美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第12回・siki/水口裕太×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第12回目はsikiのスタイリスト水口裕太(みずぐちゆうた)さん。sikiの作るスタイルに憧れて中途でsikiのメンバーとなった、水口さん。アシスタント時期からクリエイティブ分野のコンテストに積極的に挑戦し、結果を残しています。昨年の2021年10月にスタイリストデビューも果たし、大注目を集める水口さんに、sikiという美容室の魅力やクリエイティブにかける情熱についてお聞きしました。
SPECIAL CONTENTS
2022.08.10
水口 裕太さんって、こんな人!
福岡県出身。福岡美容専門学校卒業。都内の有名サロンを経て、sikiのメンバーに。アシスタント時代からクリエイティブのコンテストに意欲的に挑戦し、結果を残す。『9TH ASIA BEAUTY EXPO 2022』では、sikiの代表としてヘアショーに出場を果たした。ハイセンスでオシャレ感のあるスタイルが美容学生を始め、感度の高いお客さまに受け入れられている。
sikiのスタイルを見て初めて「自分もこんな作品を作ってみたい」と思った
桑名真理子(美容エディター 以下、桑名):水口さんとの出会いは、sikiの代表である磯田さん・伊藤さんの取材で、お二人から「イチオシのスタッフです!」とご紹介いただいたのが初めてでした。朝早い時間の撮影だったのですが、水口さんの屈託のない笑顔がとても印象的で! お人柄が滲み出ていました。その後、コンテストで賞を取られて、個人的に注目する若手美容師さんの一人です。
水口裕太(以下、水口):ありがとうございます。賞を取ったのは、sikiに入って1年目のときですね。アジアビューティコングレスという美容学生も参加するコンテストだったのですが、背中を追いかけていた代表に一歩、近づけたような気持ちでした。
桑名:水口さんは、新卒でsikiに入社されたんですか?
水口:いえ、それが違うんですよ。僕は美容学生のころからカット技術にこだわりたいと考えていて、専門学校卒業後はカットが売りの有名美容室に就職したんです。
sikiに入社するまでは、今のようにクリエイティブに力を入れていたわけではなかったんです。ある日、Instagramでsikiのスタイルを見つけて「自分もこんなスタイルが作ってみたい!」と初めて思いたちまして。それで、サロンに足を運んでみたらスタッフの人柄の良さにも感銘を受けてしまって。中途で入社しました。
桑名:そうだったんですね。sikiはとても人気のサロンですし、入社してから個性的でスター揃いなメンバーの中で自分の色を出していくのが大変だろうな、と思います。
水口:本当にそうなんですよ。オリジナリティーな武器を持った後輩もどんどん入ってくるし、どうしたら頭一つ抜けられるんだろう?とすごく考えました。そんな中で自分の『ハリネズミヘア』もアイコン化しよう! など、試行錯誤でブランディングを試しています。
桑名:ハリネズミヘア、すごくお似合いです!
水口:ありがとうございます! 一時期、王道のマッシュスタイルにしていたこともあるんですが、磯田に「裕太、やめな」とやんわりさとされ、ハリネズミヘアに戻しました(笑)。
クリエイティブな思考は、サロンワークの引き出しも増やす
桑名:水口さんは、コンテストにも多数出場されていますが、挑戦しようと思ったきっかけがあるんでしょうか?
水口:僕は、美容学校に入るまでの学生生活で何か結果を出したことや目立ったことってあまりなかったんです。でも、美容学生になって、これから美容師としてずっと働いていくことを考えたときに、「爪痕を残したい」と思い始めました。
その前段階として学生時代はワインディングを頑張っていましたね。性格的に、いろいろなことにチャレンジするよりは、何か一つのことを続けることの方が得意。ワインディングを極めるためにひたすら練習をして、コンテストで結果を出すことができました。
美容師になってからは、その集中して続けたいことの一つが、クリエイティブ分野のコンテストなんです。
桑名:水口さんがコンテストで作る作品を拝見していると、もちろんクリエイティビティの高い華やかなスタイルである一方で、そのままストリートを歩けるようなカジュアルさもあって、そのバランス感覚が絶妙だと感じました。
水口:ありがとうございます。僕は、まだまだ引き出しが多い方とは言えないのですが、お客さまは、自分にとってのオンリーワンの強い武器を持っている美容師を探していると思うので、クリエイティブの分野でもお客さまに響くものが作りたいといつも考えています。
実際に、ヘアショーやコンテストではサロンワークとは別のスタイルを考えることになるのですが、その準備期間にしか考えつかないデザインが出てくることが何度もあるので、クリエイティブに取り組むことによって、サロンワークのスタイル作りの引き出しが増えていくのを感じます。
桑名:現在、サロンワークではどんなスタイルを打ち出していますか?
水口:これまではワントーンのカラーを打ち出すことが多かったのですが、今はそのワントーンの中にカットで顔周りなどにデザインを入れたり、似合わせを入れたりするなど、プラスアルファを提案するようにしています。
あと、今考えているのは『落ちるローライト』です。
ローライトって、黒だと色が残りやすくて扱いにくい印象がありますが、全体を明るくした上で、残りにくい紫のローライトを入れて、白く色落ちしていき馴染んでいく……という変化の楽しめるスタイルを提案していきたいです。
技術だけじゃなく、空気感を含めての“オンリーワン”になりたい
桑名:サロンワークで水口さん大切にしているのはどんなことですか?
水口:磯田にもよく言われることなのですが、『ナンバーワンよりオンリーワン』であることです。
実はsikiに入ってしばらくしたころ、技術にこだわるあまりお客さまに寄り添うのが難しくなってしまった時期があったんです。
当時の店長に相談したところ、「技術ももちろん大切。それよりも大事なのは、お客さまの望んでいるものを引き出してあげること。オンリーワンというのは、技術だけでなく人間性や空気感を含めてのものなんだよ」と教えられました。そのあとは、考え方を変えて美容師をもう一度やり直すような気持ちでしたね。
だから、今でも接客では緊張感を与えず、ワクワクを感じてもらえるような空気感というのはすごく大切にしています。
桑名:水口さんからは、私はいつも唯一無二のオンリーワンな空気感を味わっていますよ。ちなみに今後、チャレンジしたいことはありますか?
水口:今は磯田のセミナーに同行することが多くて、背中を追っている憧れの人と一緒に一つのことをできるのが、とても嬉しいんです。もっと実力をつけて、いずれは自分がセミナーに呼ばれるようになりたいです。あとは、sikiで培った技術や感性をお店の後輩たちにも伝えていきたいですね。
桑名:すごく充実した美容師生活を送っている水口さんですが、直近の目標はありますか?
水口:僕は今24歳なのですが、同世代にすごい美容師が多くて、作ったスタイルを見ていると、「うまいな、悔しいな」と心で思うことがたくさんあります。だからこそ、自分も頑張らないと! と奮い立たせることもできるんです。だから自分も同世代はもちろん、どの世代の一流美容師とも同じ土俵で戦える、オンリーワンのプロフェッショナルになりたいと思っています。
これからどんどん下の世代も台頭してくるので、そういった世代の人たちともライバルとして共に高め合っていきたいです。
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水口 裕太みずぐち ゆうた
福岡県出身。福岡美容専門学校卒業。都内の有名サロンを経て、sikiのメンバーに。アシスタント時代からクリエイティブのコンテストに意欲的に挑戦し、結果を残す。『9TH ASIA BEAUTY EXPO 2022』では、sikiの代表としてヘアショーに出場を果たした。ハイセンスでオシャレ感のあるスタイルが美容学生を始め、感度の高いお客さまに受け入れられている。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。