美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第4回・GOALD/今井崎知希×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第4回目はGOALD/今井崎知希(いまいざきともき)さん。
GOALDのハッピーソウルマンとしてお客さまと真剣に向き合う今井崎さんは、究極の“気遣いの人”でもあります。今井崎さんはなぜ気遣いの人になったのか? そして、お客さまだけでなく周りの人をハッピーにし続けることができるのか? 今井崎さんが大切にしていることや、これからの美容業界で成し遂げたいとこについて伺いました。
SPECIAL CONTENTS
2021.12.18
今井崎知希さんってこんな人!
愛知県出身。中日美容専門学校卒業後、OCEAN TOKYOに入社。その後 オープニングメンバーとしてGOALDへ。代表の中村トメ吉氏も認める愛弟子の一人。2020年10月1日からハイスタイリストに。現在は、東京、名古屋、京都で活躍の幅を広げている。座右の銘は「あほの可能性は無限大」。
恩師にしてもらったように、僕も温かい気遣いを周囲に提供したい
桑名真理子(以下、桑名):今井崎さんと初めてお会いしたのは、GOALD代表・中村トメ吉さんの取材の場でした。今井崎さんならではのハイテンションも強烈だったのですが、撮影するにあたって、不要な小物を移動しようと私が手を伸ばす前に今井崎さんが率先して動いてくださって。空気を読んだ判断力と瞬発力がすごかったです!
ときには背景として写したいものも移動しちゃって、「あ、その看板は残してください!」というと、満開の笑顔で「失礼しましたー!」って場を明るくしてくれて(笑)。そうやって前のめりにコミットしてもらえたことが私はすっごく嬉しくて、一瞬でファンになってしまったんです。
アシスタント時代に、そういった気遣いする力が培われたんでしょうか?
今井崎知希(以下、今井崎):たしかに、アシスタント時代に先輩に教わって覚えたというのもありますが、これまでの経験や出会いから“身近な人への気遣い”という軸ができたような気がします。
というのも、僕は学生のころ落ちこぼれで、当時は家庭環境も良いとはいえなかったので、人から温かい心遣いを受けたことがなかったし、自分ですることもなかったんです。
今井崎:でも、中学時代に恩師と呼べる先生に出会ったことで変わったんですよ。先生からもらった温かい気遣いは真っ暗なところに光が差したようで、自分も同じように人の目や表情を見て求めてられているものを提供したいと思うようになれたんです。
僕は損得勘定で行動できないんです。例えば、道端でケンカをしている人がいて、一方的にボコボコにやられている人を見たら絶対に助けにいきます。めちゃめちゃ怖いですけど、自分の目で見てしまったからにはスルーできない。損得ではなく、自分が正しいと思うことを選択したいんです。
桑名:今井崎さんを知る上で、恩師の先生の存在は欠かせない気がします。ぜひ、先生との一番心に残るエピソードを教えていただけますか?
今井崎:僕は不登校の時期があったのですが、そのときに先生が毎日のように話を聞いて手を差し伸べてくれて…。心機一転、先生のために学校へ行こうと決めたんです。でも、親といざこざがあって、ヤケになった僕はある日、なんとお酒を飲んで登校したことがあったんです。
先生はすぐに僕の様子がおかしいことに気づいて「何かあったの?」と声をかけてくれました。事情を説明すると先生は親身になって話を聞いてくれて、その日は帰宅することになったんです。
今井崎:先生が車で家まで送ってくれた道中、「お昼ごはんはあるの?」と聞かれて。ごはんなんてなかったけど、僕は「ある」と嘘をついたんです。でも、先生にはすぐに嘘だとバレたんでしょうね。コンビニに寄ったと思ったら、親子丼と飲み物を買って、「これ食べなさい」と渡してくれたんです。
もう、僕はそれで涙がぶわーっと溢れてしまって。車の中で大切に親子丼を抱えていました。家に帰って、親子丼がつゆだくになるんじゃないかというくらい泣きながら食べましたね。
桑名:それは…聞いている私まで涙が出てきます。
今井崎:お酒を飲んで学校に行くなんて、自分のために時間を使って応援もしてくれる先生を裏切るようなことをしてしまった、でもまたこうやって手を差し伸べてくれた…。なんて温かいんだろう、と。そのときの親子丼はそれまで食べたどんな食事よりも温かくて、一生忘れない思い出の味です。そのできごとが「人に心遣いができる人間になりたい」と、変わるきっかけになりました。
お客さまは、自分に生きる意味を与えてくれる存在
桑名:人と人とが交わるときの温かさを大事にしているんですね。今井崎さんと会うとなぜかホッとする理由がわかったような気がします。
ちなみに、今井崎さんの美容師としてのストロング・ポイントはどんなところですか?
今井崎:技術でも接客でも「なんでカッコよくしたいのか?」「どんなお声がけをする必要があるのか?」など、「なんのためにするのか」を常に考えるようにしています。
その答えは「一歩踏み出せるようにお客さまの背中を押すため」であったりとか、「施術が終わって帰るときにはハッピーになっていてほしい」であったりしますが、目的がブレなければ、手段がどんなものであれお客さまを幸せにすることができると考えているからです。
桑名:今井崎さんはピュアで、自分の心で感じたことをとても大事にしている印象があります。最近、深く感じ入ったことや葛藤したことはありますか?
今井崎:最近、中村さんに「カットがヘタ。愛がこもっていない」って言われてしまったんですよ。たしかに言われてみれば、デビューするにあたって、クオリティは一定レベルに達したのですが、スピードを重視しすぎて過程にこだわりがなくなっていたんです。
あとは、接客もアシスタントのころの方がすべてのお客さまにパコーンとハマっていた気がして。というのも、僕はセットのスプレーを「ハッピーパウダー」と名付けてノリノリで吹きかけるというエンターテイメントを披露していたんです。それを目当てに来店してくださるお客さまもいたのですが、スタイリストになってから、「そんなことをしていていいのかな」と考えることがあって。「ハッピーパウダーお願いします!」と言われてしまうと、ちょっと違うな…と気分がのらないことがあったんです。
そんなときに「100人のお客さまがいたら、100通りの自分で対応しなければならない」という中村さんの教えを忘れて、カッコつけようとしていた自分に気づき、軌道修正しました。
もっと一人ひとりのお客さまときちんと向き合って、目の前の人の願いやニーズにきちんと答えたいと思うようになったんです。
今井崎:あともう一つあって、アシスタントの西岡世成に「俺のことどう思う?」って聞いたこともあったんです。すると「人間としては尊敬していますけど、美容師としては尊敬できないです」とハッキリ言われたんですよ(苦笑)。
桑名:信頼している後輩からの一喝! それは響きますね。
今井崎:はい。正直、僕は技術にすべてを賭けるというタイプではなくて、人を幸せにするための一つの手段として美容師という職業を捉えていたんです。でも、手段だとしても120%カッコいいスタイルが作れないとダサいなと気づきました。
桑名:そうやって指摘されたことに素直に向き合える今井崎さんはすごいと思います。中村さんやアシスタントさんと良い関係を築いているんですね。お客さまとのことも聞きたいのですが、今井崎さんにとってお客さまはどんな存在ですか?
今井崎:お客さまは僕の生きるパワーの源であり、生きる意味を与えてくれる存在です。
落ちこぼれだったときは誰からも必要とされなかったかもしれないけれど、今は自分の技術で、自分の手で人を幸せにできるし、必要としてもらえる。求められるからこそ楽しい、もっと言ってしまえば、息ができる感覚ですね。
会社や所属先のワクを超えて働けるハッピーなサロンを作りたい!
桑名:これから、美容業界で叶えたい夢はありますか?
今井崎:ありますよ! 僕は自分がカリスマになりたいとか、そういうのはないんです。代わりに、理不尽な大人の都合はぶち壊したいと考えています。
今井崎:例えば、今は、レギュラーサロンだけでなく働き方も多様化していて、フリーランスの美容師さんもたくさんいますよね。それに、美容師さんのキャリアもさまざまで一つのサロンでずっと働く人というのもレアケースです。
だからこそ、会社を離れてしまうと、そこで働いていた仲間とも疎遠になってしまう…ということもあるかと思います。会社に所属していると、大好きだったのに会えない、なんてしがらみもありますよね。僕はそういうのを一切取っ払って、どんな美容師も「来たぜ!」と行って一緒に働けるようなハコを作りたいんです。まさに【ハッピーボックス】を作って、垣根を超えた美容師の交流をして、そこに来たお客さまをハッピーにしていきたいです!
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今井崎 知希いまいざき もとき
愛知県出身。中日美容専門学校卒業後、OCEAN TOKYOを経てGOALDへ。代表の中村トメ吉氏も認める愛弟子の一人。2020年10月1日からハイスタイリストに。現在は、東京、名古屋、京都で活躍している。座右の銘は「あほの可能性は無限大」。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。