美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第10回・OCEAN TOKYO/大野具理夢×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第10回目はOCEAN TOKYOのスタイリスト・大野具理夢(おおのぐりむ)さん。OCEAN TOKYOの代表である高木琢也さんの右腕アシスタントとしてたくさんの経験を積み、昨年デビューを迎えました。そんな大野さんに、OCEAN TOKYOとの出会いや、仕事を通して学んだこと、お客さまとの関係性について伺いました。
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2022.06.22
大野具理夢さんって、こんな人!
グルノーブル美容専門学校卒業後、OCEAN TOKYOに入社。アシスタント時代、代表/高木琢也の右腕として多くの現場を経験し、そこで培ったカリスマ的視点での提案力は、お客さまだけではなくスタッフからも絶大な信頼を得ている。2021年4月にスタイリストデビュー後、サロンワークのみならず有名タレントのヘアメイクを依頼されるなど、多方面で活躍し、注目を集めている。流行やトレンドを捉え、彼自身が変幻自在にお客さま色に染まることで、“時代の1歩先を行く”ヘアスタイルを提案する、カメレオン美容師。
スノボはジュニアオリンピックに出場するほどの実力の持ち主。順風満帆だった日々に、突然の洗礼が…
桑名真理子(美容エディター 以下、桑名):具理夢さんが代表の高木琢也さんの専属アシスタントを務めていたころ、取材のたびにお世話になっていました。当時から存在感や貫禄がすごくありましたよね! 実は最初、アシスタントさんだとは思わなかったんですよ。
大野具理夢(以下、大野):そうなんですか!? なんだか恥ずかしいです(笑)。
桑名:具理夢さんは、高木さんの歴代アシスタントさんの中で、私が一番お世話になった存在です。現場の環境を完璧にセッティングしてくださったり、絶妙なコミュニケーションでムードづくりをしてくれて、具理夢さんがいると本当に安心でした。だから、具理夢さんがデビューしたらお話を聞きたい! そう思ってました。今回、その夢が実現できて嬉しいです。
大野:こちらこそ嬉しいです、ありがとうございます!
桑名:まずはなぜ美容師の道を進むことになったのかを聞きたいです。かつてスノーボードでジュニアオリンピックに出たことがあるくらい、スポーツで実績を残していたそうですね。
大野:はい。スノボは父の影響で物心ついたときにはすでに始めていました。小学校に上る前にサッカーも始めたので、冬はスノボ、夏はサッカーという感じで並行してやっていましたね。負けず嫌いなんで両方とも頑張ってましたが、途中でどっちつかずみたいになってしまって…環境的に続けやすかったサッカーの道に進みました。
高校はサッカーの推薦で進学したのですが、1年の一学期のテストで赤点取ってしまい、補習を受けなくてはならず…。夏休みのサッカー部の練習にまったく参加できなくなってしまったんです。
大野:僕は心を入れ替えて勉強もサッカーもやるつもりで学校にお願いしたのですが、どうしても受け入れてもらえず、いろいろあって退学することにしました。
桑名:そんなできごとが! 当時は、どんな思いでしたか?
大野:僕も当時はツンツンしていたので、ふてくされるばかりでしたが、あるとき母親が泣いていたのを見てしまい…。かなりダメージを受けましたね。「俺のこれまでの人生って、間違いだったのかな」と、自分を責めることもありました。
美容専門学校に入ったのは、その半年後のことです。
OCEAN TOKYOの第一印象は「変わった美容室だな」だった
桑名:美容専門学校に入った決め手は何だったんですか?
大野:高校を入り直すにしても周りからは1年遅れてしまうし、夜間も通信も卒業までに4年かかるところが多かったので、さらに遅れることになる…。なので、高卒の資格と美容師の国家資格が3年間で取れる学校を見つけてきて、親に頭を下げて行かせてもらいました。髪や服はもともと好きで、興味はあったので。
桑名:紆余曲折あった上で、大野さんがどんな学生生活を送っていたのか気になります。
大野:正直、毎日まじめに通っていたかというと、そうではないんですが(笑)。当時はヤンチャな生徒もチラホラいたので、そっちに流されたらダメだという意識だけはあり、上位の成績に入るようにはしていました。
桑名:それはすごい! スポーツで培われた負けず嫌いが発揮されたんですね。OCEAN TOKYOさんとの出会いは?
大野:当時、美容師さんがInstagramよりもTwitterを熱心にやっていて、僕のタイムラインにOCEAN TOKYOのツイートもよく流れてきたんです。学生時代の僕は、流行りものに飛びつくのとか、ミーハーと思われるのがすごく嫌なタイプで。王道に尖っているOCEAN TOKYOを「変わった美容室だな」と思ってたんです。でも、友達に勧められて、足を運んでみました。
それで高木さんの予約を取り、僕は当時人気だった某俳優さんと同じ髪型にしてもらいました。高木さんは、「その髪型はもうトレンドじゃないし、違う髪型のほうが似合うよ」と提案してくれたのですが、僕は頑なに「いや、これにしてください!」とオーダーを曲げませんでした。カリスマの提案を受け入れないなんて…生意気ですよね。このことは、未だに高木さんにからかわれます(笑)。
桑名:誰の前でも意見を曲げない…大物になりそうな予感ですね(笑)
大野:あのとき、自分が思い描いた以上に理想のヘアスタイルにしてもらえたこと、技術のあまりのうまさに感動しました。
セット一つを取っても、17年間毎日セットしてきた自分よりも、初めてお会いした高木さんのほうがかっこよく仕上げてしまう。「こんなにかっこよくなるのかよ!?」という衝撃を受けて、2回目に行ったときにはもう「OCEAN TOKYOに入りたいです!」と意思表明をしていました。
OCEAN TOKYOに入って、初めて『人に尽くすことで自分の心が満たされる』ことを知った
桑名:激戦をくぐり抜けて入社してからは、ずっと高木さんのアシスタントに就かれていたんですよね?
大野:はい。お店に通っているときから、一貫して高木チームを志望していました。
桑名:OCEAN TOKYOの美容師さんの意気込みってすさまじいし、その中でも高木さんのアシスタントということは、本当にさまざまな機転や気遣いが求められると思います。厳しい環境の中、具理夢さんはどのようにして乗り越えていたのでしょうか。
大野:確かに一つのことができたら、すぐまたその次というようにどんどん高いレベルを求められる環境でしたね。加えて、後輩が入ってきたら彼らのことを見ながら自分のことをやらなくてはなりません。高木さんにはたくさん厳しいことも言われましたが、客として通っていたときから目をかけてもらっていたという実感があったので、「期待外れだと思われたくない」というのが一番の原動力だったと思います。
大野:アシスタントを外されるんじゃないかという失態は、何回もありますよ。自分が注意されるときは、いつもお客さまに対する配慮や思いやりが足りなかったときです。高木さんをはじめ、OCEAN TOKYOは、お客さまに喜んでいただけるよう、いつも全力を注ぐサロン。自分の不甲斐ない経験から、「お客さまのことを心底考えて行動する」大切さを、身をもって学びました。
桑名:「相手目線」に立つ…私の仕事でも大事なことなので、すごく響きます。大野さんは、一流の美容師に近づくため、早くから人間性を磨かれる機会が多かったんですね。
大野:本当に恵まれています。入社してからは、技術を身につける楽しさや、成長する喜びもありましたが、一番はお客さまや周りのスタッフに対して、自分が尽くすことの大切さを学びました。周りが喜んでもらえることで自分の心が満たされる、という経験は、初めてでした。
直近の野望は、OCEAN TOKYOでトップになること!
桑名:デビューしたのは1年前のことですよね。今は、どんなスタイルを打ち出しているんでしょうか?
大野:“これ”と決めて何か一つを打ち出すのではなく、そのときどきでやりたいスタイルをやっています。
大野:高木さんはお客さまの年代も幅広く、それぞれの人に“最高の似合わせ”を提供していました。それを一番間近で見ていたので、僕も同じように、あらゆる年代のお客さま一人ひとりに似合うスタイルを提供しながら絆を深めていきたい。自分が推したいスタイルではなく、たくさんの手札を持っておいて、それをお客さまに最良な形で提供していきたいんです。
大野:僕も経験したように、人って自分が思っているよりたくさん似合う髪型があるから、それを伝えられるような仕事がしたいです。
桑名:スタイリスト2年目に入りましたが、今、思い描いている美容師像はありますか?
大野:なりたい美容師像について考えることって、正直あんまりないです。一番思うのは、毎日たくさんのお客さまに来てもらいたいということと、お客さまとお互い素を出して接することのできる関係でいたいということですかね。
でも、売上でトップになりたいという野望はあります! 数字が全てという風にはまったく思わないけれど、結果を測るのは数字だと思うし、数字はお客さまを幸せにした数だと思っているので、そこはシビアな目標を自分に課したいです。
桑名:ちなみにデビューしてから、高木さんとの関係性に変化はありましたか?
大野:商品開発などで、自分にも意見を求めてもらえるようになったことは嬉しいですね。対等になった、とまでは言えませんが、ほんの少し、認めてもらえたような感覚でいます。
最近では、「俺が今やっている仕事は、将来的には全部任せたい」と言われることもあって、「マジかよ…!」と思いましたが(笑)。
でも、今までもそうでしたが、目の前のことを一生懸命やったらそれが次に繋がる、という経験をたくさんしてきたので、そのスタンスは崩さずにやっていきたい。ただ、このままだと「そんなに甘くねえよ」と言われてしまいそうなので、先のことを見通す力も補っていかなきゃな、と考えています。
桑名:具理夢さんはきっと、OCEAN TOKYOの看板を背負う中心人物になるんだろうなと、私も期待しています! 大物になっても、一緒に仕事してください(笑)
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大野 具理夢おおの ぐりむ
グルノーブル美容専門学校卒業後、OCEAN TOKYOに入社。アシスタント時代、代表/高木琢也の右腕として多くの現場を経験し、そこで培ったカリスマ的視点での提案力は、お客さまだけではなくスタッフからも絶大な信頼を得ている。2021年4月にスタイリストデビュー後、サロンワークのみならず有名タレントのヘアメイクを依頼されるなど、多方面から注目を集めている。流行やトレンドなどの流れを捉え、彼自身が変幻自在にお客さま色に染まることで、“時代を1歩先行く”ヘアスタイルを提案するカメレオン美容師。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。