美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第8回・ADITION/いさな×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第8回目は美容学生時代からインフルエンサーとして活躍し、現在ADITION渋谷でデビュー2年目を迎えた、いさなさん。
美容師以外にもアパレルやファッション雑誌などメディアでも活躍中のいさなさんに、美容師にとってのSNSの役割や、お客さまに支持される理由、若手美容師さんに伝えたいことなどについて、本音で話していただきました。
SPECIAL CONTENTS
2022.04.06
いさなさんってこんな人!
大阪府出身。神戸ベルェベル美容専門学校卒業。学生時代からインフルエンサーとして活躍しており、現在のInstagramのフォロワー数は、5.6万人、TikTokのフォロワー数は23万人。新卒でADITIONに入社後、1年でカラーリストデビューし、初月売上100万円達成。現在はスタイリストとしてメンズ・レディースともにハイトーンカラーで圧倒的な支持を得ている。
フォロワー20万人の美容学生、どんなサロンにも入社できると思っていたが…
桑名真理子(美容エディター 以下、桑名):いさなさんとの初の接点は、Instagramでしたね。すでに多数のメディアでご活躍されているいさなさんからリアクションやDMでコメントいただいたときビックリしました!
この取材のコンタクトを取らせていただいたときもそうだったのですが、いつも文章のやりとりに細かな気遣いを感じられて…。22歳という若さにもかかわらず、その気遣いが“昭和の香り”がするというか、同年代の方のみならず、上の世代の方からも支持があるんだろうなぁと想像しています。
いさな:昭和の香り(笑)! 確かにそういうところはあるかもしれません。気づいてくださってうれしいです。
桑名:いさなさんは、関西の美容専門学校を2020年3月に卒業されて、新卒で東京に出て来られたんですよね。
いさな:はい。でも実はもともとは美容師になるつもりはあんまりなくて。ご存じの方もいるかもしれませんが、僕は美容専門学生のときにインフルエンサー的な活動をしていて、Tik Tokのフォロワーが当時20万人ほどいたんです。
今ではあまり珍しくない数字かもしれませんが、当時は周りを見渡してもそんなにたくさんフォロワー数がいる学生ってあんまりいなかったので、もう完全に調子に乗ってしまっていましたね…。正直な話、インフルエンサーで稼げる! とも思っていました。
いさな:ただ、せっかく美容専門学校を卒業したので美容師をやろうとなんとなく決めました。今はもう、インフルエンサーより美容師として進むことに夢がある事を身を以て感じています!
それで、美容師になるなら東京だろうということで、僕はハイトーンカラーが好きだったので、カラーで人気の有名サロンを受けたんです。そうしたらサラッと落ちてしまったんですよ…。これだけフォロワー数がいるんだからどこでも受かるだろうと思っていたので、衝撃でしたね。
桑名:順風満帆なイメージがあるのでびっくりです! いきなり挫折を味わってしまったんですね?
いさな:こんなことを言ったら挑発的かもしれませんが、「いま流行っているサロンが、自分を落とすなんて!」と、生意気にもそんなふうに思っていました(苦笑)。当時はあんまり挫折だと感じていませんでしたね。
実は、この話には続きがあって…! 先日、このとき受けたサロンの代表が手掛けたカラー剤のセミナーをやらせてもらったんです。あのできごとが月日を重ねてご縁につながったことが素直に嬉しかったですし、ストーリーが生まれたな、と思いました。いつか、その方と同じフィールドで会えたらうれしいですね。
「自分を好きになり続ける」ことが自信の根源
桑名:それはすごい! いさなさんは、自信を持っていらっしゃるし、自己肯定感が高いように見えますが、その源ってなんなのでしょう?
いさな:僕、もともと自信家なんですよ。そうなったきっかけは幼いころの淡い恋愛が関係してます。幼稚園と小学生のときに、好きな先生がいたんです。子どもながらに本気で好きだったのですが、その先生がどちらも結婚してしまって…。僕は勝手に裏切られた気持ちになって、ものすごい落ち込んでしまったんです。
桑名:それは…切ないですね。
いさな:当時の僕は、また好きな人や“推し”ができたら、同じ思いを繰り返すのは嫌だった。どうしたらいいのか真剣に考えて…、そこから、「自分のことを好きになろう!」と決めました。自分のことを好きになり続ければ、自分は裏切らないじゃないですか。
中学生くらいのときからこう考えるようになって、周りに何を言われても自分の意見は曲げないようになりました。
桑名:そんなエピソードが関係していたんですね。その経験から得た自信があったからSNSも成功したし、今の活躍にもつながっているんだと思います。ちなみに、社会人1年目のときはどうでしたか?
いさな:それまでみたいに、自分の思い通りにいかないことが多くて、結構辛かったですね。人に言われて曲げないことが良いときもあれば悪いときもあるということを痛感しました。
桑名:美容師1年目のときって、みなさんいい意味でピュアだし、それゆえ曲げられないこともあるんですよね。いさなさんは、そのとき、自分を変えたんですか? それともあえて変えずに続けたんですか?
いさな:僕は、サロン自体を変えたつもりです。こう言うと大げさに聞こえるかな。サロンの風向きや勢いを変えたイメージです。
いさな:それこそ、僕が入社したとき、ADITIONは代表の大石(啓慈)以外、SNSを積極的にやっていなかったんですよ。なので、生意気なことに1週間に1回とかミーティングをしてSNSでの集客のアドバイスをしていました。自分はアシスタントで、集客できる立場ではないにもかかわらず…です(笑)。
SNSでの自分とリアルな自分に“ギャップ”があってはいけない
桑名:SNSの重要性を気づいてもらいたい、伝えることができたら、と考えたんですね。
いさな:自分がSNSを始める前と後だと、立ち居振る舞いも変わっているんですよ。SNSと実際の僕にギャップがあったらいけません。「魅力的な人なのかも」という土台をSNSで作った上で、リアルに対面したときに「オーラがある人だな」「かっこいい人なんだな」と、思っていただければ、支持は集められるのかな、と。
桑名:どこにいても統一感のある人間性、ということですね。いさなさんは、ちょうど1年前にデビューされて、この取材を依頼するにあたってお客さまのいわゆる口コミレビューも拝見したのですが、そのことが表れている方だな、と思いました。
いさな:レビュー見ていただけているなんて嬉しいです! 僕、口コミレビューは星5つ以外ついたことがないんです。リアルな言葉や体験を大事にしたいので。
桑名:すごくお客さまを大切にされていると思うのですが、具体的にはどのようなことに気をつけていますか?
いさな:単純なことだと思うのですが、来店された時点でその方の素敵なところを褒めるようにしています。ファッションやアクセサリーなど、最初は髪以外の話をすることがほとんどです。
施術後は、僕、毎回メッセージを手書きした名刺をお渡ししているんです。最初の来店のときだけでなく、毎回です。お客さまには名刺を集めていただく感覚ですね。
桑名:そういうアナログのコミュニケーションも上手! 手書きのメッセージは若い方にも響くんですね。今、いさなさんがメインで打ち出しているスタイルを紹介いただけますか?
いさな:メンズ・レディース問わずのハイトーンカラーです。男女どちらのお客さまもたくさん来店していただいていますが、特に今は、メンズ美容師としての印象を広めたくて、SNSの打ち出しもメンズを中心にしています。
いさな:メンズ美容師として名を馳せたあとに、「レディースのお客さまもたくさん来ていただいています」とアピールできたら最強じゃないですか。なので今は、この界隈のメンズ美容師に負けたくない! という気持ちは強いです。
「先輩はなぜそう言ったのか?」若手美容師さんは、そう考える広い視野を持ってほしい
桑名:応援しています! 毎回みなさんに伺っているのですが、美容業界に思うこと、改善したいことはありますか?
いさな:僕はまだ22歳なので、今後年齢を重ねていったら考え方もかわるかもしれませんが、今はとにかく、若手美容師が辞めてしまう現状をどうにかしたいですね。僕の同級生でも、美容は好きだけど人間関係がうまくいかずに美容師自体を辞めてしまう人はとても多くて。
いさな:一方で、若い人たちがどれだけ広い視野を持てるかということも大切なんですよね。例えば、「俺がアシスタントのときはこうしていた」「スタイリストになったら、俺の言っていることが正しかったとわかるはず」と先輩に言われることはよくあります。
それに対して「そうだったんだ」と素直に受け入れるか、「いや、知らないし」と聞く耳を持たないかではその後が変わってきます。
僕も、そういうことを言う先輩は苦手だけど(笑)、本当にその通りだったということは何度もありました。
桑名:相手が伝えてくれたことを噛み砕くって大事ですね。そういえば先ほど、アシスタントさんにいさなさんのことを聞いたところ、お兄ちゃんのように寄り添ってくれる存在だということでした。
いさな:いさな:そう思ってもらえているのはうれしい限りです。できる限り安心して働けるような距離感を大切にしているので。
桑名:いさなさんのような先輩がサロンにいたら、美容師を楽しく続けられる若手の方もたくさん生まれると思います。最後に、いさなさんが目指す美容師像や野望を聞きたいです!
いさな:美容業界だけにとどまりたくないですね。テレビにも出たいですし、芸能人っぽい美容師になりたいです。そういう意味でいうと、気持ちとしてはインフルエンサーなのかもしれません。某海外アパレルブランドとのコラボレーションも進行中なので、楽しみにしていてください!
桑名:それは楽しみにしています! 今日はありがとうございました。
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いさな
大阪府出身。神戸ベルェベル美容専門学校卒業。学生時代からインフルエンサーとして活躍しており、現在のInstagramのフォロワー数は、5.6万人、TikTokのフォロワー数は23万人。新卒でADITIONに入社後、1年でカラーリストデビューし、初月売上100万円達成。現在はスタイリストとしてメンズ・レディースともにハイトーンカラーで圧倒的な支持を得ている。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。