「#脱コンプレックス」-なりたい自分の叶え方-【前編】「見たことのない自分」と出会わせるのが美容師です!December/北田ゆうすけ
自分ではコンプレックスだと思っているところが、プロから見るとチャームポイントだったりします。モデルさんがコンプレックスだと思っているところを把握しながら、プロの手で「なりたかった自分」へ導きます。今回は、ふんわりと柔らかく、ケアしやすいラフなスタイルが得意で、ヘアアレンジなどにも定評があるDecemberの代表、北田ゆうすけさんが登場! モデルさんの魅力をさらにひきだします! 心身から変化させる、美容師の力をご覧ください。
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SPECIAL CONTENTS
2021.09.02
モデルさんの素材を生かすことが大前提
僕がヘア撮影をするときに考えているのは、その人「らしさ」を引き出して、キャラクターをつくること。素敵なヘアを作ることはもちろんですが、モデルさんの素材を生かすことが前提です。
そのことが、モデルさんが感じているコンプレックスをプラスに変えることにもつながっているのかなと。そもそも、みなさんがコンプレックスだと思っているポイントも、僕から見れば魅力的な個性の一つ。むしろ個性を引き出す上で、チャームポイントになることが多々あります。
一方で、僕から見ればとっても素敵でも、みなさん意外と悩みを抱えているものです。髪質の悩みもあれば、「短いヘアは似合わない」という思い込みもある。でもね、いろんなヘアを試してみないと、どれが似合うかなんてわからないですよ。
どんな長さでも似合わせ方はあるので、この髪型もかわいいし、この髪型も似合うし…っていう経験をたくさんしてほしいなって思っています!
キュート系の女性を大人っぽくするのが好き
時代の空気や、自分の気分、モデルさんの雰囲気を踏まえ、ヘアとメイク、衣装で素敵なキャラクターをつくることが、自分の作品らしさなのかなと考えています。その中で、モデルさんのいろいろな表情を引き出していきたいんですよ。
今回、協力していただいたモデルの茜さん(@akane__11.1 )がまさにそうなんですが、「大人っぽくできるキュート系」の女性にモデルをしてくださいと相談することが多いですね。
表現したいのは「大人の女性」というよりも、「大人っぽい感じ」とか「ちょっと大人の表情」。顔のつくりや骨格などの特徴から、幼く見られがちな女性を変身させるのが得意です。
モデルさんに依頼するときは、Instagramでまず探していますね。Instagramで見るのは髪質もそうですけれど、やっぱり顔や体型、その人が持っている空気感ですね。できるだけ、その人の素の状態の写真を探しています。なので、タグ付けされた写真やストーリーなどもよく見ています。加工されていない、ナチュラルな状態を見たいんです。
攻めたデザインよりも、その人にフィットするデザインにしたい
撮影では毎回、自分がかわいいと思うスタイルにすることしか考えていないので、あえてテーマはもうけていません。ただし、ナチュラルであることは共通しているかもしれない。キメキメのスタイルではなくて、普通に街を歩けるスタイルですね。
メイクでは、まず「使わない色味」から考えていますね。「これはナシだな」と思うものはやらない。今日の場合は、モデルさんは小動物のようなかわいらしい瞳だったので、目の印象がつぶれないような、ラメをつかったナチュラルメイクにしています。
また、イエローベースのお肌だったので、色味はピンクとか青は合わないかなと。「だとしたら、オレンジかヌーディー系か、イエローか…」みたいな感じで考えて絞りました。そうして今の色に落ち着いています。
ものすごく攻めたデザインよりは、なるべく本人にフィットするスタイルをつくりたいと思っているので、どうしてもナチュラル系に寄ってくるのかもしれないですね。
今回のメイクのポイント3つ
今回のメイクのポイントは3つ。「肌の質感」「艶感」「色味」です。
もともと綺麗なお肌を生かしています。なので、BBクリームを薄く塗って、そばかすは消えない程度にパウダーを重ねています。そばかすもチャームポイントとして生かしたかったので。
艶感はアイシャドウのラメやグロスのリップで出しています。
チークとまつ毛をオレンジブラウンにしました。少し遊びは入っているけれど、街を歩けるナチュラルさです
今回のヘアのポイント3つ
ヘアのポイントも3つ。「軟毛」「前髪」「質感」です。
ペタッとした感じができるだけでないように。でも柔らかさは消えないようにつくっています。
前髪と顔まわりですね。コンプレックスを隠すのではなくあえて出すなど、作り手のこだわりが見えすぎないように、自然なニュアンスを出しています。
スタイリングはオイルのみ。というか僕は基本的にスタイリングではオイルしか使わないです。自分たちでつくったオイルなので使い勝手がいいし、仕上がりにも自信があります。
ヘアスタイルbefore After
いろいろな「かわいい」にチャレンジするきっかけをつくりたい
衣装は季節に合わせてなので、袖がない服をチョイス。もう一つはモデルさんに似合うものを選びました。今回の場合はストライプのワンピースですね。
それともう一つはカジュアルなもので今回はアースカラーのノースリーブにハーフアップでしあげています。衣装は季節に合うもの、本人に似合うもの、カジュアルなものの3パターンになることが多いですし、こんな感じであらかじめ決まっているとテイストを変えて3パターンつくりやすいです。
1回の撮影でテイストを変えて3パターンつくる人はそんなに多くないらしいのですが、僕の中では普通です。これが、モデルさんの新しい魅力を引き出すことにもつながるのかなと。
撮影もそうですし、サロンワークでもそうですけれど、モデルさんやお客さんがいろいろな「かわいい」にチャレンジするきっかけをつくることができたらうれしいなと思っています。
北田 ゆうすけYusuke Kitada
山野美容専門学校卒業。大手有名サロンのクリエイティブディレクターや店舗代表などの要職を経て、2018年4月に「December」を立ち上げる。ふんわりと柔らかく、ケアしやすいラフなスタイルが得意で、ヘアアレンジなどにも定評がある。日々のサロンワークのほか、数多くの女性誌、セミナー、ヘアショーなど、多岐に渡り活躍中。2020年10月、laundryをオープン。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。