人気美容師の『心技体』を紐解く!「パフォーマンスアップメソッド」-宮永えいとさん-
美容師の仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには、心と体、そして技術を常に磨き続ける必要があります。プロフェッショナルな人気美容師さんは、そんな『心技体』のバランスを整えるために、どんなことを行っているのでしょうか?
今回は、フリーランス美容師として働く傍ら、『男性の身だしなみをアップデートする』というテーマを掲げメンズコスメブランド「RETØUCH」の運営するCiiK代表、またYouTuberとして活動するなど、多方面で活躍中の宮永えいとさんの内面にフォーカス。『心技体』でそれぞれどんなことを心がけているのか、教えていただきます。
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2021.12.22
【心】働く“目的”がしっかりしているとメンタルが強くなる
―安定したメンタルを保つために、日々心がけていることはありますか?
落ち込んだときの支えになるものって、きれいごとのように聞こえてしまうかもしれませんが、結局“目的”なんですよね。自分も経験があるのでわかるのですが、スタイリストになって忙しくなると、「ハサミでお客さまの人生を変えたい」という目的があったのに、日常に追われてそれを忘れてしまって、「疲れた」「明日もまた働くのか…」とメンタルがヨワヨワになってしまう。
でも、目的さえ忘れていなければそうはならないんです。
例えば僕の場合、会社の代表としてのオフィスワーク、美容師としてのサロンワーク、YouTuberという3つの仕事をしていて、そのどれもが『男性の身だしなみをアップデートする』という目的を持ってやっています。
この中でサロンワークは週1回なのですが、目的を持ち始めてから「もっとやりたい!」と思うくらい楽しくなって、メンタルはツヨツヨです(笑)。目的ややりたいこと、目標、夢みたいなところから安定したメンタルは湧き出てくるんだと思います。
―『男性の身だしなみをアップデートする』というテーマを掲げて活動している宮永さんですが、美容とメンタルはどんな風に関係していると思いますか?
自分の経験からも言えることなのですが、見た目は本当に、自らの生き方を変えると思っています。
僕は“清潔感を身にまとう”ことでもっともモチベーション上がるので、そこに関連した発信が多いですね。
なぜ清潔感が大事なんだろうと考えたときに、相手の気持ちになると、清潔な人とそうでない人だったら、清潔な人と話したいですし、関わりたいと考えるのが普通です。それは同性同士でも男女関係でも仕事でも同じ。清潔感をまとうことで自己肯定感は上がる、ということをたくさんの人に伝えていきたいんです。
―気分が沈んでしまったときに、回復する方法はありますか?
寝ることですね! “寝る”ってすごいですよね。だって寝ているときってすべてを忘れることができるじゃないですか。
僕には、寝ている時間も効率よくしたいという考えがあって。というのも、寝ても疲れが取れないと、「寝た意味なかった。仕事をしていればこの6時間で何かを生み出せたのに」と悔しくなっちゃうんですよ。だから眠りは納得いくものにしたい。
僕は、いつも気を張っているタイプなので、家に帰って寝る前には気持ちを緩めるために、ストレスや不眠を緩和してくれるCBDオイルを摂るようにしています。
カラダを内側から支え、健康維持に役立つ成分が入っているCBD。今、とても注目されていてさまざまな商品が出ていますが、僕のおすすめはFreyiaのCBDオイル(ラベンダーレモン)です。
あと、おすすめなのがAROMATHERAPY ASSOCIATESのバスオイル。ディープリラックスという香りがあるのですが、それを入れた湯船に浸かって、香りを身にまとったままベッドに入ると、爆睡できます。
これは、オペラ歌手のお客さまに教えていただいたのですが、オペラ歌手って、公演がある間じゅうずっと緊張しているんですよね。リアルな舞台なので、失敗できませんし、緊張から眠れないこともあるそう。でも、眠れないと良いパフォーマンスは発揮できない…これを使うと睡眠の質がめちゃくちゃ上がるということを聞いて、僕も取り入れています。
【技】好きなものを嫌いにならないで済む仕組み作りをしてほしい
―今は、SNSやYouTubeを活用してセルフブランディグをしている美容師さんが多いですが、YouTuberの宮永さんだからこそ教えられるテクニックみたいなものはありますか?
YouTubeは楽しいけど、カメラの前でしゃべるのは実は今も恥ずかしいです。噛みまくるからその部分をカットする作業だけでも時間がかかって、すごく大変です。今は慣れましたが、1時間撮影した動画を編集するのに7時間かかっていた時期もありましたから。
でも、この「噛んでいるところをカットする」というしょうもない作業で、せっかく見つけた好きなことが嫌いになってしまうのはもったいない。この膨大な作業で睡眠時間が削られたりしたらきっと嫌になってしまうな、と予想がついたので、いかに短時間で作業ができるようになるか、仕組みを考えたんです。例えば、台本を作るとか。好きなものに対して嫌いにならないような試行錯誤をしています。
美容師という仕事も、美容は好きでも、仕事としては嫌いになってしまうことも多い。好きだけど辞めてしまう人もたくさん見てきました。そこを踏ん張って辞めないためは、仕組み作りが大切なんだと思います。
“嫌い”のリミッターってみんな同じようにあるはずで、そこに早く到達してしまった人が辞めてしまうんだと思うんですよね。その原因が、お店の仕組みが悪かったのか、教育が悪かったのか、無駄なものが多かったのか、さまざまだと思いますが、この離職率の高さを当たり前と考えてはいけなくて。
例えば睡眠時間を削って練習しなくてもいい仕組み作りができたら、美容も美容師という仕事も嫌いにならなくて済むし、続けられる。そこは、これから先もまだまだ美容業界の課題になる気がします。
【体】安定したパフォーマンスのため、腸をいたわる
―美容師さんは、体力勝負な仕事でもあり、フィジカルも大切になるかと思います。宮永さんのフィジカルについてお伺いしたいのですが、普段の生活で気をつけていることはありますか?
食べすぎると眠くなってしまうので、食べすぎないようにはしていますね。
今は、朝はバナナなど、すぐにエネルギーになるものを食べて、昼は作業をしながら食べられるものを摂ります。ランチを外でもりもり食べる、ということはあまりせず、おにぎりを2つほど食べる程度です。夜は妻に作ってもらった食事を摂るので、主に栄養は夕食で摂っている感じかもしれません。
美容師をメインでやっていたころは、時間がないのでコンビニのごはんを食べることも多く、それで普通に過ごしていたのですが、最近はあまりコンビニで食べ物を買うこともなくて。でも、ある日、忙しくてコンビニでカツ丼を買って食べたらお腹が痛くなってしまって。しばらくコンビニ弁当を食べていなかったから、胃腸がびっくりしたんでしょうね。以来、パフォーマンスを落とさないためにも、コンビニの食べ物は避けてお腹にいいもの…有機納豆とかを食べるようにしています。
あと、僕の場合、お酒も飲みません。体が冷静な状態でいられなくなるものを摂るのが嫌なんですよ。お酒はそれの最たるものだと思っていて。辛いものも、冷たい水も好きなのですが、その後お腹の調子が悪くなることは目に見えているので、気をつけています。
日々のパフォーマンスという意味でも、腸は大切にしていますね。
宮永えいとみやなが えいと
1990年生まれ。東京都出身。日本美容専門学校を卒業後、都内の有名サロン勤務を経て、フリーランス美容師として働きながら旧友と起業。今年1月にメンズコスメブランド『RETØUCH』を立ち上げる。大人美容男子のオンラインコミュニティ「O2Cサロン」を主宰するほか、運営するYouTubeチャンネル「オトナ男子LABO」は登録者数16万人を超える。著書『大人男子の「超」清潔感ハック』(KADOKAWA)も話題に。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。