美容エディター注目の次世代のパイオニア! Find a STAR☆第 18 回・フウガ×美容エディター/桑名真理子
bangs 特集記事の編集担当にして、1600名以上の人気美容師を取材してきた美容エディターの桑名真理子が、今後の美容業界を担うNextStar美容師を直撃!美容師としての歩みやこれからの野望、美容業界に対して伝えたいことや改革したいことを聞きます。
第18回目は、Z世代の中でも特に注目を浴びる美容師の一人、フウガさんが登場!新卒と当時にスタイリストとしてキャリアをスタートし、現在はデザインカラーのクリエーションで定評があるフウガさん。渋谷にあるTHE SOLISTでサロンワークをしながら、美容学生・若手美容師限定のコミュニティー『null community』を運営し、若手の育成にも力を入れていらっしゃいます。今回は、フウガさんの美容師になったキッカケやnull communityへの想い、2023年おすすめスタイル、今後の展望などをインタビュー。これから美容業界に飛び込む学生さんや、若手美容師として奮闘中の方必見です!
SPECIAL CONTENTS
2023.03.08
フウガさんってこんな人
東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒。新卒入社と同時にスタイリストデビュー。都内のサロン 2 店舗で経験を積んだ後、フリーランスサロンへ。デザインカラーとカットの似合わせを得意とし、エンドカラーのパイオニアとしても業界内外からの評価が高い。また、美容学生・若手美容師限定の null community を立ち上げ、若手育成やマネージメントにも力を入れている。
そのときの 100%を、常に走ってきた。自分ならできると、信じている!
桑名真理子(以下、桑名):フウガさんとは、YouTube 番組の『Z 美容師の虹』で初めてお会いしたんですよね。番組では、叶えたい夢について熱く語っていただきました。その明確なビジョンと計画性のあるプレゼンテーションに、圧倒されて!
考え方や価値観、仕事のスタンスなど、共感の連続でどこか親近感もあったんです。あの日からフウガさんのことが気になって仕方なかったので、オファーしました。
フウガ:ありがとうございます! YouTubeではお世話になりました。
桑名:フウガさんは、いつごろから美容師になろうと思ったんですか?
フウガ:高校生ですね。当時、天然パーマがコンプレックスすぎて、髪の毛についてめっちゃ調べてたんです。そしたらヘアセットにハマっていって、周りの友だちから「その髪型いいね、僕にもやってよ」って頼まれることがあって。
そこから友だちの大切な日にセットしたりして、何十人かやってみて、気づいたことがあったんです。
桑名:気づいたことっていうのは?
フウガ:カットがきれいじゃないと、どんなに工夫してもセットが決まらないんです。じゃあ、カットもしたらいいんだって思って、Amazon でセニングとシザーを買って友だちの髪を切り始めました。高校卒業まででトータル 200 人くらい切ったんじゃないかな。そんな風にやりたいことをやりたいようにやっていたら、高校 3 年の初めに「あ、きっと美容師になるんだろうな」って思ったんです。
桑名:まるでドラマ化できそうな展開! 経験値も桁違いですね。
フウガ:常にそのときの 100%で走ってきたんで、やりたいことがあったら「自分ならできる!」と信じて動いてます。我慢して生きたくないし「フウガやるじゃん、すごいね!」と憧れられる人でありたいですね。約 200 人の人頭カットの経験は自信にも繋がりました。
「やるからには伝説を作れ」。代表と交わした約束
桑名:フウガさんは、美容師歴で言うと何年目ですか?
フウガ:もうすぐで丸4年が経ち、4月から5年目になります。
桑名:節目の時期ですね。4年間でいろんなことがあったと思いますが、下積み時代のころのお話が聞きたいです!
フウガ:実は僕、新卒入社と同時に、スタイリストデビューしているんです。
桑名:え!? どうやったらそんなことが実現できるんですか?
フウガ:美容学生のころ月に 30 人くらいカットモデルを呼んで技術を磨いていたのですが、席をお借りしていたサロンに入社したんです。代表が練習に付き合ってくれることもありましたね。施術や接客を見て「こいつは新卒でスタイリストデビューできる!」と評価していただいたようです。
本来カリキュラムがあるサロンでしたが「アシスタント期間は必要ないです」と僕から伝えました。…当時の僕は少し尖ってましたね(苦笑)。そしたら「やりたいように、やってみたらいい」と、入社と同時にデビューさせてくれました。
桑名:前例のない動きを受け入れていただけたのは、日頃の頑張りや、サロンにいるスタッフさんとの信頼関係があったからですね。
フウガ:本人の意志を尊重してくれるサロンに感謝しています。「やるからには伝説を作ってほしい」と言われて、入社4ヶ月で指名売上 100 万の目標を立てたのですが、結果は 118 万で達成することができました。
桑名:目標を大きく更新して、達成できたのは?
フウガ:当時は、Instagramのフォロワーが3000人くらいしかいなかったので、まずは全員にDMを送ったんです。その後1000人ほどフォロワーじゃない人にもDMを送ってみたので、トータルで4000人に送ってそのうちの50名くらい来店してくれました。地元が東京だったので友だちも来てくれたのも大きかったですね。おかげさまで目標達成できました。
桑名:フウガさん…ストイック! その努力が結果に結びついたんですね。
フウガ:そのとき DM を送った人たちが、今もお客さまとしてきてくれています。それに美容師人生のスタートがこのサロンでよかったと、心から思います。ご縁に感謝です。
今の時代に強い人は「自分で考えて、誰よりも早く行動できる人」
桑名:確かその後、別のサロンへ行かれたんですよね。
フウガ:はい。もっと自分に負荷をかけたくなったんです。恵まれた環境に甘そうな自分が目に見えたというか…。それで別のサロンへ転職したんです。オープニンングスタッフとして入り、2年ほどそのサロンにいました。
桑名:その2年間で、最も自分の肥やしになっている経験は?
フウガ:中間管理職としてマネジメントに関われたことですね。初めて後輩ができて、パイプ役になることが多かったのですが、そのポジションがめちゃ得意でした。スタッフの悩みを代弁したり、代表の言葉を噛み砕いてスタッフに伝えるのが苦ではないんです。どっちの立場もわかるし、お互い決めつけてかかるような関係は嫌なので、役職とか取っ払って意見を出し合えるようにしてました。
桑名:中間管理職を好む人、初めて出会ったかもです(笑)一般的には、キツいイメージなので。
フウガ:そうですよね(笑)。
桑名:若手育成に力を入れようと思ったのも、そのころですか?
フウガ:そうですね。美容師になってみて、改めて「辞める人が多すぎるな」と。周りの同期や同級生の話を聞いていると、サロンや業界への不満が溜まっていて。自分はやりたいことをすぐにできたから美容師が楽しいけど、本来アシスタント期間はやりたいことができないからやっぱり苦しいんですよね。愚痴が出るのもわかるんですけど、それは自分で考えて行動する能力が低いだけだと思っています。だから、学校やサロンとは別で「個人の能力を引き上げるフィールド」が必要だと思い、だったら僕がやろうと、動き出しました。
2 年目から外部へのセミナーを始めていて、学生向けに焦点を当てて動き出したのは3年目ですね。ちょうど2年ほど活動しています。
桑名:私も離職率は業界の課題だと考えているんですけど、一人ひとりの能力をあげようっという答えに、ハッとしました。やってみて手応えはいかがでしょう?
フウガ:『null community』というコミュニティーを立ち上げ、無料セミナーとオープンチャットを作ったときに手応えを感じました。学生のみんなは夢や理想は大きくあるけど、具体的にどう動いたらいいのか分からない人が多くて。そこをクリアにするためにオープンチャットで意見交換の場を作りました。募集をしたその日に500人くらい参加希望が集まって、700名くらい僕のInstagramをフォローしてくれたんです。美容学生の好奇心と情報をキャッチするアンテナはすごいなって実感しました。
null community では、考え方や、人間力、美容師としての人生プランなどをメインに伝えています。技術はやる気がついてきたら勝手にやり始めると思うので。無料セミナーは、応募者と一緒に企画をしたんです。学生の真剣な眼差しと前のめりな姿勢が印象的でしたね。
桑名:活動して2年が経ったとのことで、メンバーの変化などは感じますか?
フウガ:内定が決まる時期は、連絡をもらうことも多く「あのときのフウガさんのお話のおかげで、自分の考えに変化が起きて、いい決断ができました」とDMをいただいたこともありました。
桑名:感動的ですね。ちなみにフウガさんが一貫して学生さんに伝えているってことはありますか?
フウガ:普段必ず言っていることは「やっちゃいなよ」です。
桑名:思いのほか、シンプルなメッセージ!
フウガ:ですよね(笑)。情報化社会ですぐ知ることができるけど、そのせいで自己決断力が低下しやすい世の中でもあるかなと…。だから、敢えて「行動して」と、学生の背中を押しています。今の時代に強い人は「自分で考えて、誰よりも早く行動できる人」。他人が何て言おうが、やっちゃいなよって伝え続けています。
今後も学生や若手美容師向けの活動はやっていきたいですね。今年は、学生向けに100人規模の無料セミナーを目標に動いてます。
桑名:背中で実力を見せてくれつつ、並走してくれるフウガさんの存在や距離感が、学生のみなさんにとっても絶妙に心地いいんでしょうね。無料セミナーも楽しみにしています!
フウガ発信!2023年、イチオシのヘアスタイル
桑名:フウガさんはクリエーションも注目されていますね。ぜひ2023年のイチオシスタイルを知りたいです!
フウガ:デザインカラーとカットが連動したスタイルを推しています。このカットだから、このデザインカラーが活きるよねっていうのを大事にしたいですね。デザインカラーを推していたり、フロントショットで撮影してカットとカラーを見せている人がSNSではあんまりいないので、その領域で表現していきたいです。
おすすめのこのスタイルは「ロングエンドカラー」。ちなみに僕は“エンドカラー”の名付け親なんです! 毛先のことをヘアエンドというのでそこからネーミングしました。グラデーションではなくパツっとカラーを入れるのは、今までになかった表現ではないでしょうか。コントラストがオシャレで、やってみたいっと言ってくれるお客さまも多いですね。
この「ランダムデザイン✖ウルフ」スタイルも人気です。顔まわりの切り口に少し角を残しているのがこだわり。その角にデザインカラーを濃く入れることでシルエットが強調されて、オシャレで尖った印象に仕上げました。
お客さまは、学生や20代の方が多いですが、意外とメンズもいるんですよ!カットだけの方もいるし、ブリーチなしのナチュラルスタイルもやるし…お客さまの層は割と広いです。おまかせよりも「こういうヘアスタイルになりたい」と理想のイメージを伝えてくださるケースが多いですね。SNSなどで参考になるデザインも見当たらないようなクリエティブなオーダの場合もあるのですが、美容師魂に火がついて楽しい毎日です。
変わり続けることを、楽しみたい
桑名:フウガさんの話を聞いて、改めてセンセーショナルな動きをされてきたなと感じています。今後美容業界に向けてどんな美容師として認知されたいですか?
フウガ:やってきたことや自分の存在が、どこかで美容業界にプラスの影響が生まれたらいいですね。それが、ヘアデザインの反映なのか、学生向けの教育なのか、世界的なサロンを作り上げたのか…方向性に大きなこだわりはありません。そのときにできることを全力でやって、インパクトを残せてたらいいですね。
桑名:それが何なのか気になるし、フウガさんの未来にワクワクします! 変化していく自分を楽しんでいるんですね。
フウガ:僕、松尾芭蕉の「不易流行」という言葉を、座右の銘にしているんです。この言葉には二つの意味があります。“不易”は変わらないものや本質的なもの、“流行”は変わりゆくもの。対局にある変わるものと変わらないの、どっちも大事なんですよね。そして「変わり続けること自体が、本質だよ」という意味もあるんです。
僕は、今年の抱負とかも掲げないし、来年に何やってるかも今は正直わからないです。言ってることはもしかしたら変わることがあるかもしれないけど、やっていることの筋は、必ず通す。そんな感じで、人生の変化を楽しんでいきたいですね。
あと、東京喰種トーキョーグールというマンガに出てくる「この世の不利益はすべて本人の能力不足」というフレーズも好きです。何が起きても全責任は自分の中にあると思って動いて、もし能力を評価されたら、自分を讃えつつ、周りのおかげでもあると感謝して生きていきたい。こういう取材の仕事をいただけてることだって、そう思っています。
桑名:素敵な言葉を教えていただき、ありがとうございます。フウガさんの美容師ストーリーを聞いていると、起きること全てに意味があるんだなって感じました。これからも、応援しています! 本日はありがとうございました。
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フウガ
東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒。新卒入社と同時にスタイリストデビュー。都内のサロン 2 店舗で経験を積んだ後、フリーランスサロンへ。デザインカラーとカットの似合わせを得意とし、エンドカラーのパイオニアとしても業界内外からの評価が高い。また、美容学生・若手美容師限定の null community を立ち上げ、若手育成やマネージメントにも力を入れている。
Director桑名 真理子(くわな まりこ)
メイク技術者の目線を武器に、美容WEBマガジンの創刊、12年間で延べ1000件を担当。人の魅力にフォーカスする企画が得意。美容ライフが豊かになる、ワクワクする景色をつくります。
Writer須川 奈津江(すがわ なつえ)
フリーランスの編集・ライター@東京東側。お仕事は美容師さんメディアでの執筆、教育、健康、レシピ本などの実用書・ライト文芸の編集などなど。
Photographerトカジ ショウタ
人気美容師として活動する一方で、写真&映像クリエイターとして活躍中。サロンのIV/CM/コーポレートビデオ、芸能事務所のMVなども手掛け、業界から注目される。