「#脱コンプレックス」-なりたい自分の叶え方-【後編】 December北田ゆうすけさんが「3カ月撮影チャレンジ」で見せた美容師の本気

自分ではコンプレックスだと思っているところが、プロから見るとチャームポイントだったりします。モデルさんがコンプレックスだと思っているところを把握しながら、プロの手で「なりたかった自分」へ導く、人気サロンDecember北田ゆうすけさんが、3カ月間、毎週ヘアスタイル撮影に挑戦。その作品の中からbangs編集部の推しヘア8選をご紹介します。心身から変化させる美容師の力をご覧ください!
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SPECIAL CONTENTS

2021.09.16

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目 次

December/北田ゆうすけさんとは?

大手有名サロンのクリエイティブディレクターや店舗代表などの要職を経て、2018年4月表参道に「December」、2020年10月に「laundry」(表参道)をオープン!ふんわりと柔らかく、ケアしやすいラフなスタイルが得意で、ヘアアレンジなどにも定評がある。日々のサロンワークのほか、数多くの女性誌、セミナー、ヘアショーなど、多岐に渡り活躍中の人気美容師。

<Style01> ベビーフェイスに眉毛とリップを足して大人っぽく変身!

彼女(栗原彩さん )は童顔で丸顔が可愛かったので、ヘアをダークトーンのカラーにして、毛先を動かしたほうが大人っぽさとMIXされてカワイイかなと。

元々僕はキュート系を大人っぽくしたり、真逆でも似合うんじゃないかと考えるタイプです。キュートなカジュアルが似合うところをあえて、大人っぽい眉毛とリップ、服はワントーンコーデにしてみました。

今回は、眉毛をしっかり描いたところがポイントかな。リップはレッドのルージュにRMKの黄色のグロスを混ぜています。レッドって王道の大人スタイルじゃないですか。そこに黄色を足すことでちょっとカジュアルさも出せます。

ヘアのスタイリングはこちらもバームとオイルを使っています。癖毛がコンプレックスの人は、こんな感じで生かすとかわいいと思いますよ!

<Style02> 切長で涼しげな目元を強調!メンズシャツで個性を+

ショートのウルフヘアで、カラーの根元も伸びてきていたのですが、それが逆にかわいいと思ったので、ヘアはムラシャンしただけです。この色味がいい感じですよね。

髪質が猫っ毛で柔らかいこともあり、丸みのあるウルフがかわいい。前髪をおろしたので、全体のバランスを見て、毛先は動きをつけています。このときオレンジが流行っていたこともあって、リップもチークもがっつりアディクションのオレンジを入れていますね。

モデルのなおさん にとってはもしかしたらコンプレックスかもしれないけれど、僕は切長の目がチャームポイントだと思いました。なので目元を強調しています。実際、最近はこういう涼しげな感じのモデルさんが人気ですよね。

ちなみに、これは外しのテクニックになるのかなと思うのですが、メンズのダボダボのシャツを着てもらっています。これがいい感じに個性に+されていますよね。

<Style03> コンサバ美女をかっこいいカジュアルに!

彼女は以前から知っている人気モデルさん(岡本涼香さん )で、撮影ではどちらかいうとコンサバなスタイルが多かったんですね。なので、「かっこいいカジュアル」に振ってみました。

コンサバに見えないようにバングに動きをつけて毛先をパラパラッと散らしています。これはモデルさんがサングラスをつける前提でつくったスタイルです。服もシンプルなノースリーブにし、サングラスに目がいくように。そんな感じで考えました。

ヘアはオレンジブラウンのボブ。少し重めの質感にまとめつつ、毛先は外に巻いています。スタイリングはオイルとN.のバームを混ぜたものを使っていますね。

目元は暖色のオレンジアイシャドウ。フェミニンにならないようにリップも同系色のオレンジを使用。今回のメイクのポイントはリップ!発色の良いMACやNARSを使うことが多いです。

<Style04> 撮影前日に調達したスモークツリーとポージングでアートな一枚に

彼女(藤本麻衣さん )はあんまり巻いた髪をイメージできないというか、ストレートがすごく似合うモデルさんだと思っていました。また彼女のInstagramを見ると、アートが好きなことが伝わってきたので、今回はアート寄りの作品にしてみようかなと。

撮影の前日に花屋さんで、スモークツリーを用意して、当日はそれを持ってもらいながら撮影しました。その作品を彼女のInstagramのフィードでも紹介してもらえたらうれしいし、雰囲気的にも合うかなと思ったんですよね。やっぱりモデルさんが自分のInstagramで紹介したくなるような、モチベーションが上がる撮影にすることも大事だと思っています。

彼女はストレートでかわいいショートなんですけれど、あまりにもストレートなのでどうしてもモードっぽい感じになるんですよね。それもいいんですけれど、ちょっとカジュアルにしたくてメイクはナチュラルに、服も白にして、顔周りの髪が動いている瞬間を意識して、sonyアルファ6400でシャッターを押しました。

<Style05> そばかすはチャームポイントだから、「何も足さない、何も隠さない」

Manaさん のハーフっぽい雰囲気とそばかすの感じが素敵だと思って、撮影をオファーしました。僕の中ではそばかすはチャームポイントなんですよね。写真はほとんどすっぴんなんですけれど、めちゃくちゃかわいくないですか? これを生かさない手はないと思ったので、ナチュラルメイクでBBクリームとテラコッタカラーのリップを塗っておしまい! みたいな感じです。

ヘアも含めて、今回はあんまりいろいろと手を加えないほうがいいなと思いました。なので、2パターン撮ったんですけど、ヘアの分け目とリップ、夏と秋の衣装で撮影しただけです。この写真は秋バージョンですね。「幻の口紅」と呼ばれるCelvokeテラコッタカラーリップがとってもキュート!前髪がちょっと目にかかるくらいがラフな感じがでてより良いかな? と思いそこはちょっと工夫しました。

<Style06> アンニュイな魅力を空の青と透ける光が引き立てる

ヘアスタイルはミディアムのAラインです。直毛だったので32mmのコテでちょっと巻いています。前髪は外ハネで。全体の髪の一束一束にオイルを馴染ませて、ドライヤーで飛ばすことによってこのニュアンスを出しています。いい感じにしっとりするんですよ。

メイクは薄く、かなりヌーディーに。リップとチークはコーラルピンク。チークは日焼けっぽくノーズと頬をつなげるように入れています。モデルのrowe(ロゥ)さん のちょっとねむたげな感じが、アンニュイでよくないですか。ファッションはアースカラーを選ぶことで、セクシーに見えないように意識しています。

今回の撮影ではちょっと新しい試みをしています。アシスタントとの前日の話し合いで、「すごく晴れそうだから外でやろう。白シャツが光で透けてたらかわいくない?」ということになり、やってみたんですよね。空も見えるし、柔らかい光をまとっている感じもよかったです。

<Style07> 美容師としての新たな挑戦、レトロなダサカワスタイル!

これは4パターンくらい撮った中の一つです。laylaさん はすごくかわいらしいお顔立ちと雰囲気なので、あえてちょっとクールっぽい感じにしてみました。どちらかというとコンサバ、フェミニン系のスタイルが似合うタイプなので、彼女からしても今回の撮影は新鮮だったんじゃないかな?

僕も美容師として新しい領域にチャレンジした一枚ですね。万人受けはしないかもしれないけど、ダサカワ系にチャレンジしたいという僕の願望もありました。この黒縁のビックフレームもレトロだし、雰囲気あっていいんですよね。

同じモデルさんの別デザイン雰囲気が激変!
同じモデルさんの別デザイン雰囲気が激変!

リップはトーンが明るめのオレンジ。MACパウダーキスシリーズのオレンジだったかな。パステルグリーンのデニムもポイントです。

ヘアスタイルはちょっとチャレンジングだったというか、お客さまに提案する感じのものとは少し違うかなと思います。26mmと19mmのコテを使ってぐるぐる不揃いに巻いていますね。なので毛先も逃げたり、逃げなかったり、不規則な感じに仕上がっています。

<Style08> 超短めのオン眉スタイルを、あえてモード寄りにアレンジ!

これは「ニョロニョロアレンジスタイル」ですね。正式名称があるわけではなく、そうやって僕が勝手に名付けたんですけれど(笑)。

ゴムで束ねたあとに引っ張るとこうなるんですけど、詳しくは動画を見てください。セルフでもつくれます。ミディアムで2本、長くて3本あればできますよ。

前髪が短いとキュート系になるので、モードに寄せるためにタイトめのアレンジをしました。こんな感じのオン眉をやりたいっていう前髪カットだけの新規さんも多いですよ。夏鈴さんの場合はとくに短いですけれどね。

お顔のかたちや目が持つ雰囲気とか、人によって微妙に似合う前髪の長さが違います。チャレンジしたい人はぜひご連絡ください!

3カ月間の撮影チャレンジということで、毎週撮影をしてきたわけですが、単純にとても楽しかったです。特に、モデルさんがこれまでやったことがないスタイルをつくって、みたことのない自分の姿をみて喜ぶ様子に、僕もうれしくなるんですよね。本人がコンプレックスだと感じているところが、僕からしたらチャームポイントだったりすることが結構あるので。

また、新しいメイク道具を意識して使ったことも自分にとってプラスになりました。新しいことを勉強することで発見があるし、情報を集めてアップデートしていかないとどんどん古くなっちゃいますから。アシスタントの撮影の仕方、撮影するときの目線なども、自分にはない感覚でおもしろかったですね。

あらためて自分のウリってなんなのかな?と考えて、探り探りやった撮影もあったんですが、意外とトータルプロデュースできているし、やっぱり美容って楽しいなって心底思いました!

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PROFILE
プロフィール
北田 ゆうすけ
December 代表

北田 ゆうすけYusuke Kitada

山野美容専門学校卒業。大手有名サロンのクリエイティブディレクターや店舗代表などの要職を経て、2018年4月に「December」を立ち上げる。ふんわりと柔らかく、ケアしやすいラフなスタイルが得意で、ヘアアレンジなどにも定評がある。日々のサロンワークのほか、数多くの女性誌、セミナー、ヘアショーなど、多岐に渡り活躍中。2020年10月、laundryをオープン。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

外山 武史

Writer外山 武史(とやま たけし)

SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!

菊池 麻美

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。