美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第15回・C・crew(シー クルー)/柴谷恵梨香×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第15回目は現在、C・crewで唯一の女性スタイリストである、柴谷恵梨香さんが登場。おしゃれ感度の高い服飾系の方や美容学生を中心に、圧倒的な支持を集める恵梨香さん。姉御肌で頼りがいのある恵梨香さんに、下積み時代の経験や、これからの女性美容師の働き方について伺いました。オーナー・森田さんとの絆を感じるエピソードも必読です!
SPECIAL CONTENTS
2022.11.09
柴谷 恵梨香さんって、こんな人!
神奈川県出身。住田美容専門学校卒業後、都内有名サロンに入社。7年勤めたのちに、C・Crewの一員となる。独自のハイトーンカラーやデザインカットを打ち出し、十代、二十代を中心に人気を集めている。サロンワークだけではなく、雑誌などのスタイリストとしても活躍中。
「あなたにしか持っていないものがたくさんある」。ある先輩の言葉が糧になった
桑名真理子(以下、桑名):以前、このbangsの企画でC・crewのスタッフさん全員のスタイル撮影を特集したことがありました。そのとき、フロアをずーっと歩き回りながら後輩のスタッフさんたちをフォローしている恵梨香さんの姿がとても印象に残っていたんです。後輩のやる気を引き出すようなプッシュアップの仕方に感銘を受けました。
柴谷恵梨香(以下、恵梨香):ありがとうございます。今回も取材していただけて嬉しいです!
桑名:恵梨香さんは、現在、美容師歴何年目ですか?
恵梨香:10年目です。
桑名:今年はメモリアルイヤーですね!恵梨香さんは、オーナーの森田(怜)さんと同じ有名店出身なんですよね?
恵梨香:はい! 新卒から7年間おせわになりました。そのサロンは、“デビュー”という区切りはなくて、ハントしたモデルさんが自分の指名で戻ってきてくださったら、その方にとってはスタイリスト、という感じだったんです。
恵梨香:サロンには、幅広い年齢層のお客さまが新規でたくさんいらしてました。ただ私は当時、髪色も今よりもっと派手で、かつ童顔ということもあり、実年齢より幼く見えていたようで…。お客さまに安心感を与えられるようになるまでは、なかなか新規フリー(指名なし)のお客さまを割り振ってもらえなかったんです。
桑名:そうだったんですね。うまく行かないこともあった下積み時代で、今の恵梨香さんにとって特に実になっていることはなんですか?
恵梨香:ハイトーンを売りにしているサロンだったので、その技術を学べたのは大きいです。1年目の終わりのころ、ブリーチが得意なチームに所属させてもらえたので、12月の繁忙期は、もう丸1日ずーっとブリーチやリタッチを塗っていましたね。今に繋がるハイトーンの技術はそのときに身につけることができました。
桑名:デザイン性の高いものを求めているお客さまも多いでしょうから、貴重な経験になりますよね。精神的な面での大きなできごとはありましたか?
恵梨香:新規の集客がうまくできずモヤモヤとした気持ちを抱えながら、有名な先輩のアシスタントとしてついた時期があったんです。そのとき、その先輩に「アシストをするのはとても上手だけど、スタイリストになろうとは思わないの?」と聞かれたんですね。私の正直な答えは「想像したことがありませんでした」というものでした。
その先輩は、「あなたは私にないものをたくさん持っているし、それが羨ましいなと思うこともある。それなのに、もったいなくない?」と言ってくれたんです。
その言葉で、私はようやくスタイリストとしての自分を考え始めました。「まずは1か月、本気でやってみなよ」と言われたとおり、モデルさんをハントして月に30〜40人、休日には3人ほどモデルさんを施術し続けました。
まずは1か月ということでしたが、それを3か月くらい続けていると、だんだんリターン率がわかってくるんですね。その後、半年ほど続けて、モデルさんがどんどんお客さまとして戻ってきてくれるようになりました。4年目の終わりころのことです。
オーナー・森田さんからの「待ってるからな」の一言で、C・crewの一員に
桑名:充実した美容師生活を送る中で、C・crewで働くことを決めたのは、やはり森田さんの存在が大きいのでしょうか?
恵梨香:そうですね。当時、辞めるつもりはまったくなかったものの、「外の世界を見てみたい」とは心のどこかで思っていたんです。契機が訪れたのは、森田さんの送別会のときのことでした。
みんなの前で挨拶を終えた森田さんが、こちらに向かって「待ってるからなー」と言ったんです。まさか自分に言われているとは思わず、「私ですか?」と返したのですが、森田さんの答えは「お前しかいないっしょ」というもの。「森田さんのサロンで、楽しく美容師を続けたい!」と直感で決めました。
桑名:すごい! ドラマのようなエモーショナルな展開でドキドキしちゃいます!
恵梨香:森田さんとは、私が就職活動でお客さんとして通っていたときも、選考のサロンワークのときも顔を覚えていてくれていて、働き始めてからは、森田さんの外部の仕事に付いていき、メイクを担当することもありました。先輩後輩ではあるものの、壁がなくて風通しのいい、真っ直ぐに向き合える貴重な存在ですね。
四季を通じて服を着替えるように、ヘアスタイルも変化を楽しんでほしい
桑名:新しいスタートを切って、現在活躍中の恵梨香さんですが、今イチオシのスタイルは?
恵梨香:やはりハイトーンが多いですね。私のお客さまは、美容学生さんもいらっしゃいますが、服飾系の学生さんが多いんです。
桑名:美容師として大切にしていることはありますか?
恵梨香:私は、髪もファッションの一部だと考えているので、季節に合わせて服を着替えるように髪も変えて楽しいんでほしいんです。1年を通して、季節ごとに変化を楽しむというか、例えば、春は彩度が低めの明るいカラーでカットは重め、夏になったら彩度が高いカラーと軽いヘアスタイルに、秋になったらポイントで暗い部分を増やしてカットは重めにするなど、季節とファッションをリンクしていくイメージです。
桑名:季節ごとに次回の提案もしやすいので、リピートにも繋がりそうですね!
恵梨香:はい、おかげさまでリピートしてくれる方は多いですね。私、お客さまが周りの知人を紹介してくださることがすごく多くて! 新規はリアルな口コミでのご紹介が半分、SNSからが半分くらいなんです。
お客さまは髪型を変えるだけじゃなく、楽しくおしゃべりしに来てくださる感覚です。枠数を増やしてお客さまをたくさんお迎えする大切さもわかるのですが、なるべく一人ひとりのお客さまと接している時間を長く持ちたいですよね。自分がお客さまの立場だったら、直接担当に人にやってほしいと思いますから。
桑名:売り上げを追求しなきゃいけないけれど、一人ひとりのお客さまにじっくり向き合いたいと考えてる女性美容師さんは多いですよね。
恵梨香:そうだと思います。それこそ、今、C・crewの女性スタイリストは私だけなので、下の子たちがやりやすくなるようにしていきたいですよね。
第一線でキャリアを積みながらライフスタイルも大切に。女性美容師のロールモデルになりたい
桑名:恵梨香さんを見ていると、すごく責任感のある方なんだな、と感じます。後輩を引っ張っていく立場として大切にしていることはありますか?
恵梨香:自分の目線ではなく、後輩の目線に立つことは心がけていますね。あと、森田さんに言われてハッとしたのは「圧倒的に差をつけてから指摘すれば、説得力がある」ということ。自分のためにもチームのためにも、スタイリストとして実力をもっとつけていきたいです。私は遅刻もしないですし、掃除もきちんとやる根が真面目なタイプなので、ときどき森田さんにも指導しちゃいますね(笑)
恵梨香:また、美容師10年目にして「後輩たちを良い方向に向かわせたい」という気持ちが芽生えてきました。時には嫌われても構わないから、後輩をいい方向に導きたいです。
桑名: 一本筋の通った恵梨香さんに憧れる後輩の方は多いと思います。そんな恵梨香さんが、これから美容業界で実現したいことはありますか?
恵梨香:女性が働き続けていると、どうしても結婚や出産というライフイベントの影響を大きく受けがちですよね。そして、渋谷・原宿のエリアの女性美容師の場合、第一線から退いてしまう人がいるのも現実です。C・crewはもちろん、このエリアで働く女性が、結婚・出産を経ても戻って来れるサロンがたくさんできてほしいです。
恵梨香:「立ち止まらずにどんどんいこう!」という向上心も大事ですが、自分のお客さまを大事にしながら自分のライフスタイルとバランスを取って働ける女性美容師像を築いていけたらいいなと思います。
まずは私自身がそんな美容師になり、女性美容師のロールモデルになれれば嬉しいです。
桑名:普段から恵梨香さんのSNSを見ていてその自然体な生き方、私もとっても憧れます! これからも恵梨香さんの歩む道を応援しています。今日はありがとうございました!
■Find a STAR☆バックナンバーはこちらからcheck!
柴谷 恵梨香しばや えりか
神奈川県出身。住田美容専門学校卒業後、都内有名サロンに入社。7年勤めたのちに、C・crewの一員となる。独自のハイトーンカラーやデザインカットを打ち出し、十代、二十代を中心に人気を集めている。サロンワークだけではなく、雑誌などのスタイリストとしても活躍中。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。