美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第6回・LECO/田中萌子×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第6回目は町田のヘアサロンで圧倒的な支持を集めたのち、昨年からLECOのメンバーとなったスタイリスト、田中萌子(たなかもえこ)さん。
東京郊外のヘアサロンに勤めるアシスタント時代から、カラーリストとして爆発的な人気で、デビュー後も美容師としても若い女性の憧れの存在としても常に注目を集めてきました。
常に野心をメラメラと燃やしながら周囲の人をもポジティブに照らす太陽のような田中さん。LECO加入後の日々やお客さまへの思い、同世代の女性美容師さんへのメッセージなどについて話していただきました。
SPECIAL CONTENTS
2022.02.17
田中萌子さんってこんな人!
1994年生まれ。茨城県理容美容専門学校卒業。ダメージを最小限にした艶髪ハイトーンを得意とし、アシスタント時代にカラー売上300万越えを達成。町田の人気サロンでデビュー後も10代後半から20代前半の女性から絶大的な人気を誇り、予約殺到の女性スタイリスト。ストイックな性格を武器に、インスタグラムの投稿も注力し、ヘアカラーのテクニックやスタイルのセンスなど同業者からも注目されている。2021年2月にLECOに入社。現在フォロワー2万越え。
店長を務めた店を卒業し、LECOで新たな美容人生をスタート!
桑名真理子(以下、桑名):田中さんとの出会いは2019年だったと思います。女性美容師さんは、プライベートとキャリアのバランスを取りながら働く方が多いけれど、「一番になりたい!」というバリバリの野心のもと、キャリアに全振りして働く田中さんというのは、私の中でもものすごくインパクトのある存在でした。
田中萌子(以下、田中):ありがとうございます!
桑名:出会ったときからすでにご活躍されていたので、私がこうして改めてご紹介するのも恐縮なのですが、まずは簡単に田中さんの美容師歴を教えていただければと思います。
田中:現在、美容師としては7年目になります。LECOに入る前は、東京の郊外にあるお店で美容師をしていました。ありがたいことに、スタイリストデビュー前にカラーリストとしてたくさんのお客さまを担当させていただき、25歳でデビューしてすぐ店長になりました。
桑名:その後、1年半ほどそのお店で務められたんですよね。そこで学んだことで大きかったのはどんなことでしょうか?
田中:私が働いていたお店は、有名店でもありませんし、名前が知られている有名スタッフも特別にいなかったので、自分が全面に出ていくようになるにつれて、ちょっとだけ孤独みたいなものを感じていたんです。「私は一人で頑張ればいいや」と思っていた時期もあったのですが、その考えが店長になったときにガラリと変わったんですよね。
お店には年上のスタッフもいましたが、スタッフの母や姉のような気持ちで「美容の楽しさをもっともっと伝えたい」と考えるようになったんです。そこでスタッフとの関わり方が変わったというのが一番大きなできごとだったと思います。
クリエイティブを極めるために入ったLECO。覚悟はしていたけれど、悔しい日々が…
桑名:田中さんを見ていると、心から美容が好きなんだなっていうのがいつも伝わってきます。美容師としても店長としても充実した日々を過ごしていたかと思うのですが、外の世界に飛び出そうと思ったのはなぜなんですか?
田中:もともと、25歳になったら東京の美容室で働きたいという計画はあって、でもその当初の予定はデビューしたときにすでに年齢的にオーバーしていたんですね。
一方で、スタイリストとしても店長としてもものすごくやりがいを感じていて、特に、後輩育成もどんどんやっていきたいという気持ちも強くなっていました。ただ、自分が技術で向上していくには、ずっと同じ場所にはいてはいけないと感じてしまったんです。
桑名:それで、田中さんがかねてから尊敬してやまない内田聡一郎さんが代表を務めるLECOに加入することになったんですね。
田中:はい。これまで作っていたスタイルは、ハイトーンでも艶髪で、いわゆるわかりやすく売れるもので、それでお客さまにもたくさん支持いただいていたのですが、もっとデザインを追求したくなってしまって。
内田さんが独立してLECOをオープンすると知ったときも、面接を受けようかとても悩んだのですが、そのときは時期が違うかなと思いとどまりました。昨年、ようやく前のお店でもやるべきことをやって結果を残したので、内田さんに相談し、LECOに加入することになりました。
桑名:それが2021年の2月のことでしたよね。働く場所が変わると、他のことも変化するし、戸惑うこともあったんじゃないかと思うのですが、SNSなどで見る田中さんはいつも元気で楽しそうです。実際のところはどうですか?
田中:正直な話をすると、うまくいかないことの方が多い1年でしたね…。桑名さんが知っている私はポジティブでトントン拍子にうまくいっているというイメージが強いかもしれませんが、悔しい場面が心底いっぱいあって…。
桑名:この一年、田中さんの挑戦を想像すると、フリーランスでスタートした私は共感できるものがあり、グッときてしまいました(涙)。
田中:桑名さんと話していたら、いろんな感情がこみ上げてきちゃいました(苦笑)。自分の作るスタイルに物足りなさを感じ、ヘアデザインをやりたくてLECOに入ったのに、ぜんぜん結果は出ないし、年下のスタッフがかわいいスタイル、かっこいいスタイルを作って活躍しているのに、年上の自分ができないことがとにかく悔しくて…! やってきたことが違いますし、覚悟の上でLECOに入ったとはいえ、実際そうなってみると堪えましたね。
見てほしいのはキラキラと輝いている私。だから、落ち込む姿は見せない
田中:でも、私は私なりに積み上げてきたことがあるし、私自身の見せ方は変えたくない。SNSや周りの人には、美容師をやっている以上は、ずっとキラキラしていて楽しんでいる姿を見せていたいので、ネガティブなことを発信したり、サロンワーク中に落ち込む姿を見せることはしませんでした。
田中:悔しい経験は人生の中で何度かしてきましたし、そのあとは必ず楽しいことがあるはずだから、悔しい気持ちをごまかしたり流したりせずに、きちんと悔しがった方がいいんだろうなぁとも思って。
桑名:LECOで田中さんが作るスタイルは、今までとは変わってくるということですよね。具体的には、どんなものになりそうですか?
田中:私は、技術としてはギャルっぽいものが好きなので、そこは個性として残したくて。ネオギャルとストリートをミックスしたクリエイティブな作品を作っていきたいです。でも、サロンワークとか接客のしかたはまったく変わりないですよ。
桑名:田中さんに憧れてサロンに通っているお客さまも多いかと思うのですが、接客で大事にしているのはどんなことですか?
田中:これは後輩にもよくアドバイスしていたのですが、お客さまには「最近、いいことありましたか?」と聞くことが多くて。良いことがあれば「彼氏とこうなった」とか「仕事でこんなことがあった」と話してくれます。
田中:反対に「全然良いことない」とか「うーん」という感じであんまり話したくなさそうな雰囲気のお客さまには、「なんか嫌なことでもあったんですか?」と切り出せるんですよね。そうすると、悩みを打ち明けてくれることもあって、ファーストコンタクトで深い話がしやすいし、リピートしてくださったときに、「この前のあの話、どうなった?」と会話が繋げられるんです。
田中:アシスタントのころは、その場その場で楽しい話ができればいいと思っていたけれど、スタイリストになったあとは、お客さま一人ひとりと長く付き合っていけるような話ができるように心がけています。
「女性美容師でもクリエイティブができる」それを証明できる存在になりたい
桑名:それいいですね! 私も今度から使ってみます。最後に、田中さんがこれから美容業界でやりたいこと、叶えたい夢はありますか?
田中:今の美容業界の中では、私たちの世代はSNS やオンラインを駆使して“映え”で売れてきたという風に思われがちです。自分の武器で使えるものは使って名前を売り出す人が多いですが、それを抜きにしても、活躍している人たちは根が熱い美容師さんたち。練習も死ぬほどしていて、その熱さや練習量は業界の先輩たちと同じだと思っています。
そんな中で私たちの世代には、女性美容師でクリエイティブをやっている人があまりいないので、私自身がクリエイティブを特化した美容師になって、「女性美容師でもクリエイティブができる」ということを証明し、伝えていきたいです。
田中:そしてゆくゆくは、今、内田さんがやっている偉業を内田さんより若い年齢で実現してみせたい!
まだまだ私はこれからですが、言葉には夢を叶える力があるので、あえて言葉に出して言っておきます!(笑)
桑名:田中さんなら絶対にできる! 応援しています!
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田中 萌子たなか もえこ
1994年生まれ。茨城県理容美容専門学校卒業。ダメージを最小限にした艶髪ハイトーンを得意とし、アシスタント時代にカラー売上300万越えを達成。デビュー後も10代後半から20代前半の女性から絶大的な人気を誇り、予約殺到の女性スタイリスト。ストイックな性格を武器に、インスタグラムの投稿も注力し、ヘアカラーのテクニックやスタイルのセンスなど同業者からも注目されている。現在フォロワー2万越え。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。