美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第11回・yiye(ヤイエ)/小俣恭平×美容エディター/桑名真理子

bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第11回目はyiye代表の小俣恭平(おまたきょうへい)さん。昨年、有名サロンから独立し、表参道にyiyeを立ち上げました。学生時代は海外でヘアカットのボランティア活動を行い、美容師になってからはクリエーションにも注力しながら指名客を伸ばすなど、常に精力的に活動している小俣さん。充実した美容師人生の中で、なぜ独立という新たな一歩を踏み出しのか? そして、『yiye』というサロン名に込めた思いなどについて伺いました。

SPECIAL CONTENTS

2022.07.20

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目 次

小俣恭平さんってこんな人!

日本美容専門学校卒業後、有名サロンを経てFILMSにオープニングメンバーとして参加。忙しいサロンワークと並行して作品づくりにも没頭し、アシスタント時代からヘアコンテストに出場し、数々の結果を残す。ショートヘアを強みに自己ブランディングをし、インフルエンサーやモデルなどを始め毎月300名もの顧客を担当し、Directorという要職も務める。2022年4月、自らがオーナーとなるyiyeをオープン。

「休日に撮影」から「独立したい」まで、やりたいことはすべて応援してもらえるサロンだった

桑名真理子(美容エディター 以下、桑名):小俣さんはアシスタントのときに一度取材をさせてもらいましたね。クリエイティブに特化した大きなコンテストに参加されている姿がすごく印象的でした。当時働かれていたサロンは、そこまでクリエイティブを押しているというわけではなかったと思うので、涼し気なビジュアルではあるけれども、心の中にマグマが煮えたぎっている方なのかもしれない、という思いで拝見していました。

小俣恭平(以下、小俣):たしかに、情熱は内に秘めるタイプかもしれないです(笑)。

桑名:小俣さんは日本美容専門学校出身で、学生時代から雑誌のファッションスナップにも登場されていますよね。

小俣:僕、日美に行ったら有名になれると思って選んだんですよ。先程おっしゃっていただいたとおり、わかりやすくガツガツいくタイプではなかったのですが、人前に出たいという気持ちは子どもの頃からずっと持っていました。

当時、僕の周りではファッションがイケてる人が一目置かれるという風潮があったので、バイトしたお金でおしゃれをして、雑誌のファッションスナップに毎回載るというのが、最高のことだったんです。

桑名:一方で、小俣さんは学生時代から海外に足を運んでボランティアなどもされていますよね。

小俣:はい。美容師になる前に目立ちたいという思いでおしゃれをしてファッションスナップの常連になったものの、やっぱりそれだけでは満足できない…同級生におしゃれな人はたくさんいたし、プロのモデルもいたので、おしゃれというだけでは皆と同じになってしまうし、勝てないと気づいたんです。

そこで、皆と違うことに投資しよう! と考えました。今、yiyeの共同代表を務めている藤原(トモヤ)とは、そのころから仲がよくて、「みんなとは違う魅力を見つけたい」という話をよくしていたんです。それで、彼と一緒に思いついたのが、海外でハサミを握ることでした。ただ旅行するのではなくボランティアで髪を切る。“美容学生だけど、海外に行ってボランティア活動をしている”という誰もやっていないようなことに、挑戦したんです。

桑名:そうだったんですね! そうした武器を持って、卒業後に就職してからはいろいろな経験をされたと思うのですが、変化や成長を自分で感じることはありましたか?

小俣:独立する前に働いていたサロンは、オープニングスタッフとして参加していたので、そこでの経験はすごく大きかったですね。

会社の性質的にも、とにかくスタッフのやりたいことは絶対に否定せずに、常に応援してくれるサロンでした。なので、入社した直後から僕は「こんなことがやりたい」「5年後はこんな風になっていたい」「こんな夢がある」というのをいつも代表に話していたんですよ。代表もそれを聞いてくれて「よし、全部やるといいよ!」と背中を押してくれました。

小俣:例えば、最初、店休日は撮影でお店は使えなかったのですが、外部のカメラマンを入れてチームで撮影したい、と提案してやらしてもらえましたし、他のサロンの美容師さんを呼んで講習会を開催したこともありました。

だから、小さなことでいうと「店休日に撮影したい」から始まり、最後は「独立したい」という最大のお願いまで、すべて快く応援してもらって…今の自分があるのは、前のサロンの教育があってこそなんです。

桑名:たしかに、取材でお伺いするだけでも編集チーム側の自己肯定感まで上げてもらえるような、空気感とスタッフさんたちの包容力を感じますね。

やりきってもいないし、まだ学ぶこともある。でも、外の世界に飛び出して自分をかき乱したかった

桑名:撮影などのクリエーションって、道なき道を自分で作っていかなければいけませんが、「これをやっていたから結果に繋がった」という法則ってありますか?

小俣:僕は、必ず1週間に1度は撮影するというルールを作って取り組んでいたのですが、それが一番良かったですね。

ずっとやり続けていると、前回を超えたいと絶対に思うので、モデルさんや衣装を探す感度が上がるんですよ。加えて、仲間が増えるスピードが早いし、カメラマンさんや衣装係との繋がりがものすごく深まります。1〜2か月に1回の撮影ではそうならなくて、その場限りの関係で終わってしまうことが多いんです。でも、週1でがむしゃらに続けて回数を重ねていったからこそ、クオリティの高いものを作れるメンバーが集って、作品に注力できるんです。

小俣:これは3年前のものですが、この作品のスタイルの誕生が自分を加速させました。始めて大きな反響をもらった作品で、今でも印象に残ってます。

そういえば、スタッフのなるみも、撮影でできた縁で一緒に働くことになったメンバーなんです。

桑名:そうして充実した日々を送っていく中で、なぜ独立を決めたのでしょう?

小俣:考え始めたのは今からちょうど1年くらい前です。最初から独立を決めていたわけではなくて「この先どうしよう?」って、ふと思ったんですよね。サロンワークでもたくさんのお客さまに来ていただいていて、すっごく楽しいのですが、1年後も同じ場所にいる自分を想像できなくなってしまったんです。

桑名:やりきった感があったのでしょうか。

小俣:いえ、やりきったという感じはまったくなくて、まだまだ学べることもあるし、同じ場所に居続ける意味もありました。サロンの雰囲気は最高だし、スタッフ同士も仲が良くて上昇志向があったのですが、僕はそんな居心地の良い中にいるのではなく、外に出て自分をかき乱したい、自らのリミッターを外して飛ばしたいと思ってしまったんですよね。

桑名:そういうことだったんですね。決断されてからサロンオープンまではあっという間だったかと思います。yiyeというサロン名に込めた思いを教えていただけますか?

小俣『yiye』というのは、創業する1年前くらいにたまたま考えていた造語なんです。僕は、生活している中でも色々と頭を巡らせているタイプの人間なのですが、そのときは帰省の最中で、地元を歩いているときに思いついたんです。

ひらがなの五十音の中で、や行は「や・い・ゆ・え・よ」の中で、「い」と「え」は、あ行の繰り返しで、いわばブランクですよね。50音の中で唯一存在しない、や行2つの文字をとった造語で、これに、や行の子音「y」の間に「い」と「え」をローマ字にした「i」と「e」を入れると、「yiye(yiye)」という言葉になります。

造語なのですが、「ないものを形にする」ことってすごくいいなと思って。何かのタイミングで…それこそ、自分のプロダクトを作ることとかがあったら使おうと考えていたんです。

小俣:それで、藤原とサロンを作ろうとなったときに、「サロン名はもう決まっているよ」と話したんです。彼には、「人生最大のファインプレー」と言われました(笑)。自分でもそう思います。

”今まで存在しなかったものを形にし、美容室の枠に囚われないお店を作る” ”お客さまに唯一無二の体験をしていただく”をコンセプトにしています。

桑名:サロンとして打ち出しているスタイルはどんなものがメインになりますか?

小俣:これという一つには決めていません。同じスタイルが得意な人を集めた方が、ブランディングはしやすいのかもしれませんが、あえてそういうことはしたくなくて。僕は軸は変えずにショートで、藤原はメンズサロン出身ですし、なるみはハイトーンが得意なサロン出身なので、ミスマッチ感がおもしろいかな、と考えています。

「若手が新しいこと・おもしろいことをやっている」と先輩方にも認知してもらいたい

桑名:経営者としての視点が加わって、今、どんなことを感じていますか?

小俣:すべての責任が自分にあるというプレッシャーはありますね。すべてを自分で決断しなければいけないし、クリエーションもサロンワークも教育も経営も雑務も……で毎日120%で生きています。銀行員や税理士など他業種の方と会うことも多いので、一瞬何に集中していいかわからなくなることもありますが、その目まぐるしさや新しいことをするのが気持ちいいです。自分に負荷をかけることを欲していたんでしょうね。

桑名:表情から充実度がうかがえます。最後になりますが、yiyeというサロンの展望も含めて、美容業界に一石投じるとしたら、これからどんなことをしたいですか?

小俣:僕は、もともと闘争心メラメラなタイプではないので、業界自体に何か……というのはあんまりないかもしれません。

ただ、yiyeの内装もこだわりのある会社が作ってくれていますし、ピアスやコーヒーも販売しているので、美容師とクリエイターがコラボレーションしていること、若手の僕たちが新しいことにチャレンジしているのは、先輩の美容師さんたちに認知してほしいです。

小俣:そうして、「なんかおもしろいことしているな」と認めてくれる人たちが増えたときに、確かな技術、健全な経営、行き届いたスタッフ教育という中身がしっかり整っている本物のサロンであれることを望んでいます。

桑名:センス抜群のyiyeの空間やスタッフさんで、今後どのようなおもしろいことをしてくださるのか、とっても楽しみです! 今日は小俣さんとお話できて幸せでした。ありがとうございました!

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PROFILE
プロフィール
小俣 恭平
yiye 代表取締役

小俣 恭平おまた きょうへい

日本美容専門学校卒業後、有名サロンを経てFILMSにオープニングメンバーとして参加。忙しいサロンワークと並行して作品づくりにも没頭し、アシスタント時代からヘアコンテストに出場し、数々の結果を残す。ショートヘアを強みに自己ブランディングをし、インフルエンサーやモデルなどを始め毎月300名もの顧客を担当し、Directorという要職も務める。2022年4月、自らがオーナーとなるyiyeをオープン。

EDIT
編集
桑名 真理子

Director桑名 真理子(くわな まりこ)

メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。

須川 奈津江

Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)

フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。

トカジ ショウタ

Photographerトカジ ショウタ

人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。