新星サロンの魅力に迫るbangs新企画『next door』01 groovy hair オシャレな人に支持される、絶妙な「こなれ感」を生み出すサロン

美容師として独立し、「新しい扉」を開いたオーナーに取材する『next door』は、bangs編集部が注目する美容師が立ち上げた「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。
第一回は、学芸大学駅にある「groovy hair」。日常に溶け込むオシャレなヘアをつくる佐藤さんと、大手企業からコラボ依頼の声がかかるファッショニスタのモリさんに、サロンの誕生秘話や、このサロンにしかない唯一無二の魅力、今イチオシのヘアデザインなどを聞きました。

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2022.06.01

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目 次

groovy hairの二人ってどんな人?

佐藤 拓人(さとう たくと)さん<写真:右>

東京都出身。山野美容専門学校卒業後、代官山にあるヘアサロンに入社。スケートボードがきっかけで元WAVY'Sの中川優也氏と出会い、WAVY'Sに合流。レディースのヘアデザインを学び、「ふとした瞬間の美しさ」を切り取る作品で女性客やメディアの支持を獲得。フリーランスを経て2022年3月にgroovy hairオープン。

モリ ハルナさん<写真:左>

神奈川県出身。日本美容専門学校卒業後、横浜のヘアサロンでスタイリストデビュー。フリーランスに転向後、人気美容師であるだけでなく、ファッションデザインを手がけたり、簪(かんざし)の制作で大手企業とのコラボレーションも実現させるなど才能を開花させる。感度の高いInstagram発信で、多くの女性から注目を集めている。

二人は夫婦ではなく15年の友人

―すごく仲良さそうに見えますけれど、ご夫婦でも恋人でもないのですよね? まずは二人の関係から教えてください。

佐藤拓人(以下、佐藤):ハル(モリさん)と知り合ったのは高校生のころ。当時、高校生が企画運営するファッションショーをアソビシステム(きゃりーぱみゅぱみゅさんが所属することでも知られる原宿カルチャーを発信している会社)が手がけていて、そのファッションサークルで一緒にステージをつくったんです。当時からハルのファッションセンスは抜群で、そのセンスがさらに磨かれていく様子をはたから見ていました。

モリハルナ(以下、モリ):たっくん(佐藤さん)は、高校生のころからリーダーシップがあったんです。ファッションサークルのみんなからも信頼される人柄でしたよ。

佐藤:男女の違いもあるとは思うんですけれど、僕が努力しても補えないセンスをハルは持っているんです。僕はアシスタント時代から、30歳までに自分のサロンをかまえたいと思っていて、その際には、自分が持っていないものを持っている仲間とやりたいと思っていました。

モリ:独立する前はお互い、フリーランスで活動していました。サロンの後ろ盾がないフリーランスは自分の実力が見える働き方です。そこで自分らしく働くことができたし、私自身、成長できたという実感もありました。

佐藤:僕もフリーランスを経験し、いよいよ目標だった自分のサロンを立ち上げる準備をしたわけなんですけれど、そこで頭に浮かんだのが自分にはないセンスを持っているハルだったんです。美容師としての実力も知っていたので、一緒にお店をやらないかと声をかけました。

モリ:私はたっくんはリーダーシップもあるし、信頼できる人柄だと知っていたので、一緒にサロンをつくることに関して全く不安はなかったですね。

心地よい光が差し込む中、グルーヴが生まれる空間

―青山や原宿、渋谷などの王道エリアではなく、「学芸大学駅」でサロンを構えた理由を教えてください。

モリ:私の地元が横浜ということもあり、東横線沿線エリアで探していました。代官山、中目黒、祐天寺なども見て、最終的にここか代官山で迷ったんですよね。

佐藤:物件探しは結構大変で、毎週内見をしに行っていたんですが、なかなかいいものがなくて。結局、みつかるまで半年間くらいかかりました。僕は代官山の物件を推していたんですが、結果的には、家賃も立地もこちらで良かったと思います。

光の入り方もすごく良いです。僕もハルもカラーのお客さまが結構いるので、カラーが際立つ空間を意識して内装工事をしました。ちなみに居抜きではなく、事務所だったところを解体してゼロからやっています。お金はかかりましたけれど、イチから理想の空間をつくることができたので、かえって良かったかもしれません。

―サロン名も独特な響きですね。

佐藤:サロン名の「groovy」は、リズムに乗るとか、高揚感とか、そういう意味を持つ言葉ですが、大事なのは「二つ以上のものが合わさって生まれる」ことだと思っています。それは、僕とハルかもしれないし、僕とお客さまかもしれないのですが、掛け合わせることによって、グルーヴを生み出すサロンにしたいのです。

モリ:おもしろいなと思うのが、私のもとにきたお客さまが、たっくんとも意気投合して、交流をし始めることもあるんです。これもgroovyという空間ならではなのかなと思います。

オリジナルキャラクターやビールも!ヘアサロンの枠組みを超える

―サロンに入ると、オリジナルキャラクターが目に飛び込んできます。これもこのサロンならではですね。

佐藤:そうですね。オリジナルキャラクターのグルーミーくんも人気です。これは妹にデザインしてもらいました。茅ヶ崎の醸造所Passific Brewingとコラボレーションしてつくったビール「groovy」にもグルーミーくんがラベルについています。

モリ:キャラクターを表に出している美容室ってあんまり聞いたことがないというか、少なくとも私は見たことがないんですけれど、「美容室っぽくしたくない」と思っていたからとても気に入っています。グルーミーくんはキャッチーだし、服やアイテムなどと絡めての展開を考えるのも面白いです。

―オープンして1カ月経ちますが、改めてどのようなお客さまが多いのか教えてください。

佐藤:お客さまは20代から30代くらいがメインですね。千葉とか埼玉とか色々なところからきてくださっています。一括りにはできないですけれど、音楽やファッションに興味があるお客さまが多いですね。

モリ:私もお客さまは大学生くらいから30代くらいが多いです。この前、福岡からわざわざきてくださった新規のお客さまもいらっしゃいました。SNSを見たことがきっかけだったそうなんですけれど、他にも大阪からいらしたお客さまもいますし、ありがたいですね。男女比は、女性が9割、男性が1割くらいの割合です。

佐藤:僕は独立後、若干男性のお客さまが増えているかもしれないです。

カルチャーの香りと、「こなれ感」のあるデザインが特徴

―お二人がヘアデザインをするときにこだわっていることを教えてください。

佐藤:僕はオシャレなんだけれど自然体で、再現性のあるスタイルにこだわっています。

モリ:私は本当にSNSが苦手でTikTokもやらないし、YouTubeも、Instagramのリールなども見ないんですよ。意識的に情報をシャットアウトしているつもりはないんですが、友達からは「何も見ないのがいいんだろうね」と言われています。

モリ:自分のデザインがオリジナルだとは思わないけれど、周りの情報に流されないから、人と違うように見てもらえるのかもしれないです。

佐藤:僕は高校くらいから好きなものがあんまり変わっていないんですよ。ずっとスケボーしているし、そのカルチャーが好きだし。音楽もファッションも同じような系統が好きです。それに引っかかってくれるお客さまが集まってくれているのかなと思います。

佐藤:男性の方はそんな感じなんですけれど、女性の方はおそらく僕のカットを気に入ってきてくれている気がしますね。日常の中にある、一番美しい場面を切り取ったようなヘアデザインをイメージしています。

ブリーチヘアからパーマへ移行したいオシャレ人にオススメのヘア

―2022年に流行る予感のスタイルを教えてください!

モリ:伸びてきた根元の髪をあえて黒いまま長めに残して、ブリーチカラーを馴染ませるヘアが人気になると思います。イメージとしてはNirvanaのカート・コバーンがしていたヘアのような雰囲気ですね。金髪が伸びて、根元も黒いんだけれど、なぜかカッコいいという。

モリ:つくる側からすると難易度が高いので、かなり技術が必要です。つくり込んでいないほうがオシャレなので、力が抜けているニュアンスを出すのが難しいですね。

佐藤:個人的には昨年あたりから、パーマがじわじわきていると感じているところです。ですが、ブリーチヘアの場合、髪のダメージの問題もあり、パーマでできるデザインには限界があります。ブリーチヘアの人は、髪を伸ばしてパーマを楽しめる髪に戻す必要があるので、ブリーチヘアからパーマヘアにシフトする途中の人にオススメです。

今まさにオシャレな人たちがやっているから、「私もそれをやりたい!」という人が増えていますよ。

―お二人ともありがとうございました!新しい船出を応援しています!

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

外山 武史

Writer外山 武史(とやま たけし)

SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!

菊池 麻美

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。