新星サロンの魅力に迫る『next door』03 poppins 東京のダイバーシティを体感できる“型にハマらない”ヘアサロン

美容師として独立し、「新しい扉」を開いたオーナーに取材する『next door』は、bangs編集部が注目する美容師が立ち上げた「新星ヘアサロン」の魅力に迫る企画です。
第3回は、2022年8月に表参道で産声を上げた“型にハマらない”ヘアサロン「poppins」。kokiさんとYOSHIMIKIさんの同級生コンビが中心となり、唯一無二のヘアを提供しています。
今回は、2人にpoppinsが誕生するまでのキャリアや、サロンのこだわり、提供したい価値などについてたっぷり聞きました!

SPECIAL CONTENTS

2022.11.30

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目 次

poppinsの代表ってどんな人?

kokiさん<写真:左>

三重県出身。資生堂美容技術専門学校卒業後、都内有名店に入社。元祖カリスマ美容師のメインアシスタントなどを経験。その後、表参道の某有名サロンでスタイリストとしてのベースとなる技術、感性を磨き独立。70年代から90年代のロックをこよなく愛し、ジェンダーレス・ボーダレスでファッション性の高いヘアスタイルを提案している。

YOSHIMIKIさん<写真:右>

三重県出身。山野美容専門学校、都内有名店に勤務。複数店舗でさまざまな美容技術を磨き、特殊ヘアなども積極的に修得。2022年8月、kokiさんとともに表参道poppinsを立ち上げる。母親の影響で、自身もソール、パンク、80年代のヒップホップ、90年代のニューヨークシーンに造詣がある。個性的なヘアスタイルをオーダーされても、きっちりと顧客に似合わせる実力派美容師。

「面白い子がいる」とお互いに紹介される

―早速ですが、2人で独立することになったきっかけを教えてください。もともとお知り合いだったんですか?

koki:僕たちは中学生のときに同じ進学塾に通っていたんです。通っていたのは違う中学だったんですけれど、塾の友達から「面白い子いる」と紹介してもらいました。その塾は成績順でクラスが決まるんですが、僕は最初、最下位のクラスだったんです。YOSHIMIKIも同じクラスで、教室の一番前に座っていました(笑)。

YOSHIMIKI:そこから話すようになって、高校は別々の学校に進学したんですが、それでも一緒に遊んでいたんですよ。

koki:二人でボクシング習っていたこともあります。

YOSHIMIKI:同じジムに通っていました。

―すごい仲良しですね! その当時は美容師になると思っていましたか?

koki:僕は中学生くらいのころから意識していました。美容家系だったので、将来の職業選択としてリアルに考えていましたね。

YOSHIMIKI:僕は中学生のときは全く考えていなかったです。でも、母親が美容師をしていたので髪型には興味があったし、兄の影響でファッションにも興味がありました。髪型に関していうと、とにかく人と被るのが嫌でした。

koki:なんかいろんな髪型してたよね。当時はあんまりやっている人がいない緑色の髪とか。

YOSHIMIKI:あと「斜めモヒカン」とかやっていましたね(笑)。

国内外で活躍する木村浩一郎氏が内装をデザイン

―二人でヘアサロンをつくろうという話はしていたんですか。

koki:お互い専門学校から東京に来ていたものの、専門学校も別々だし、働いているサロンも別々でした。一緒に独立したら面白いねという話をしたのは25歳くらいだったかな。

YOSHIMIKI:中学からずっと別々の環境でしたけど、3、4年だけ同じサロンで働くことで、お互いの働きぶりを知ることもできました。

―表参道にサロンを出したのはどうしてですか?

koki:この物件が気に入ったことが決め手ですね。表参道と246(青山通り)が交差するこの場所の空気感がすごく好きなんです。地下鉄でもすぐ来られるし、タクシーも停めやすいので、お客さまも便利なのかなと。

YOSHIMIKI:単純にこのロケーションが良かったですね。

―内装のこだわりも感じます!

koki:LAILA TOKIOというセレクトショップの内装がすごいおしゃれなんです。自分たちのサロンの内装を考えたときも、それが最初にパッと浮かんできました。

調べてみると、デザイナーは木村 浩一郎さんという方でした。でもさすがに、自分たちのサロンの仕事を引き受けてくれる確証はなかったし、いくらかかるかもわかりません。

ダメもとで連絡を取ると「今ちょうど表参道にいるので会いませんか?」と。早速お会いして、自分たちの想いなどを語ったら、共感してくださったんですよね。

予算が合うか心配だったんですが、別のところで出していただいた内装見積もりの予算に合わせてくれたので、予算内におさめることができました。

YOSHIMIKI:デザインは木村さんにほぼお任せで、僕らが要望したのは全面鏡張りにしたいということくらいです。

koki:木村さんは教科書にも載っているような著名な方です。それまで知りませんでしたけれど。

YOSHIMIKI:内装に関してはタイミングも、運も本当に良かったよね。

ロゴのデザインは彫り師・デザイナーのTAPPEI氏

―店名はどのように決めましたか。

koki:みんなでアイディアを持ち寄って決めました。1時間くらいで決まったよね?

YOSHIMIKI:うん。poppinsとかいてポピンズって読むんですけれど、そこに込めた想いは…特にないです(笑)。

koki:僕もないです(笑)。ただポップな感じにしたかったんですよね。というのも、僕の見た目もこんな感じだし、スタッフも尖り気味なので、シャープな名前にするとなんか刺々しいというか。男女のお客さまにも意見を聞いて、多数決で決まりました。

―ロゴもポップですよね。

YOSHIMIKI:彫り師とデザイナーとして活躍しているTAPPEIくんっていう友人がいるんですけど、彼がつくってくれました。TAPPEIくんはうちのお客さんでもあるんですよ。

―交友関係もクリエイティブなんですね。お二人以外のメンバーはどういう経緯でジョインしたんですか?

koki:1人は専門学校時代の友人で、もう一人は以前務めていたサロンの後輩です。後輩の子はスタイリストになったタイミングでミラノに飛んで、現地で活躍していたんですけれど、最近一時的に戻ってきまして。ちょうどいいタイミングだったので入ってもらいました。

唯一無二の個性が混ざり合うサロン

―オープンして三ヶ月が経ち、少しずつ落ち着く頃かなと思うんですが、オープン後に嬉しかったことといえばなんですか?

koki:これまで来てくれていたお客さまが喜んでくれるんですよ。みんな「おめでとう!」と言ってくれる。

YOSHIMIKI:確かにそれはあるよね。お客さまもそうだし、友達とか先輩、家族、スタッフにもめちゃくちゃ助けられて今があるんだなぁと思う。だからみんなに感謝しています。

koki:それは俺もめっちゃ思いますね。

―あらためて、poppinsのヘアサロンとしての特徴を教えてください。

Koki:一つの強みとか、特徴を打ち出す戦略は一切ないです。みんなで一つのことをやろうっていうよりも、みんなが自分の好きな世界観、ファッション感でヘアスタイルをデザインしていく。それをお互いにリスペクトして、いい感じに混ざりあっている…っていう感じじゃないですかね。

―お二人がどんなヘアデザインをしているのか読者に紹介したいと思います。特徴的なヘアデザインを紹介してもらえますか?

koki:僕は元々ロックミュージックが好きなんです。世界のロックを聞いてきたので、ヘアデザインするときもその要素がどこか出ているみたいで、お客さまにバンドマンがすごく多いんです。僕自身はバンドやったことないのに(笑)。そんなこんなで結果的にファッション感度の高い方に合わせたヘアスタイルが多いです。

koki:MIU MIUみたいな世界観も好きなので、女の子向けにガーリーなヘアデザインをつくることもありますし。とにかく、僕は自分の好きなものからインスピレーションを受けているし、それが好きなお客さまがきてくれているっていう感じですね。

YOSHIMIKI:先ほども話したように母親が美容師で、しかもヒップホップが大好きなファンキーな人なんですよ。その影響で僕もソール、パンク、80年代のヒップホップ、90年代のニューヨークシーンなど、そのバックボーンを学んで追求していくうちに、マインドも寄っていったんですよね。それをヘアスタイルにも落とし込んでいます。

あと、僕はつくれないスタイルがあるのが嫌なんですよ。だから、ほかの美容師だったら断られてしまうような特殊系のヘアデザインも積極的にやるようにしています。

―最後に今後、poppinsでやっていきたいことを教えてください。

koki:サロンをつくるときに、デザイナーの木村さんや、TAPPEIくんにお願いしたように、リスペクトしているアーティストとコラボレーションできるようなサロンにしていきたいです。

そもそも僕は美容師の友達があんまりいなくて、映像関係の人やフォトグラファー、ファッションスタイリストなどと一緒に遊んでいるし、「なにかつくろう!」と話したりしているんですよね。だから、美容業界の枠組みに捉われず、何か仕掛けていきたいと思っています。

YOSHIMIKI:振り返ると前に働いていたヘアサロンの飲み会の時間が、楽しくて好きでした。売上などの数字の話は一切なし。「あの映画見た?」とか「その服すごくかわいいね」とか、好きなことしか話していない。poppinsもそういう価値観でやっているし、好きな話題でお客さま同士が意気投合することも結構あるんですよ。

koki:僕らは見た目がこんな感じなので、尖っているヘアサロンだと思われがちなんですけれど、尖っているんじゃなくて、好きなことをやっているだけなんですよね。その好きなことを通じて、お客さまに似合うヘアデザインを提案しているって感じなんです。だから、いろんなお客さまに来てほしいなって思っています。

YOSHIMIKI:僕は、世の中にはヘアスタイルとファッションがマッチしていない人がたくさんいると思うんですよね。そこで似合わせるのが美容師の仕事だし、その積み重ねで素敵な人が増えていくと思うので、多くの人たちのヘアスタイルとファッションがマッチしている、カッコいい世界をつくることに、少しでも貢献していきたいです。

■ next door バックナンバーはこちらからcheck!

→next door 01 groovy hair

→next door 02 PELE

PROFILE
プロフィール
koki
poppins owner

koki

三重県出身。資生堂美容技術専門学校卒業後、都内有名店に入社。元祖カリスマ美容師のメインアシスタントなどを経験。その後、表参道の某有名サロンでスタイリストとしてのベースとなる技術、感性を磨き独立。70年代から90年代のロックをこよなく愛し、ジェンダーレス・ボーダレスでファッション性の高いヘアスタイルを提案している。

PROFILE
プロフィール
YOSHIMIKI
poppins owner

YOSHIMIKI

三重県出身。山野美容専門学校、都内有名店に勤務。複数店舗でさまざまジャンルの美容技術を磨き、特殊ヘアなども積極的に修得。2022年8月、kokiさんとともに表参道poppinsを立ち上げる。母親の影響で、自身もソール、パンク、80年代のヒップホップ、90年代のニューヨークシーンに造詣がある。個性的なヘアスタイルをオーダーされても、きっちりと顧客に似合わせる実力派美容師。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

外山 武史

Writer外山 武史(とやま たけし)

SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!

菊池 麻美

Photographer菊池 麻美(きくち あさみ)

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒、2003年・2004年 CANON写真新世紀佳作。レゲエと海外旅行をこよなく愛するフリーランスフォトグラファー・シネマトグラファー。