クリエイティブ魂をかけたLECO師弟対決が実現 JHA グランプリの師匠が勝つか、愛弟子の下剋上か!?-LECO師弟対決-【中編】
業界から常に注目されるクリエイティブサロン「LECO」。代表の内田聡一郎(うちだそういちろう)さんは業界最高峰のクリエイティブコンテストJHA2020を制した一流美容師です。その内田さんにとって今気になる存在がLECO内にいます。愛弟子の小林賢司(こばやしけんじ)さんです。
「最近は外側よりLECOの内側にベクトルが向いている。一番俺のことを知っている内側に向けて何か仕掛けたい」という内田さんの言葉を受けて、なんと! bangs上でLECO師弟対決が実現…!
撮影テーマは【My Culture】。撮影はJHA受賞作品常連カメラマン・松山優介さんが担当します。一切の制限がない中で、二人はどんな作品を出してくるのか…美容師の本気に刮目せよ!
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SPECIAL CONTENTS
2021.09.30
「本音はね、勝ちたいです。そうじゃなくても『いいな』と言わせたい」【小林】
小林 賢司(LECO店長 以下、小林):LECO師弟対決の話を聞いたとき「撮影で内田さんと対決ってマジですか」って思いましたよ。というのも僕の撮影歴って LECOのオープンからなので、まだ3年半くらいなんですよね。
最初のころは、ソウさん(内田さん)が僕の撮影を現場で見てくれたんですよ。僕がどんなものをつくるのか見てみたいっていう興味もあったと思うんですけど、クオリティを落とさないためのチェックの要素が大きかったのだと思います。 LECOの看板を背負ってリリースするものだから半端なものは出せないってことで。
小林:最近は下の子たちが育ってきたこともあり、ある程度任せてもらっているんですけど。なので、ソウさんに「俺の今回の撮影、どうでしたかね?」と聞ける機会が少なくなっていたんですよ。今回の対決で僕の今の現在地をみてもらいたい。
小林:本音はね、勝ちたいです。そうでなくても「いいな」と言わせたい。願うのはそれだけ。ただただ認めてもらいたい。
カメラマンも有名な松山優介さんですし、これはチャンスだと思っています。今回の撮影を自分の何かを変えるきっかけにしたいです。
「せっかく撮影スタイルは自由なんだし、遊び心を出していきたいね」【内田】
内田 聡一郎(LECO代表 以下、内田):俺はわりとコンスタントに撮影をしているんですが、今回のように制約も少ない中でやることって意外とないんですよ。
大体何かしらのテーマがあったり、媒体のコンセプトがあったりして、それらの制約の中で自分のエッセンスを出していくっていうやり方が多い。せっかく自由にやらせてもらえるわけだし、今回は遊び心を出し尽くしたいなと。
内田:コバケンとの対決はもちろん意識するけど、ちょっと斜めな方向から切り込んでみたい。「こういうこともしちゃうのね」と思われるようなものを出していきたい。
小林:師弟対決の前に、どういう方向性で作品をつくるか考えたんです。一瞬、気を衒った感じのものも頭をよぎったんですけど、ソウさんに普通に「いいね!」と言わせるものをつくるべきなのかなと。
小林:僕はソウさんと原宿のサロンで出会ったので、原宿っぽいカラフルでポップな要素がある作品にしました。そこで、ソウさんがつくった作品で一番好きな作品をオマージュしてみようと思ったんです。
「師匠がつくった作品の中で一番好きなものをオマージュしました」【小林】
小林:ソウさんの業界誌の表紙の撮影で、僕も現場について行ったときのものです。この民族っぽい感じとかめちゃくちゃかわいくて…。
内田:ああ! 覚えてる。
小林:衣装もおもしろいし、小さくソウさんが隠れていたりとかギミックが効いてるんですよね。これを彷彿とさせるような作品にしたんですよ。
内田:おおお、なるほどね。
小林:じゃあ、早速披露します。
こんな感じです!
小林:ニットを被ったスタイルもつくったんですけど、変化球はダメだと思って。ソウさんがちゃんと「髪がきれいに見えるように」って言っていたのを思い出して、髪を切って、カラーして、ちゃんとつくりました。しっかりと切り込んで、デザインすることにこだわっています。
小林:スタイリングも、コーミングもすべてこだわっているし、毛束がきれいにみえるようにしました。
頭の中で「ソウさんだったらどうつくるだろう?」とか考えながら、手を動かしていましたね。
「俺っぽさ全開、サブカル全開、リミッター外しました!」【内田】
内田:そんな想いを持ってつくってくれたことがうれしいよ。作品もね、コバらしい。俺と似ているようで、似てなくて。
俺はどっちかというと分かりやすいデザインをするんだけど、コバは曖昧な感じが好きなんだろうなっていうのを感じてて。今回の作品でもそれが出ているよね。あとは、やっぱりここ数年の経験値をちゃんと感じさせてくれる作品だと思う。
内田:多分、コバって引き算のデザインが好きなタイプだと思う。でもLECOとかQUQUは個性の集まりだから、そこに毎日身をおくことで足し算のデザインのおもしろさとか、遊び心とか表現するようになってきたのかなと。コバがLECOのブランドにアジャストして、ブランドを背負っていく覚悟が見えたような気がして、うれしかった。
小林:ありがとうございます! じゃあ次、師匠の本気を見せてください!
内田:俺の作品はこれ。
内田:今回はテーマもなく自由にやれるから、俺っぽさ全開、サブカル全開って感じでリミッター外しました。
好きなアニメ『プロメア』の世界観をモチーフにしたんですけど、わりとてんこ盛りな感じです。やっぱ俺はこういうものが好きなんだなと確認しながらつくっていった感じ。
小林:あ、首元には「ソウカッツ」って書いてあります。
内田:ギリギリ気づくか気づかないかって感じだよね。ここまでやれる撮影ってあんまりないから、自分の好きなものを直球で出してみた。
「ソウさんの作品は、人をワクワクさせるような驚きがある」【小林】
小林:作品を見せてもらって改めてソウさんは昔、こんな感じでアニメのオマージュしていたなぁって思い出しました。おもしろい発想するなぁってみていたんですけれど。なんというか業界のコンテストに入賞するタイプの人たちとまた少し違う、人をワクワクさせるような驚きがある。
内田:確かにね。王道なものというか、かっこいいモードなものをつくろうっていう意識でやることもあったけど、やっぱりふざけていたいというか、少しひねくれた変化球をぶつけたいみたいな気持ちがあったのよ。それを今回出せたと思う。
「bangs読者のみなさん、清き一票をお願いします!」【小林】
小林:今回は師弟対決だし、せっかくだから読者のみなさんの評価もみてみたいですよね。
内田:いいね! bangsさんで投票してもらおうよ。というわけで、コバから読者のみなさんにメッセージしておいたら?
小林:何を見せるか、何を表現するかを決めるのに時間がかかりました。僕はわりとファッション起点で考えるタイプなんですが、今回はテーマが自由だったからこそ、テーマ探しに苦労しました。
小林:でも、自分のコアにあるカルチャーと向き合うことができたし、何より自信がつきました。美容師としてもっとやれると思ったし、撮影が終わるまでほんとに楽しむことができた。あとは読者のみなさんにも評価されたら最高です!
内田:俺もなんでもアリの撮影はいい機会でした。ルールがないから斜め上のインパクトのある作品づくりに挑めた。楽しかったです。
内田 聡一郎Souichiro Uchida
2003年より原宿のサロンでトップディレクターとしてサロンワークをはじめ、一般誌、業界誌、セミナー、ヘアショー、著名人のヘアメイク、商品開発など様々な分野で活躍。2018年 渋谷にLECOをオープン、2020年 セカンドブランドQUQUを2021年LECO öbenオープン。代表として今後一層の活躍が期待されている。著書「自分の見つけ方」(2013年)、「内田流+αカット」(2017年)、「内田本」(2018年)を発売。また、シザーやシザーケースなどのオリジナルプロダクトも発売中。2019年12月から若手美容師にエールを送るsoucutsラジオを始動。
小林賢司Kenji Kobayashi
山野美容専門学校卒業後、都内有名店を経て『LECO』にオープニングスタッフとして参加。同時に、スタイリストデビュー。2018年ミルボンフォトコンテストで優勝。イラストレーター・通称グラマス(graphicmaster_koba)としても活動している。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographer松山 優介(まつやま ゆうすけ)
Chiyoda-studio所属。広告、雑誌、美容師とのクリエイション撮影、セミナー等、美容業界を中心に活動中。2015年から3年連続JHAコンテストで携わった作品がグランプリを受賞。