お客さま、人と人との繋がりで今の僕がいます。関わっていただいた全ての方々と輪になっていけたらいいですね。サロン名を一人で決めるのではなく、周りとの繋がりで決めるのも自分らしいかなって思っています。

ー CIRKLEに在籍するスタッフの魅力は?

CIRKLEは、現在ERICOとSHUTOの2名がいます。

ERICOは、しっかり者でとにかく熱い! 女の子らしい一面もありますが、仕事となると負けん気を発揮しいて男前なので、そのギャップが魅力ですね。

SHUTOは、コツコツ研究熱心でスーパー優しい人。形になるまでやり切る職人気質ですね。アシスタントのころから一緒に働いてくれているので、僕も彼の存在に救われています。

ー 井川さんのお客さまはどんな方がいらっしゃいますか?

デビューしてから変わらず年上の方が多いですね。メイン層は20〜50代までの社会人。職種の幅は本当に広くて、IT業界や医者、芸能、コンサルなど業界もバラバラ。お客さまのコミュニティで一つの産業が成り立つなと思うほど、いろんなジャンルの方がいらっしゃいますね。おおよそ8割はリピートの方です。

スタッフ横一列の立場で、それぞれが活躍するパイプを開拓する

ー 井川さんが美容師として武器にしていることは?

何か一つのスキルに絞って売り出すことは、あえてしていないんですよ。美容師側はお客さんに似合わせるのが仕事。流行り廃りはありますが、お客さんの希望に沿いながらよりカッコよく可愛くするのが使命です。例えばなりたい髪型の画像をお客さまが見せてくれたとして、そのままをやったら似合わないことがあるんですよ。

もちろんトレンドは押さえていますが、お客さんがどんな人になりたいかを軸にしています。これは長年流行スタイルを発信し続けてきたからこそ思うことでもあって。世に溢れるヘアスタイルはあくまで好みの方向性を知る手立て。お客さんの良さを活かしてカスタムすることが僕の強みです。

ー 井川さんのSNSを拝見すると何か一つに特化したスタイルを載せていないのは、そういう意図だったんですね。

お互いの意見を交わして本気で向き合ってベストな答えを導きたいんですよね。できる限り要望を聞いて僕ができる最大限のヘアスタイルを作り続けたいです。

ー 撮影などの外部活動でもご活躍な井川さん。いつごろから活動されていますか?

スタイリストデビュー後にしばらくして外部のお仕事をいただいたのが、24歳のとき。今はヘアメイク事務所にも在籍していて、一発目の仕事が念願のミラノコレクションだったんですよ。

いつか立ちたいと憧れの舞台でしたので、めちゃくちゃ嬉しかったですね。ちょうどAloに入ったばかりの時期と重なりバタバタしましたが、必死にメイクを練習したりできる限りの準備して挑みました。

ー 美容師とヘアメイク、それぞれの楽しさは?

サロンワークは髪を切りながらさまざまな人の価値観に触れたり、そのときどきの心境やライフスタイルに合わせてをお客さまと共に変化を楽しめるのが魅力です。

ヘアメイクは、コンセプトやモデルの要望、服やアクセなどにいろんな意向を汲んで創作するのが楽しいです。常にゼロからイチを生み出す作業で、明確な正解がない仕事。右も左も分からなかった下積み時代の必死さに似ていて、ワクワクや学びがありますね。

ー サロンのオープン準備とヘアメイクの仕事を並行するのは、想像するだけでも大変そうですが、何か意図があってのことですか?

いずれCIRKLEにスタッフが増えたときに、いろんな挑戦ができるパイプを用意したいんですよね。僕がヘアメイクや海外などの道を開拓していくように他のメンバーは得意な道を切り開いている最中です。

ー 現在力を入れていることや今後の展望は?

会社全体で昨年から商品開発に力を入れていて、11月にグリース『SWAVE』を発売しました。ツヤのあるニュアンスやセット力にこだわりつつ、シャンプーでも落としやすいテクスチャーに仕上がっています。

これまで商品開発に携わってきて、全員が納得する商品を生み出すことは難しいと感じていましたが、今回は限りなくみんなが満足するグリースを実現しています。

もう一つは、先ほど話していたスタッフが活躍するためのパイプラインの強化。うちで働きたいと思うスタッフがやりたいことを実現できる土台を強化していきます。人生一度きりですので、環境のせいにして動けないのは勿体ないと思うんです。

みんなが実現して「美容師って楽しい」と思ってくれるサロンにしたい。やりたいことは自分で見つけるしかないですが、やりたいことにつながる導線を僕たちは作っています。

スタッフが見たい景色を拝めたら本望です。そのために求められることがあるなら、真摯に答えていきたいですね。現時点でそれぞれ得意な分野で先陣を切れる仲間が揃っていますから、横一列な立場で一丸となっていろんな困難をぶち壊していきます。

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PROFILE
プロフィール
井川ジュンペイ
ADDICT CASE /Hair makeup artist CIRKLE/代表

井川ジュンペイ合同会社Alo

茨城県出身。東京ビューティーアート専門学校卒業。都内有名サロンを2店舗経て2025年3月にAloに参画し、同年11月代官山にCIRKLEをオープン。圧倒的な努力と類稀なる技術力で2018年ホットペッパービューティーアワードのメンズスタイルでは2位を獲得。現在はサロン運営やサロンワークと並行してヘアメイク事務所に在籍。数々の撮影やコレクションを担当するなど、その活躍は多岐に渡る。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

菊池 麻美

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。