人気サロンの”らしさ”を紐解く! 「本質」と向き合って生み出した「iro.」のタイムレスなヘアデザイン【後編】
代官山エリアにあるヘアサロン「iro.」は、ファッションやデザインの感度の高い人たちから圧倒的に支持されています。
その人にフィットする洗練されたカラーで注目を集めていますが、カラーのみならず内装や照明、設備など空間の隅々にまでこだわりが詰まっているサロンです。今回はそんな「iro.」の“らしさ”を紐解きます。
インタビューは前後編の2本立て。後編では、代表の樗木佑太(おおてきゆうた)さんを始めとする4名に、思い入れのあるヘアスタイルを紹介してもらいました!
>前編を見る
SPECIAL CONTENTS
2022.09.27
- > iro./齋藤アイリス春花
- > iro/向田夏希
- > スタイリスト/石𣘺 晴香
- > 代表/樗木 佑太
iro./齋藤アイリス春花
■ pink×greenカラー
最近は、デザインカラーのオーダーをいただくことが多いです。このピンクと毛先グリーンカラーは、アニメのキャラクターのヘアに似ているということで、フォロワーさんからの反響も多く、特に海外でバズっているようです。(2022年7月現在、20.8万いいね)。色落ちまで考えて、低ダメージでブリーチを仕上げることを心がけています。
■ コレクション用デザインヘア
もう一つの作品は、2ブリーチで絶妙なアイスミントグリーンに仕上げた思い入れのあるヘア。これは私がアシスタント時代に、アシスタントが主役のヘアショーに出場したときの作品です。まわりはステージの上で、アレンジだけして整えているヘアが多いなか、私はウエットの状態から10分で仕上げました。完成度が高いと評価していただいた思い出の一枚。
一人ひとりの個性を生かしたヘアを作ることにこだわりもっています。
齋藤 アイリス 春花さいとう あいりす はるか
iro/向田夏希
■ ユースフル・ウルフ
ウルフベースに蛍光のグリーンと毛先にポイントでブラックカラーを入れたデザインヘア。鮮やかなヘアにブラックが効いていて、個人的にも気に入っているヘアデザイン。カラーはマニックパニックをつかっています。発色がよく気に入ってますね。私は今の年齢だからこそ溢れてくる個性があると思っていて、そのセンスを大事にしています。
■ orange×pinkカラー
エッジを効かせたオレンジ&ピンクボブ。カラーのグラデーションや質感には特にこだわりました。ファッションに合わせてメイクはスモーキー、リップは抜け感を出してバランスをとっています。ヘアを変えることで自分なりのオシャレを楽しんでもらえるよう、お客さまに寄り添ってその人ならではのオシャレを提案するように心がけています。
■ ハート×ベリーショート
最後に「こんなのもできるよ」ということで…丸坊主に絵を描くようなカラーをすることもあります。これはめちゃくちゃ大変なんですよ。オーダーに合わせて動物の柄を入れたこともありました。本当にレアなお客さまですけれどね。
樗木さんをはじめ、周りのレベルが高いので、自分もそれに負けない武器を身につけたいなと思っています!
向田 夏希むかいだ なつき
スタイリスト/石𣘺 晴香
■ アニメデザインカラー
石𣘺:これはアニメの「推し」と同じ色にしたいというお客さまの要望を叶えたヘアです。全体に深い赤に染めて、ポイントでホワイトを入れています。ここまでパキッと色を入れるためには、きちんと履歴を把握した上で、ブリーチのベースをしっかりつくる必要があります。ダメージ状態も把握しながら「推し」と同じヘアを再現することができました。
■ blue × whiteカラー
こちらは、お客さまが根本だけをブルーにしたいとおっしゃっていたのですが、スライシングを入れることを提案してつくったものです。髪をかき分けたり動くたびに、絶妙な色合いが混じり合って、いろんな表現が楽しめるヘア。お客さまにも「ブルーの濃淡がいい感じ!」と配色を喜んでいただきました。
■ beige × redヘア
最後は、ピンクベージュに赤を毛先に入れたスタイルです。顔まわりの毛先にも繊細に赤を入れ、全体につながりが出るようにしています。
赤はインパクトが強い色なので、どのくらいのバランスで、どの場所に入れればかわいくなるのかかなり計算しています。また、ピンクベージュと相性の良い鮮やかな赤をセレクトしました。
配色の考え方は、樗木さんがセミナーなどで発信するほどの知見を持っているので、しっかり学んでより高いレベルで洗練されたヘアデザインを生み出せるようになりたいです。
石𣘺 晴香いしばし はるか
代表/樗木 佑太
■ ウルフ×襟足ブリーチ
ときどき美容師のお客さまから「アシスタントのときどんな作品を作っていたんですか?」って聞かれることがあるんですよ。だから、今回はあえてアシスタント3年目くらいのときにつくったお気に入りの作品を紹介します。
昔から好きなものはあんまり変わっていなくて、エッジの効いたクールな雰囲気が好きです。モデルさんは雰囲気のある個性的な方を選ぶことが多いですね。コンサバティブなものはつくりたいと思ったことがないんです。
これはウルフが再注目され始めたくらいのころだったんですが、襟足だけブリーチしたヘアは珍しかったんじゃないかなと思います。ブリーチが好きだったのもありますし、全部ブリーチするよりも、ウルフのポイントである襟足を際立たせたほうが印象的なヘアになるかなと。
質感もややドライです。今はツヤツヤな質感が人気ですけれど、個人的に撮影するときはドライな質感にすることがありますね。
■ グランジベリーショート
2017年のヘアショーで披露したベリーショート。ブラックライトで光るようなライトグリーンカラーがポイントです。立ち上げたヘアセットや遊び心のあるスタッズのついたジャケットでグランジの雰囲気を取り入れつつ、あえてミニスカートを合わせてジェンダーフリーな仕上がりにしました。
■ 樗木流モヒカン
かなり高い位置でブロッキングして、ツーセクションで切っています。トップの髪の長いところの幅が狭くて、モヒカンのようになっています。この作品で社内のコンテストで優勝した、思い入れのあるヘアです。
どうやったら新しいか、どうやったら強さが出るかなど考えて、自分的にも新しいバランスにチャレンジできたかなと。言葉で説明しなくても、ヘアデザインや作品全体から伝わるようなものをつくりたいんです。
トレンドはあまり意識していないし、僕は全員から評価してほしいとは考えていません。好きな人にだけ届けばいい。自分のスタンスをブラさず、これからも貫いていきたいと思っています。
樗木 佑太おおてき ゆうた
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。