美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第16回・YUHI×美容エディター/桑名真理子
bangs特集記事の編集担当にして、1000名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担う NextStar美容師を直撃! 美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第16回目はYUHIさん。新卒入社後にGARTEの代表であるアツトシさんのアシスタントとして経験を積み、新ブランド立ち上げや店長などの要職に就いて活躍してきました。技術面では、デザイン性の高いハイライトカラーで注目を集めています。そんなYUHIさんのこれまでの歩みや、彼ならではのストロングポイント、これからの展望を伺いました!
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2022.12.14
YUHIさんって、こんな人!
国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。カットを極める人にとっての登竜門であるGAMO area-circuitカットコンテストにおいて、激戦区の東京予選で最年少優勝を飾る。2000名以上が出場するサスーンカットコンテストでは全国4位入賞。数々のコンテストで上位入賞を重ねる。2019年にWELLAトレンドセミナーにて22歳で登壇。23歳でSnot by GARTE 代表に就任、翌年より本店GARTEにて店長を務める。2023年1月より新天地で活動予定。
圧倒的なスピードで成長を続ける怪物
桑名真理子(以下、桑名):YUHIさんのことはかなり前から存じ上げていました。22歳で店長、新ブランドの代表になったりと、圧倒的なスピードで成長している印象です! 怪物ですよね。
YUHI:とんでもないです。周りにすごい人がいっぱいいるので、それに引っ張られているだけで、自分は大したことないです。
桑名:順風満帆に見えるキャリアですが、これはもともと思い描いていたものですか?
YUHI:ハッキリ描いていたわけじゃないですけど、昔から結構ガツガツ系だったので。GARTEの代表であるATSUTOSHIさんたちの言うことを聞いてガムシャラにやってきたって感じです。
とにかく「ここで得られるものはなんだって手に入れてやろう」って感じで、例えば、代表が地方のセミナーに行くときは、無理やりお願いして連れていってもらっていましたし。
桑名:GARTEの新ブランドの代表就任と同時にスタイリストデビューしたお話も衝撃的でした。
YUHI:僕も衝撃でした(笑)。
桑名:本当に倍速で生きているYUHIさんですが、そもそもGARTEに入ったきっかけってなんだったんですか?
YUHI:僕は高校時代に美容室でアルバイトをしていて、そこで働く先輩にPEEK -A-BOOの川島文夫先生のセミナーに連れていってもらったんですよ。日本一上手いと聞いていたので、期待して行ったらヴィダル・サスーンの技術から生み出されるヘアスタイルがすごくて…圧倒されました。
それと同時に、TwitterでATSUTOSHIさんを見つけまして、SASSOONのコンテスト2連覇・カラー部門も同時受賞して、しかも若いのにお店を構えていてすごいなと。ATSUTOSHIさんが「カットセミナーやるのできてください」と美容学校生向けに発信しているのをみて、そこに参加したのが最初の出会いですね。
それからサロンに通うようになり、進路相談をしていたら「色々見て判断するといいよ」とアドバイスされたんです。だから、ゆるふわ系やガーリー系などこれまで自分と接点がなかったサロンもいっぱい見ました。
GARTEへの想いが強くなっていた矢先、ATSUTOSHIさんから「ウチを受けるでしょ?」と背中を押していただき、受けることに。
当時から簡単には入れない人気サロンだったんですけれど、学生時代から出場できるコンテストは全部出ていましたし、SASSOONの学生コンテストでは2500人中4人に入ったりしていて、そういう結果も認められて入社できました。
「失敗の数=立ち直った数」は誰よりも多い!
桑名:入社後、一番鍛えられたなと感じるのはどんな部分ですか?
YUHI:メンタルですかね。僕はもともと言い訳しちゃうタイプだったんです。「でも…」が口癖だったので。しかも、物覚えが悪かった。毎日叱られていたので、お客さまから「辞めずに頑張ってるね」と励まされたりして。
それこそ最初のころは叱られると落ち込んでパフォーマンスが落ちたりしていたんですけど、途中でそれって意味ないなと。10秒くらいで気持ちを切り替えて、次の仕事にパッとうつれるようになってから成長できたかなと思います。失敗の数は誰よりも多かったかもしれないけど、それが自分の誇れるところなんですよ。
桑名:例えばどんな失敗をしていたんですか?
YUHI:それを語り出したらインタビューが終わらなくなっちゃうので(笑)。
少しだけ紹介すると、語り継がれる伝説の最悪の1日がありまして。コロナ前は地方営業もしていて、代表に僕もついてまわっていたんです。
で、現地についたときお釣り用のお金を持って来ていないことに気づきます。それはなんとか対処したんですが、次は間違えて違う先輩のシザーを持ってきてしまい、めっちゃ迷惑をかけます。
さらに、営業中はお会計で打ち間違えて8000円の損失を出し、紙の領収書を書いたことがなかったのでまごついていると、お客さまに叱られて…とボロボロ。自分のせいですが、もうほんと地獄でした。
桑名:なるほど…でもそうやって美容師としての基礎を磨かれていったんですね、きっと。苦い経験もしているから、言葉に深みがあるというか。
YUHI:何度も転んで立ち上がった経験が武器になっていると僕も思います。
数年後まで見据えたカウンセリングで差別化
桑名:スタイリストとしての武器というと何ですか?
YUHI:ブリーチカラーが強みなんですが、今はブリーチカラー推しの美容師が増えているんですよね。
そこで、プラスアルファで差をつけるとしたら、ブリーチに付随する技術だけではなく、カウンセリングが重要だと思っています。良い美容師はカウンセリングが上手いんですよ。
桑名:目の付け所がさすがですね。
YUHI:できるだけ短い時間の中で、お客さまのやりたいことと、こちらからの技術提案をミックスして、ゴールをしっかり提示しています。
特に大事になってくるのが、お客さまのヘアのプランニングです。1年後はどうするか、2年後はどうするか、そこまで話しています。
桑名:その狙いは?
YUHI:ハイトーンカラーを楽しめる期間って限られていると思うんですよ。学生のうちはできるけれど、社会人になったら難しいと思います。となると、長くて4年、就活などを考えると3年くらいなんですよね。だから、就職活動に向けて髪色を調整するプランニングをしたりしています。
YUHI:人生においてハイトーンじゃない時間のほうが長いと思うので、先々まで考えて提案できることは自分の武器になっていますね。
桑名:そこまで考えてくれているならお客さまも安心しますね。お客さまは、YUHIさんより年下の方が多いのかな?
YUHI:そうですね。同い年から下が多くて、年上のお客さまは割合として少ないかもしれないです。
桑名:やっぱり! 相談しやすいお兄さんキャラが出ていますもん。
YUHI:僕は美容師って相談相手としてめちゃくちゃいいポジションだと思っているんですよ。友達に相談しにくいことも相談できるというか。
美容師が相手なら、秘密が広まったりしないですし。髪を切るだけじゃなくて、1カ月半に1回、2カ月に1回、話しに行きたいと思われるような存在になれたら嬉しいなって思っています。
オセアニアの美しい海をモチーフにしたブルー
桑名:いろんな相談もできちゃうカウンセリングを通じて、どんなヘアデザインをしているのかも教えていただきたいです。ここ最近、反響が大きかったヘアを紹介してもらえますか?
YUHI:このヘアスタイルの方サロンによくきてくれるお客さまなんですが、人と被らないブルーにしたいって言っていたんですよね。
YUHI:じゃあ一体、どんなブルーがいいだろうということで話していたら、オーストラリアとかニュージーランドの海のようなターコイズ寄りのブルーがいいという話になり、海の色を目指してつくりました。
桑名: 海の色で表現するってめっちゃいいですね!
YUHI:刺さる人には刺さるデザインじゃないかなと思っています。
桑名:話は変わりますが、近々GARTEから離れると聞いて、とっても驚きました。
YUHI:めちゃくちゃ悩んだ末の決断です。一番大きなきっかけは結婚して、育児も控えていること。来年の2月に子どもが生まれるんですよ。
桑名:それはおめでとうございます!
YUHI:妻の実家の近くに引っ越す予定もあり、働きながら子育てもしていくとなると、働き方を変える必要があるかなと思っていたんです。
だからフリーランスとして働くのがいいかもしれないなと。ただ、その前にたくさんの方からご連絡をいただいたので、連絡を取り合ったり、実際に会ってお話をしたりしました。
YUHI:そしたら、ちょうど独立してサロンをつくる準備をしている方と意気投合しまして。コンサバティブなヘアが得意で、絶品の韓国風ヘアなどで知られているので、僕とは絶対に交わるはずのなかった美容師さんですね。
実は、妻が学生時代からお世話になっている方なんです。だから信頼できると思ったし、僕が全く知らない世界を見ることができそうだと思ったんですよね。
美容師としての挑戦というか、キャパシティを広げるチャンスというか、とにかく前向きなビジョンが頭に浮かんだんです。
一生忘れない経験と感謝を胸に、次のステップへ
YUHI:GARTEを離れることになりますけれど、ここでの経験は一生忘れないと思います。
代表がよく言う言葉に「実るほど頭を垂れる稲穂かな」って言うのがあるんですけど、これは知識や技術、経験がたまればたまるほど人に対して謙虚になるっていう意味なんですよね。
「天狗になるなよ。傲慢と自信は紙一重だぞ」とも言っていました。育ててもらった感謝を胸に抱き、これからも謙虚にやっていきたいです。
桑名:その言葉は響きますね。
YUHI:はい。もう一生忘れないと思います。別々の場所で働くことになりますが、僕が活躍することがサロンへの恩返しだと思うので、新天地でも心を込めて頑張ります。
桑名:美容業界にこんなインパクトを与えたい!っていう野望はありますか?
YUHI:個人的に仕掛けてみたいなと思うのは、クラシックなカットと、柔らかいカットの融合です。僕の技術的なバックボーンはSASSOONの直線的なベーシックなカットなんですよね。
別のルーツを歩み、得意としているヘア技術の違う美容師同士、それぞれのいいとこ取りができる環境が築けたら、新しいムーブメントを起こせるかもしれないと思っています。
例えばハイトーンと究極のコンサバティブの融合など、そんな切り口もあるんじゃないかなと。
桑名:どんな化学反応を見せてくれるのかとても楽しみです!今日は素敵なお話をありがとうございました。
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YUHI/谷口友飛たにぐちゆうひ
国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。カットを極める人にとっての登竜門であるGAMO area-circuitカットコンテストにおいて、激戦区の東京予選で最年少優勝を飾る。2000名以上が出場するサスーンカットコンテストでは全国4位入賞。数々のコンテストで上位入賞を重ねる。2019年にWELLAトレンドセミナーにて22歳で登壇。23歳でSnot by GARTE 代表に就任、翌年より本店GARTEにて店長を務める。2023年1月より新天地で活動予定。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer外山 武史(とやま たけし)
SUKETTO LLC代表。インタビューをした美容師さんの人数は延べ1000人以上。いつも美容師さんの味方でありたいと願うライターです!
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。