人気美容師の『心技体』を紐解く!「パフォーマンスアップメソッド」-REDEAL/中村 雄樹さん-【後編】
美容師の仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには、心と体、そして技術を常に磨き続ける必要があります。プロフェッショナルな人気美容師さんは、そんな『心技体』のバランスを整えるために、どんなことを行っているのでしょうか? REDEAL/中村 雄樹(なかむら ゆうき)さんにお伺いするシリーズの後編となる今回は、『心技体』にかかわることで、心がけていることをそれぞれピックアップして教えていただきます。
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SPECIAL CONTENTS
2021.08.11
【体】早起きをする
休養後に一番変わったのは早起きするということです。
それまで深夜までSNSの投稿や仕事をやっていたのを改めて、22〜23時くらいに寝て、6〜7時に起きるという生活を心がけています。
朝は散歩に出かけることが多くて、公園などで過ごしながらそこでSNSに投稿する文章などを考えるんです。夜だとなかなか考えがまとまらずに2〜3時間経っているなんてこともザラでした。
朝だと5分くらいで文章がまとまるし、美容に関する発信意外にも、組織運営のことで新しいこともたくさん思いつくようになったんです。
加えて、夜型ではなく朝型の生活にすることで日を浴びる時間が増えてセロトニン(※神経伝達物質の一つで、心身の健康に関係する)が分泌されるので、睡眠の質も上がりました。
【体】発酵食品を食べる
前編でもお話ししましたが、納豆や漬け物、ヨーグルトなど発酵食品を食べると体調が良くなるのを実感しますね。
熟読した本によると、自分が子供のときの食生活を思い出して実践するのが良いようです。例えば、日本人だったらやっぱり和食。僕は、ご飯と味噌汁、納豆は必ず摂るようにしています。
【心・体】サウナに入る
流行に乗ったと思われるかもしれませんが(笑)、やっぱりサウナはいいですね。自律神経が整ってスッキリするので、普段から物事を深く考えたい人はサウナが好きなイメージがあります。
サウナのメリットは、スマホから離れる時間が作れることだとも思っていて、じっくり物事を考えるのにも適しているんですよね。
【心】お気に入りの万年筆で日記を書く
文字を書くことで思考を整理しようと考えて、休養していた3月の頭から日記を書き始めたんです。
形から入るタイプなので、自分のテーマカラーにしているイエローの万年筆を買って、その日の気づきや思考、できごとをあれこれと書き込んでいます。基本的にはポジティブな内容を書くようにしています。
休養が明けてから、忙しいときは2週間くらい手を付けられないこともあるのですが、その日に撮ったお客さまの写真を見ていると「こんな施術あったな」とか、それに関連して「こんなことがあったな」など大抵のことは思い出せます。
あとで見返すと、忙しい時期の日記はなぐり書きみたいになっていることが多くて、時間にゆとりのある時期の日記は字も丁寧。そのときの自分の状態というのがよくわかるんですよ。
僕はいつもYou Tubeで動画を見ながら書くことが多くて、自分の仕事を整理できるとともに、リラックスできる時間でもあります。
【心】童心に帰る
子供のころの好奇心や「遊びに夢中になる」時間って、大人になるとつい後回しにしてしまいますよね。僕は、学生時代からUFOキャッチャーが好きでそのときは仕事のことから離れて、無心になれます。
最近、犬を飼いたいのでこのぬいぐるみをゲットしました。癒されるでしょ!?(笑)
マンガもよく見ます。とくに少年マンガを読んでいると、夢にひたむきな姿や仲間との描写にとても心が動かされますね。また、幼少期にみていたアニメを大人になって見返すと、受け取るメッセージが全然変わっていておもしろい。おのずと仕事にいいヒントや影響があります。
【体】寝る前はブルーライトカットを心がける
スマホのライトは、寝る前は必ずブルーライトカットに、家の照明は暖色系にしてリラックスできるようにしています。
カラーを打ち出している美容師さんの場合、スマホの画面をブルーライトカットにしてしまうと撮影データなど仕事に差し障るという人も多いかもしれません。ただ僕の場合、仕事から離れたらブルーライトカットして、心とカラダを休めることでオンオフのメリハリをつけています。
【技・体】自分の着たい服を身につける
美容師もベテランになってくると、ある程度お金に余裕が出てくるので、ハイブランドのものを身につけるようにはなるけど、無難なファッションになりがちってこと、ありませんか? 僕も、あるとき「アシスタント時代の方がファッション頑張っていたかも!?」と思うことがあったので、気をつけるようにしています。
具体的には、明るい色の服を身につけるようにしていて、目標は新卒のスタッフに褒められること!オーナーとして、ファッションの面でも若いスタッフを引っ張っていけるようになりたいです。
【心・技】常に技術を突き詰める
独立し自分のサロンを持ってみてわかったことは、プレイヤーを楽しみつつ成長してきた人は、経営側に回ることで意識を向ける先が分散してしまい、美容師としての自信を見失いがちだということ。
今は、トップは落ち着いた場所におさまって若手の教育に力を入れる、ということをよく言われていますが、僕はそれだと「自分が成長していなんじゃないか」と不安になってしまうタイプ。
僕自身、トップが成長し続けていない組織は長期的には繁栄しづらいと思ってしまうので、その不安を解消するには、やはり美容師としての技やクリエイティビティを人一倍磨くことしかないんですよね。
そうして若手スタッフと一緒に美容に打ち込むことが僕はとても楽しいですし、経営者として厳しい選択を迫られることからの癒やしでもあるんです。技術を突き詰めることで心も潤うものなんだと、実感を持っています。
中村 雄樹Yuki Nakamura
埼玉県出身。埼玉県理容美容専門学校卒業。2015年に都内有名店に入社し、2年目で当時業界最速のカラーリング指名売上220万円を達成。インスタグラムでの集客力を武器に躍進。業界最年少でのセミナー講師、書籍制作担当、業界紙への多数掲載などを経て、2020年25歳にして大宮で「REDEAL」を立ち上げる。コロナ禍でのスタッフ早期育成に成功(オープン月1月は売上30万、同年12月には362万達成)。独立1年未満で書籍『タイムパフォーマンスを上ける6人同時エアタッチ』を出版するなど今後の活躍も注目。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。